新型コロナ: アメリカの状況など、訂正とアップデート

※2020/4/2追記。「新型コロナ: お詫びとお願い」という記事を書きました。(こちらにもリンクを追加します)

前回の内容で、アメリカの感染者数と検査数についての指摘は間違っていました。申し訳ありません。その訂正を含め、アメリカの状況を中心にアップデートします。

■政治的な話
訂正を後回しにして書くようなことか迷うのですが、まずトランプ大統領について記しておきます。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」について、CDCは日本の対応を批判していないと書きました(批判していた米メディアはあった)。しかし、トランプ大統領は「日本の対応が悪い」と批判していました。これについて、麻生財務大臣が苦言を呈している興味深い動画があります。
→2020年3月19日「財政金融委員会(第五回)」※16:59以降
また、最近、トランプ大統領は煽るように「"中国"ウイルス」と呼んでいます。感染症の名称として地名を付けるな、と言われているにもかかわらず、です。
後述しますが、アメリカの状況はよくありません。先に書いた通り、トランプ大統領コストカットといってCDCからNSCからパンデミックチームを解雇(※)したために対応が遅れたせいだとしたら、民主党からの攻撃材料になりえます。最近、民主党議員によって検査の無料化が実現したようですが、無保険者の感染が問題視される中、オバマケアの見直しに積極的だったことは危機管理意識を疑問視されても不思議はありません。CDC幹部が「(パンデミックは)起きるかどうかの問題でなく、いつ起きるかの問題だ」と警告していた2月下旬に、トランプ大統領は「米国では(感染は)制御下にある」と楽観的なツイートをしていたくらいです。
状況が悪化した今、これまでの責任を他国に転嫁するため、CDCと連絡を取ってダイヤモンド・プリンセスに対応していた日本や、発生源と言われる中国を、ことさら悪者にしているように見えます。
はたして大統領選の行方はどうなるでしょう。

※2020/3/22追記。
トランプ大統領が、このツイートをRTしていましたので、以下に紹介して、本文を修正します。

1) Trump did not cut funding for the CDC. It has increased since he took office.
2) Trump did get rid of the NSC Pandemic unit.
3) Trump did not call the China Virus a hoax.
4) Trump did not silence scientists, China did.

(私訳)
1) トランプはCDCの予算を削減していません。就任後に増えました。
2) トランプが解雇したのはNSC(国家安全保障会議)のパンデミック部門です。
3) トランプは"中国ウイルス"をでっちあげとは呼んでいません。
4) トランプは科学者を黙らせていません、中国と違って。

アメリカにおける検査数と感染者数
さて、本題です。前回は計算のもとになる数字も計算も間違っていました。まずは英語を読めとのコメントをいただきましたが、日本語で書いてあっても読み間違えたかもしれません。お恥ずかしい限りです。
さて、CDCは検査情報の収集が遅く、数日前のものしかサイトに反映されていません。ここ数日で検査や感染者が急増していますが、CDCのサイトでは数日前のものしか検査数がわかりません。そもそもCDCが検査情報を公開するようになったのは、1週間くらい前からのようで、しびれを切らした有志により https://covidtracking.com/ というサイトが作られています。こちらから、日々の陽性(positive)/陰性(negative)/保留(pending)/死亡(deaths)の情報が得られます。
この情報から日ごとの増加分と陽性率を計算すると、次のようになります。(保留を除外し、陽性+陰性を検査数としています)

日付 陽性数 検査数 陽性率
3月5日 176 1,129 15.59%
3月6日 47 665 7.07%
3月7日 118 356 33.15%
3月8日 76 602 12.62%
3月9日 167 1,199 13.93%
3月10日 194 634 30.60%
3月11日 275 2,446 11.24%
3月12日 262 2,233 11.73%
3月13日 607 6,271 9.68%
3月14日 528 4,017 13.14%
3月15日 723 6,169 11.72%
3月16日 846 14,402 5.87%
3月17日 1,704 13,204 12.91%
3月18日 2,008 20,629 9.73%
3月19日 3,992 26,886 14.85%
3月20日 5,315 34,343 15.48%


検査数が大幅に増えているのはよいことかもしれませんし、日々の割合にムラがあるのはしかたないとはいえ、幅広く検査するほど陽性率は下がってもよさそうなところ、かえって高くなっているくらいです。(前回の間違った数値はさておき)累計でも17038/118147=12.6%というのは、けっこう高い数値です。
こちらの記事によれば、フランスでの検査は「重症のかぜ症状がある患者のみ」としているそうです。ourworldindataによれば、フランスの3/15時点の検査数は36747件です。そして、WHOによるこの日までの感染者数は4469人で、陽性率は12.2%です。
つまり、アメリカでの検査は重症者のみを調べているフランスよりも陽性の人に当たる確率が高いということです。ちなみに、日本の最新情報では981/18134=5.4%で、18人検査して1人の陽性者が見つかるという程度です。
実は、アメリカでは初期には検査数は多くありませんでしたが、それ以上に感染者が少なく、陽性率は低いものでした。しかし、これが「疑わしい人」を検査していたのではなく、「対価を払える人」を検査していたとしたらどうでしょう。もともと医療費が高額なことで知られている国です。
また、日本は中国以外の感染者が初期に発覚した国の一つですが、その時期は「春節の人気旅行先トップ」だと言われていました。実際、最初の感染者は中国からの旅行者を乗せていたバスの運転手でした。
しかし、この人気は短期の場合で、長期の人気旅行先トップはオーストラリア、次いでアメリでした。トランプ大統領は早々と中国からの渡航を規制しましたが、そもそも中国とアメリカは交流も多く、それまでに入国していた感染者もいたことでしょう。初期に必要な検査が行き届かなかったことで、今になって大量の感染者が発覚しているとしか思えません。
今年、アメリカではインフルエンザが猛威を振るって多数の死者を出しているという報道もありました。それらが実は新型コロナが原因じゃないかと疑われ、名取宏氏が「考えにくい」とツイートしていたことがありました。しかし、実数はともかく新型コロナをインフルエンザと誤認していたケースがあることをCDCの所長が認めています動画)。これは「相当数が新型コロナ」を肯定するものではありませんが、検査が行き届いていなかった証左にはなります。
アメリカの新型ウイルス検査は失敗している」と認めている記事もありました。

■比較するなら感染者より死者数
先のコメントでも答えましたが、実は国ごとの感染者数を比較したり合算しても、あまり意味はないと思っています。機材の使い方、対象者のスクリーニング、そもそもの医療制度や検査体制など、国ごとにバラバラなためです。前述した重症者を中心に検査するフランスと、幅広く検査している韓国は、それぞれ百万人あたりの感染者数が193人と172人で、それほど大きな違いはありません。しかし、検査のアプローチが違えば、その実状も違うはずです。私は、各国の感染者数は増加ペースの目安くらいにしか考えていません。
まず、PCR検査には偽陰性/偽陽性があります。文春の記事を引用すると、「PCR検査の感度は高くて70%程度」、つまり30%以上は偽陰性になり、たとえ検査で陰性になったとしても安心できるということではありません。逆に、「仮に特異度が極めて高く99%だったとしても、100に1人は感染していないのに「陽性」と判定されてしまう」そうです。韓国では日本と同じ機材を使いつつ精度を犠牲にしているそうですから、もっと誤差が高くなっても不思議はありません。
韓国では、これまでに30万人の検査をしているそうですが、「少なくとも1%が偽陽性になる」と見積もっても3千人以上が「感染していないのに陽性と判定されている」ことになります。これが2%だったら6千人です。現在の韓国の感染者数は9千人弱ですが、偽陽性の人数は無視できるレベルではありません。しかし、だからこそ韓国では医療崩壊には至っていません。感染していない人は、そもそも無症状か、何か別の理由で具合が悪い程度でしょう。そうした人を隔離する施設さえあれば、医療リソースが大きく割かれることはないからです。
比較して意味があるのは死者の数です。(重症者数も意味がありますが、判明していない国があります) とくに日本では感染症法により、感染症の肺炎で亡くなった人は原因を特定しなければならないそうです。実際、亡くなってから新型コロナの感染が判明した人が数人確認されています。この方々は生前には新型コロナの診断を受けられなかったという批判はあるかもしれませんが、そもそも現時点では治療薬がありません。
なお、肺炎の検査にはPCRよりもCTの方が確実という話もあるようです。日本医師会総合政策研究機構の資料(PDF)にp.44によれば、人口100万人あたりのCT台数は2位以下を大きく引き離してトップです。(しかも、日本の医療費は現実的な金額です)

med_ct.png

無症状の上に実は陰性といった"誤差"がない分、新型コロナによる死者数は、各国の現状を比較する目安になります。先のフランスと韓国では、フランスの死者が韓国より4倍も多くなっています。イタリアは、すでに中国の死者数を上回っていますし、スペインやイランも千人を超えています。ドイツは感染者が2万人を超えていますが、死者は73人ですから、まだ深刻ではなさそうです。検査体制の整っていなかったアメリカは、そもそも死者を追跡できていないおそれがあります。
なお、感染者数が多く死者数の少ないドイツについては検査数の情報が見当たらないのですが、Los Angeles Times の記事(3/10付)によれば、ドイツでは1週間で35000件を検査し、翌週は1日12000件を検査できるようになったそうです。("There were 35,000 coronavirus tests done in private practices last week with an unknown number also being carried out at hospitals, according to the KBV German Assn. of Physicians. The country has ramped up capacity and can now perform 12,000 tests per day.") そこそこ多数の検査がなされているようですが、その分偽陽性の人も多いと推察されます。

■科学は政治に勝てないのか
岩田健太郎氏の記事を読みましたが、勝てなかったから政府の意向にしたがってクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の全員検査なんてしたのではないでしょうか。オークランド港に入港したクルーズ船「グランド・プリンセス」について新たな情報がありました。検疫のため軍事施設に隔離されている乗客858人のうち、568人が検査を拒否したそうです。なぜなら「検査を受けなければ検疫期間を過ぎて解放されるけど、検査を受けて陽性の場合は陰性になるまでさらに長い間待たされるから」だそうです。これこそ「全員検査させる」(ペンス副大統領)という政治よりも、「無駄な検査をするな」(岩田健太郎氏)、「全員検査に医学的な意味はない」(和田耕治氏)という科学的見解が勝利した例でしょう。
ことさら検査、検査と煽る人たちは、科学に逆らっているようにしかみえませんし、日本の政治が科学よりも多数意見を重視しているのは残念なことです。

■私的展望
ハウステンボスとしまえんなど、屋外を中心とした遊園地などが部分的に再開しているようです。どこも感染源にならないかビクビクしていることでしょう。イベント自粛要請の前にクラスターの原因となった大阪のライブハウスなどは、"被害者"であるはずなのに心ない中傷を受けているそうです。これがインフルエンザだったら、「どこかでもらってきたかな」くらいで済ませられるのですが、そうならないのが新型コロナです。新型コロナの感染が判明したとたん、消毒や封鎖したり、追跡検査がなされるような状況では、本格的な経済活動の復活はないでしょう。
その意味で、オリンピックを予定通り完全な形で開催するなど、空論のようにみえます。実際、メジャーリーグやヨーロッパのサッカーなど、大きなスポーツイベントが軒並み延期されています。とくにオリンピックの場合は、選手の選考をはじめ、放送権料、選手村、報道センター、ボランティアなどを考えると、「中止」以外に見直しができる気がしません
それでも東京オリンピックが通常開催にこだわっているのは、放送権料などの収益が未来のオリンピック活動に必要だからです。公式サイトの資金の流れを見ると支出の10%が運営費であり、90%がオリンピック競技や選手のために使われていることがわかります。もちろん、そんな資金がなかった時代もあったわけで、しばらく予選会を各国で勝手にやらせるという選択肢はあるのかもしれませんが、IOCが自分の金儲けのために開催にこだわっている、というような叩き方は、あまり適切でないように思います。もっとも、秋にずらすならマラソンを東京に戻せよ、くらいは思いますけれどね。

 

新型コロナ: 日本のPCR検査は足りないのか

※2020/7/4更新。オルタナティブブログはコメント機能が無効化/非表示になりました→過去コメント

※2020/4/2追記。「新型コロナ: お詫びとお願い」という記事を書きました。
※2020/4/5追記。「新型コロナ: 世界の国々はどれくらい検査しているのか」という記事を書きました。
※2020/4/6追記。最後に「中程度の症状で治療や検査を求めるべきでない6つの理由」を追加しました。

※専門家ではないので、事実誤認については遠慮なくご指摘ください。
※本文中の間違いについて、フォロー記事を書きました。(3/22)

今日の標語「早まるな 医者はすぐには 増やせない」

■WHOの勧告
新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下「新型コロナ」とします)について、WHOのテドロス事務局長が「検査、検査、検査。疑いのある患者全員を検査するよう」(AFPBBの記事より)と勧告したことで、日本での「検査足りない」派の人たちが勢いづいている気がしないでもありません。原文にはこうあります。

We have a simple message for all countries: test, test, test.
Test every suspected case.
If they test positive, isolate them and find out who they have been in close contact with up to 2 days before they developed symptoms, and test those people too. [NOTE: WHO recommends testing contacts of confirmed cases only if they show symptoms of COVID-19]

(私訳)すべての国に対する私たちの単純なメッセージは、検査、検査、検査、です。
疑わしいケースをすべて検査してください。
結果が陽性なら、隔離して、その人が2日以内に症状が出た2日前からの濃厚接触した人たちが発症する前に、その人たちも検査してください。[注意: WHOは新型コロナを発症したことが確認された場合に限って検査することを推奨します。]※2020/5/9指摘があり、訂正しました。

つまり、発症していない人まで無差別に検査しろと言っているのではありません。そして、この勧告は、現在日本で行われている検査そのものです。

PCR検査
さんざん言われていることですが、PCR検査は偽陰性(感染していても陰性と判定されてしまう)も偽陽性(感染していないのに陽性と判定されてしまう)もある検査だそうです。先日、孫正義氏が100万人分の検査キットを用意すると発表されました(すぐに撤回されましたが)。もし、この検査キットが「5%の確率で偽陽性と判定されてしまう検査(※)」だとしたら、5万人が"誤って"陽性と判定されてしまうことになります。現時点で日本の感染者数は3桁しかいないので、多数の偽陽性の人たちに埋もれてしまうことになりかねません。
※2020/3/29追記。さまざまな情報によれば偽陽性が5%は過大です。精度の高い場合で1%くらいのようです。

PCR検査をやりすぎると医療崩壊を招くか
検査しまくっている例として韓国が挙げられます。しかも、「ひるおび」という番組によれば韓国で使われている機材は日本と同じであり、日本が精度を優先して標準モードを使っているのに、韓国は数をこなすために高速モードを使っているそうです。(それぞれにかかる時間と精度の違いは存じません)※ つまり、韓国では大勢の偽陽性の人たちが"感染者"としてカウントされていると推測されます。
※2020/3/29追記。「ひるおび」以外の情報ソースがなく、コメントにて誤情報であるとの指摘がありましたので、削除します。

韓国では医療崩壊しているのでしょうか。もし、検査をやりすぎて医療崩壊しているようなら、とっくに検査のペースを落としていると思いますが、そういう話は聞きません。韓国で医療崩壊していないのは、こちらの記事にあるような「軽症患者を隔離治療する生活治療センター」が設置されているためだと思います。軽症者がベッドを埋めていて重症者が入院できない、という個別の揉め事はあるようですが、大変なのは人工心肺を必要とするような重症患者が増えた場合です。症状の有無に関係なく誰でも彼でも検査したところで「検査によって重症化する」わけではありません(※)。worldometers によれば、現時点の韓国の重症者は59人ですから、そこまで深刻な状態とは思えません。
※「ドライブスルー検査は、それ自体が感染を広げかねないので、私なら受けたくない」(「ミヤネ屋」における村中璃子氏)という話はあるようです。

かつて「MERS対応の失敗」で懲りた韓国が十分な検査体制を準備していたところ、新型コロナが広がりそうな状況で、偽陽性の数が増えることを恐れず、無症状・軽症者を隔離する施設を用意して防御的に対応している、ということであれば、そういう考え方はアリだと思います。そして、そういう前提に立つと「感染者数が多いことだけで渡航制限した日本」を批判する気持ちになるかもしれません。(もっとも、渡航制限してるのは日本だけではなかったはずですが)

一方、イタリアでは感染者が27980人と多いだけでなく、重症者が1851人もいます医療崩壊を避けるために人手不足で引退した医者や、卒業前の学生まで動員しようとしている状況です。多数の検査をしているから医療崩壊したのではなく、重症患者が多いから医療崩壊を招いているということです。

■政府が検査をさせてない?
とても不思議な意見が「政府が感染者数を抑えるために検査をさせないようとしている」というものです。国会答弁を見ても、現実の行動を見ても、政府は検査をさせたがっています。政府が「これだけ検査できるようになりました」というのは、現場から「最大いくつできるんだ、もっとやれるようにしろ」と言って集めた理想的な数を足し合わせたんじゃないかと思うほどです。

典型的な例がクルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス)の対応です。クルーズ船に乗り込んだ岩田健太郎氏が「無駄な検査をするな」と提言し、クルーズ船で対応にあたった和田耕治氏が「世論が検査した方がいいというから、一応するだけの話であって、医学的な意味はあまりない」と言っていたのに、全員に対して検査したのはどう考えても政治判断でしょう。

あちこちで寄港を拒否されてカンボジアにたどり着いたウエステルダム号からは症状が疑わしい20人の検査結果が陰性だったからと、あっという間に何千人も下船しましたが、その後マレーシアで乗客の感染が発覚しました。時すでに遅く、下船した人たちは追跡すらできない状態だったようです。

乗員・乗客の感染を疑われてオークランド港に入港したグランド・プリンセスでは、ペンス副大統領が「下船前に全員検査する」と表明していて「おお、さすがアメリカ」と思ったのですが、こちらのツイートによれば "#GrandPrincess passengers screened by medical staff @Travis60AMW before heading into quarantine. "(乗客は検疫前にメディカルスタッフによってスクリーニング(選抜)される)とのことです。

実際、こちらの記事では"you may choose to be tested for Covid-19"(新型コロナの検査をしたいか選べます)とあり、全員検査するつもりがないことがわかります。しかも"they were told no tests were available"(できる検査はないと言われました)ということで希望しても検査してもらえないそうです。

また、こちらの記事には"Britons will be free to go on their arrival in the UK, rather than forced into quarantine."(イギリス住民は、イギリスに到着すれば、検疫を強制されることなく自由になります)とあります。症状があればともかく、無症状なら「別にいいんじゃない?」と思われてるわけです。

余談ですが、グランドプリンセスがオークランド港に到着したのは3/8です。船内に残された乗員のうち症状のない人はチャーター機で帰れるそうですが、症状のある人の対応は決まっていないようです。

そのような対応がなされる中、日本はクルーズ船の何千人もの乗員・乗客に全員にPCR検査し、陽性者を下船させて入院させているわけです。このクルーズ船への対応は、日本の医療リソースをけっこう消費したと思います。そりゃイギリス首相も感謝くらいするでしょう。

なお、在日アメリカ大使館がダイヤモンド・プリンセスに関する情報を公開しています。CDCと連携して対応にあたっていたことが分かります。日本の対応を批判するということは、そのままCDC批判になる、ということは気に留めておきましょう。

■日本は検査が足りてない?
さて(ようやく)本題です。

日本の検査は足りていないのでしょうか。厚生労働省は、毎日検査の内容を報告しています(2020年3月)。

今日(3/17)の報告を見ると、「国内事例」のこれまでの「PCR検査陽性者」は809人、「PCR検査実施人数」は15655人です。つまり、検査した人のうち陽性だったのは5.2%に過ぎません。1日単位で見ると、(おそらくクラスターが見つかって)陽性率が高くなるケースもあるのですが、逆に多数を検査したのにあまり見つからないという日もあります(今日がそうです)。韓国と違い、検査精度を落とすことなく、しっかりクラスターを追跡していこうという姿勢なのだと思います。

これに対して、3/5付けのこちらの記事による韓国での検査数は140775人、感染者は5776人で陽性率は4.1%。検査の絶対数が多く、相対的に陽性率は低くなっていますが、これが精度を犠牲にしていることを思うと、日本の検査が「足りてない」という印象はありません。

むしろ、多数の検査を実施し、感染者が発覚しているイタリア3/10付けの記事で54000件を検査し、9172人が感染者となっています。陽性率は実に17%です。これこそ、感染者が多くて検査が追い付いていないことを示しているのではないでしょうか。日本は9割以上が陰性になる程度には検査しているのです。

アメリカの状況
余談ですが、アメリカのCDCも検査数を公表しています。WHOの報告によればアメリカで感染者が確認されたのは1/23ですが、この情報によれば1カ月以上、CDCが少しずつ検査をしているだけでした。「検査に35万もかかる」という記事もありました。

実は、トランプ大統領は2年前にCDCのパンデミックチームをリストラしていました。トランプ大統領によれば "I'm a businessperson, I don't like having thousands of people around when you don't need them. When we need them, we can get them back very quickly."(私はビジネスパーソンだ。不要なときにまで何千人もかかえておきたくない。必要になれば、すぐに戻せる)とのことですが、この1カ月あまりを「すぐ(quickly)」と言えるでしょうか。

ともあれ、先週から検査数が大幅に増え、CDCと公衆衛生研究所合わせて1日あたり2500~2700人程度の検査が行われています。ところがWHOの報告では、この2日間増加分が含まれていません。worldometers では、すでに感染者が4743人に上っているのですが、この数字がたしかなら、この数日は1日あたり1000人くらい感染者が見つかっていることになります。2700人検査して1000人の感染者が見つかるということは陽性率が37%、3人検査すれば1人の感染者が見つかるという状況で、イタリアどころではありません。「検査しなければ感染者は増えない」というのはアメリカにこそ言うべきことでしょう。←(3/21追記)この計算は間違っていました。各日の検査数は数日経過してから公開されるため、不適切な計算でした。

もっとも、アメリカもドライブスルー検査という陽性率の低そうな検査をしているはずですし、データのどこかが間違っているか、私が何かを見落としている可能性もあるとは思います。しかし、数字通りならば、実際の感染はかなり広まっている可能性があり、それにもかかわらず行政の対応が遅れた理由がトランプ大統領によるリストラにあるならば、大統領選挙に影響する話となっても不思議はありません。そうでなくてもアメリカからの渡航を制限するレベルです。←(3/21追記)陽性率の計算は間違っていました。ただし、アメリカでの感染者数は検査体制が整ってから急増しており、対応の遅れは否めません。

■日本の感染者数が増えない理由
「日本の感染者数が他国に比べて増えていないのは検査してないからだ」という意見もありました。日本の感染者数が増えていないのは、まちがいなく早い時期からイベントの自粛を要請し、多くのイベントがそれに応じたからでしょう。イベントの自粛を要請されたのが2/26、翌日には一斉休校が要請されました。2/26時点国内感染者は149人しかいませんでした。正直、この当時は「行き当たりばったりの自粛要請」と思っていましたが、現在の他国の状況を見る限り、遅かれ早かれ自粛が必要になったことを思うと、この早い判断が感染者を抑えるのに成功したとしか言いようがありません。

アメリカでは検査が遅々として進まない中、ニューヨーク州が3/9に非常事態宣言を出しましたが、ブロードウェイは3/12まで上演を続けていたくらいです。

ヨーロッパ各国が規制に進んだのも感染者が何千人にも及んでからです。こちらに各国の状況がまとめられており、イギリスのように学校を休校していない国もありますが、今やほとんどの国が日本よりも厳しく規制されています。

■感染はピークアウトした?
そんなわけがありません

covid19_activecases.png

現在治療中(active)の感染者がいったん減ったのは、多数の感染者を出した中国の徹底的な行動規制&監視体制によるものです。南京市のようすを竹内亮氏が動画で報告されています。

これほどの規制は「中国だからできる」ものでしょう。それを思うと、日本も含め世界中で感染者が増えていくのは間違いありません。経済活動があまり停滞しない程度に規制しつつ、医療崩壊しない程度に感染が広まることを受け入れる、ということしかないように思います。そんなところでバランスが取れるのかはまったく分かりません。

■中程度の症状で治療や検査を求めるべきでない6つの理由
世界的な保健機関であるVital Strategiesが"Dr. Tom Frieden on Six Reasons New Yorkers with Mild Symptoms of COVID-19 Should Not Seek Care or Get Tested"(トム・フリーデン博士による新型コロナの中程度の症状でニューヨーカーが治療や検査を求めるべきでない6つの理由) という記事を公開していました。すでに日本でも行われていることですが、こちらに理由部分をご紹介します。

  1. You use up medical equipment and tests others need more.(もっと必要性の高い他の人のための医療機器や検査を使い果たします。)
  2. You might infect others as you travel to and seek care.(移動や治療しようとすることで他人に感染させるかもしれません。)
  3. If you don't have the infection, you could get it in the process of traveling and getting tested, especially since health care gets less safe when more people are waiting for it -- including people with only mild symptoms.(感染していなければ、移動したり検査したりすることで、かえって感染を招くかもしれません中程度の軽い症状しかもっていない人たちも含め、それらを待つ人々の中では医療施設は安全性は低くなります。)
  4. It's not going to change what you should do: Stay home and isolate yourself. Anyone with symptoms of COVID-19 should be assumed to have it. The test result won't change what you or your doctor do.(すべきことは変わりません、ただ家にいて自己隔離してください。新型コロナらしい症状を持つ誰もが、感染していると想定してください。検査の結果によって、あなたやかかりつけ医がすることは何も変わりません。)
  5. The test can be negative even if you have the virus, leading you to infect others if you don't stay isolated.(検査結果が陰性であっても、ウイルスを保有しているかもしれず、自己隔離しなければ他人を感染させてしまうかもしれません。)
  6. Right now, testing positive won't lead to useful action or meaningful data: The Health Department won't be able to trace your contacts or confirm where you were infected because too many people are positive, and because this would not be as important in fighting COVID-19 at present than other urgent work, including preventing and stopping outbreaks in nursing homes and hospitals.(現時点では、検査で陽性と判定されたところで、有益な処置や意味のあるデータは得られません。多くの人が陽性であるために保健所は、あなたの連絡先を追跡したり、どこで感染したかを確認することはできませんし、そうしたことは、福祉施設や病院での院内感染を抑止・防止することも含めて、もっと重要な新型コロナとの戦いに比べて重要性が低いのです。)
    ※訳注。6.については、ニューヨークにおける現状であり、日本では感染が確認された場合は、クラスター対策班によって追跡が行われています。それは積極的に1~5のルールを無視する理由にはなりません。

日本が序盤からこうした方針を取っていたことで、感染者の増加が抑えられていることについては、「新型コロナ: 世界の国々はどれくらい検査しているのか」の最後に示したドイツとの比較でも明らかです。「積極的な検査」が招く悪影響について、ご理解ください。

2019年のドメイン取引ランキング

例によって DNJournalドメイン取引2019年のドメイン取引ランキングについてまとめておきます。

なんといっても、ダントツだったのがvoice.comの3000万ドルです。去年のトップ100取引総額が2753万ドルだったのに、たったひとつで超えてしまいました。表に出てこない取引(あるいはドメイン名単独でない取引)では、もっと高額のものもありましたが、DNJournalのオールタイム取引ランキングでも2位(sex.com/1300万ドル)の倍以上の差がつきました。

もっとも voice.com 以外は、昨年並みかやや低調といったところです。.comは圧倒的な人気で(87個)、レガシーなTLDである.netは2個、.orgは1個のみでした。ccTLD(2文字)では.de(3個)あるくらいで、.ca、.io、.es、.com.auが各1個、新TLDが.app、.game、.clubも各1個というところです。トップ100にIDN(国際化文字列)はありませんでしたが、「リゾートバイト.com」というドメインが$20000で取引されているのは確認しました。紛争に持ち込むコストを嫌がったということでしょうね。

前年のような1文字ドメインの取引はありませんでしたが、ショートレター、とくに2英字.comは4つも取引されているのに加え、2字.comも6個取引されています。もっとも、これには$76000で取引が成立した直後に、$87000で売られた8T.comが含まれます。「そこまでしてほしかったドメイン」なのかどうかは使われていないようなのでわかりませんが。

voice.comのおかげで100位までの総額は5361万ドルとなり、過去最高を記録しました。が、voice.comがなかったら2367万ドルとなり、昨年より減少したことになります。あくまで公開取引であり、これまで同様、非公開では大物取引もあるでしょうが、ドメイン取引をビジネスと考えると市場規模は縮小している印象です。

トップ100の取引総額の推移は、以下の通りです。

取引総額(※)
2019 5361万ドル
2018 2753万ドル
2017 2623万ドル
2016 2583万ドル
2015 3867万ドル
2014 4244万ドル
2013 2714万ドル
2012 1825万ドル
2011 2231万ドル
2010 4439万ドル
2009 3462万ドル
2008 4395万ドル
2007 4324万ドル
2006 2970万ドル
2005 1643万ドル
2004 991万ドル

DNJournal による取引額トップ100の総額。

2018年のドメイン取引ランキング
2017年のドメイン取引ランキング
2016年のドメイン取引ランキング
2015年のドメイン取引ランキング
2014年のドメイン取引ランキング
2013年のドメイン取引ランキング
2012年のドメイン取引ランキング
2011年のドメイン取引ランキング
2010年のドメイン取引ランキング
2009年のドメイン売買ランキング
2008年のドメイン売買ランキング
2007年のドメイン売買ランキング
2006年のドメイン売買ランキング
2005年のドメイン売買ランキング

青春18きっぷとムーンライトながらで東京→三角まで最長乗車

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「鉄オタではありません」と、最初にお断りしておきます。

青春18きっぷ1枚でどれだけ遠くまで行けるか」というのはありがちなテーマだと思うのですが、なかなか同類のトピックが見つけられません。「青春18きっぷ 最長乗車」で検索すると、東京始発で小倉まで行くという記事がいくつか見つかります。

「青春18きっぷ」1日でどこまで行けるか」(乗りものニュース
東京発!北は青森まで17時間超、果たして西は…」(AERA
青春18きっぷ1回分で東京駅から小倉駅まで行ってみた」(RocketNews24)

よく知られているとおり、青春18きっぷは有料の特急と組み合わせることはできませんが、“ムーンライト”系の快速列車は併用できます。だんだん本数が減ったり、なくなったりしていますが、西側に向かう「ムーンライトながら」と併用して熊本の八代まで行けるという記事がありました。

「青春18きっぷ」の旅、始発列車に乗ったらどこまで行ける?」(マイナビニュース)

これは2013年の記事なので、当時とは時刻表が違っているかもしれませんが、自分で調べたときには熊本で三角線に乗り換えて終点の三角まで行く方が距離が長くなるようでした。私が青春18切符を使い始めたのは5年くらい前ですし、これを思い立ったのがいつだったか忘れましたが、ようやく去年実行しようとしたところ、西日本豪雨山陽線が寸断されてしまい断念せざるを得ませんでした。そしてようやく、この冬に、あらためて思い立って実行したというわけです。

全行程はこんな感じです。

東京23:10→(ムーンライトながら)→5:45大垣5:53→6:27米原6:29→9:30相生9:32→10:38岡山10:49→12:18糸崎12:19→14:36岩国14:40→16:33新山口16:47→18:01下関18:05→18:18小倉18:30→20:31荒木20:33→21:53熊本22:34→23:25三角

東京→三角で1351.5km、(日付が変わってからの)小田原→三角であれば1267.6kmです。舞台めぐりというアプリを使って記録した途中経過はこちら。なお、乗り換えのときくらい、ちゃんと駅名看板を撮影しておけと思う人もいるでしょうが、座ることを優先していたので、あんまり撮れていません。

なお、今回の場合、私は前日にも青春18きっぷを使って埼玉をあちこちまわったので、厳密には「青春18きっぷ1枚」ではないのですが(普通は東京→大磯間の切符を買うらしい)、そこはまあヨシとしてください。たぶん、これが最長だと思うのですが、他の人の事例が見つけられないのが一抹の不安……。ちなみに、これができるのは休日ダイヤ限定です。

なお、乗り換え時間に10分以上余裕があるのは岡山(11分)、新山口(14分)、小倉(12分)、熊本(41分)くらいです。そして、これが目的地までの“終電”なので、乗り遅れたら、そこで試合終了です。車内にトイレがある列車もありますが、どこでトイレに行ったり、弁当を買ったりするかは事前に計画しておく方がよいです。もっとも“安く熊本に行く”だけならLCCを使う方がずっとマシです。

ちなみに、この日は天気がよくなかったのと、前日歩き回ったので疲れていたこともあり、窓の外の景色を眺めてという気分でもありませんでした。もともと田舎出身なので“田園風景”に、いちいち郷愁を感じたりしないということはあります。

三角駅の近くで泊まれるところはビジネスホテルが1件あるだけのようです。本当は当日現地に近づいてから予約したかったのですが、万一満室になってしまって、野宿することになるとツラいので、あらかじめ予約しておきました。

ちなみに三角駅から徒歩約30分、バスなら5~6分くらいのところに世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」のひとつである三角西港があります。私はちょっと見に行っただけで、さっさと熊本に戻ってしまいましたけれどね。

私的・映画テン年代ベストテン

映画テン年代ベストテン」なんて企画をやっていたというのを今朝知ったので、慌てて書きました。レビューとかどこかにメモを残しておかないものは、そもそも見たことを忘れてしまうという話があり、2010年代縛りという条件なのに、なんとなく後半に偏っているのはしょうがない……。

  1. カメラを止めるな!(2017年、上田慎一郎監督)
  2. 映画 聲の形(2016年、山田尚子監督)
  3. 君の名は。(2016年、新海誠監督)
  4. この世界の片隅に(2016年、片渕須直監督)
  5. 君の膵臓をたべたい(2018年、牛嶋新一郎監督、アニメ版)
  6. ガールズ&パンツァー 劇場版(2015年、水島努監督)
  7. 劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~(2019年、石原立也監督)
  8. ちはやふる -結び-(2018年、小泉徳宏監督)
  9. 青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない(2019年、増井壮一監督)
  10. トイ・ストーリー3(2010年、リー・アンクリッチ監督)
  1. カメラを止めるな!(2017年、上田慎一郎監督)

    正直、“映画の舞台裏”のような作品を映画ランキングのトップに挙げるというのは微妙な気持ちもあるんだけれど、間違いなく衝撃的だった作品。テレビでも放送されたし、Amazon Prime Video で配信もされているので、もう“ネタバレ禁止”する必要はないかと思うけれど、ユニークな構成(と前半の手振れ具合)から「クローバーフィールド」を思い出しつつも、家族愛などを交えたストーリーが秀逸。さらに、名も知れぬ役者たちも人気俳優に劣らぬすばらしい演技だった。テレビで紹介されたようすをみると、これも監督の演技指導があればこそということらしい。上田監督は役者モノの作品が続いているけれど、もっとストレートな作品を見てみたい。

  2. 映画 聲の形(2016年、山田尚子監督)

    2016年は3つの期待作があり、そのすべてが良作だったという稀有な年だった(そして、このランキングでは2位~4位)。山田尚子監督作品では、「たまこラブストーリー(2014年)」も好きだけれど、やはり本作が秀逸。本作の内容については「みんなのシネマレビュー」への投稿から引用。
    9点(=今年一番の作品)と評してよいかわからないし、賛否はありうると思うし、好き嫌いもあるだろう。デートムービーになるとはいいがたい。しかし、私にとっては制作発表からの期待に十分応えてくれた、すばらしい作品。聴覚障害とイジメという難しいテーマを扱いつつも、“かわいそう”という感情とは違う意味で心が揺さぶられる。
    本作は障害やイジメで悩んでいる人たちの気持ちが分かるというものではないし、それを意図した作品ではないだろう。その意味ではそれらを素材としてだけ使っていることに不満を感じる人もいると思う。もちろん配慮に欠けているわけではない。協力として日本ろうあ連盟の名前もある(これは原作でも同じ)。
    また、原作の緻密さを思えば将也と硝子の関係に絞り込まれているし、他の人物も改変や省略されている部分はあるから、物足りないとか不満を感じる人がいるのもわかる。しかし、アニメで二時間超という尺、かつ美しく映像化された本作は恵まれた作品だと思う。初見では原作(2巻以降)を読まないでいたが、映画として完結していた。また、原作に比べてエグい描写が弱まっている面もあるが、もし原作通りに1クールのテレビアニメとして制作しようとしたら、地上波では放送できなくなるんじゃないだろうか。劇場での上映に比べて、地上波というのは制約を受けやすいものだ。
    【ネタバレ注意】小学生時代に聴覚障害が理由でイジメを受けていた硝子がイジメていた将也と再開し、やがて恋心を抱くまでになる。「イジメてたやつを許すのはともかく好きになるとか設定がおかしい」という批判も見たが、もともと硝子は将也を嫌がってはいなかったわけで、その批判は当たらないと思う。丁寧に書き込まれた街並み、硝子が告白に失敗して足をバタバタさせているシーンなど細部にまで神経の行き届いた表現、難しかったであろう早見沙織さんの演技、すばらしい面を挙げればキリがないほどだ。多くの人に鑑賞してほしいと思う。

  3. 君の名は。(2016年、新海誠監督)

    言うまでもないアニメの金字塔。ストーリー展開については、新海監督らしさを抑えて制作側と相談しながら進めた結果の大成功というのも興味深いところ。新海誠監督の「天気の子(2019年)」も悪くはないけれど、やはりこちら。

  4. この世界の片隅に(2016年、片渕須直監督)

    世間でクラウドファンディングが流行り始めた頃に、実はなんとなく参加した作品。その当時は片渕須直監督の「BLACK LAGOON」(テレビアニメ)がよかったという程度の知識で、前作「マイマイ新子と千年の魔法」はそんなに好きではなかった(タレント声優が微妙だった)。せっかく参加したので応援はしていたし、間違いなく良作なんだけれど、世間で大ウケした“のん”の起用は個人的には疑問。2~4位に挙げた2016年の良作アニメ映画で山田監督や新海監督が新作に取り組んでいるのに、片渕監督が本作の長編版に取り組み続けているというのも、応援しないわけではないんだけれど「なんだかなあ」(CV安野希世乃)という感じ。

  5. 君の膵臓をたべたい(アニメ版、2018年、牛嶋新一郎監督)

    小説の名前だけは聞いたことがあるという程度で、スプラッターな印象しかなく、興味はなかった。そんなときに電子書籍でコミック版の序盤だけが無料公開されていたのを読んでみて「スプラッターじゃない」ことが判明。実はいい話なんじゃないかと急に期待感がわいてきた。結果としては素晴らしい作品で、この年のアニメ映画のトップ。
    本作は興行的にはあまり成功しなかったらしいが、2017年の実写版は大ヒットしたそうだ。個人的には評価していない。アニメ版の封切前に実写版をテレビ放送したのがよくなかったのではないか、と思えるくらいだ。老眼で文字を読むのがツラくなった昨今、本作はコミカライズだけでなく原作小説までちゃんと読んだのだが、アニメ版の方が原作にずっと忠実。なお、聖地めぐりをしていたときに、アニメ版の監督と声優さんに偶然出会えたのもよき思い出。

  6. ガールズ&パンツァー 劇場版(2015年、水島努監督)

    「男の子って、こういうのが好きなんでしょ」とはいえ、“萌え”と“戦車”という接点のなさそうなものを組み合わせて成功したテレビアニメが元。映画冒頭で軽くダイジェストが紹介されるとはいえ、テレビシリーズを見ていない人には理解不能な作品だろうから、ランキングとしては微妙な気もするけれど、私的なランキングに挙げないわけにはいかない。昨今、テレビアニメがヒットすると、その流れで劇場版を作るということが流行っているけれど、早い時期にその形で大成功した作品でもある。
    軽くネタバレすると、前半は戦車戦と日常話、後半は丸ごと戦車戦という構成で、テレビシリーズを受け継ぐ続編としては申し分のないストーリーと、制作に手間暇かけたであろう映像で見事に昇華した。
    ちょうどシネマシティの爆音上映で「マッドマックス 怒りのデスロード」が話題になった後の作品でもあり、個人的には「マッドマックスはガルパンの前座」。シネマシティの歴代興行動員数トップであり、「君の名は。」すら及ばなかったらしい(なお、2位は「ボヘミアン・ラプソディ」)。
    なお、水島監督は最終章として続編6部作(劇場上映のあるOVA)に取り組んでいるけど、それぞれに1年以上かかっていて気持ちがダレてきてしまっているのが残念。「アバター」の続編よりはマシかもしれないが。

  7. 劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~(2019年、石原立也監督)

    ものすごく好きなテレビシリーズが元。テレビシリーズの1期、2期について、それぞれの総集編映画があり、スピンオフ映画の「リズと青い鳥」と、完全新作として本作が公開された。実は「リズと青い鳥」はあまり好みではないけれど、本作は素晴らしかった。今年のベスト作でもある。

  8. ちはやふる -結び-(2018年、小泉徳宏監督)

    2016年の2部作「ちはやふる -上の句-/-下の句-」のヒットを受けた作品で、どれを選ぶか迷うけれど、ここは完結編としての本作を挙げておく。マンガやアニメの実写化は、ガッカリさせられることが多い中、長い原作のエッセンスを活かしつつ、うまく映画の長さにまとめ上げた良作。脚本も手掛けた小泉監督の手腕なのだと思う。アニメも良作で、実写映画の成功があったためか6年ぶりに3期も放送されることになり、幸せな作品だと思う。

  9. 青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない(2019年、増井壮一監督)

    これもテレビアニメが元だが、テレビアニメがヒットしたから制作することになったのではなく、元から予定されていた。いずれにせよ、テレビアニメを見ていないと(あるいは原作を読んでいないと)背景が分からないだろうというのは、これも同じ。
    テレビアニメから派生した作品には、他にも「涼宮ハルヒの消失」(涼宮ハルヒの憂鬱)、「たまこラブストーリー」(たまこまーけっと)、「映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-」、「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」などの良作があるので、どれを選ぶか悩ましいのだけれど、京アニ作品はすでに2つ選んでいるのと、記憶が新鮮なこともあるので、本作を選出。

  10. トイ・ストーリー3(2010年、リー・アンクリッチ監督)

    なんか、ひとつも洋画が入ってなかった。“過去最高の3作目”という評価が的確。

福井・高岡、「君の膵臓をたべたい」聖地めぐり

やるべき仕事はあるのだけれど、まとめて書いておかないと気持ちが落ち着かない:-) 要するに「君の膵臓をたべたい」の聖地めぐりをしていたら、牛嶋監督とLynnさんに遭遇した、という話;-)
※以下、「君の膵臓をたべたい」のネタバレが含まれます(原作、アニメ映画、実写映画、コミック)。

■「君の膵臓をたべたい」について

もともと、そういうタイトルの小説が話題になっていたのは知っていた程度で、スプラッターな印象しかなく、興味はなかった。おそらくアニメ映画のキャンペーンでKindleでコミック版の序盤が無料公開されていたので読んでみた。「全然スプラッターじゃなかった」w こういうのを“空から女の子が降ってくる”系というらしい。たしかに、“冴えない(ことになっている)男のもとに突然可愛い女の子がやってきて人生が変わる”みたいな話はよくあるが、けっこう好みのストーリーなんじゃないかと興味がわいた。

たしかに“空から女の子が降ってくる”感じの展開はファンタジーだし、終盤の演出は“やりすぎ”という声もわかる。でも、これはいいアニメだ。その後、テレビで放送された実写版を視聴し、コミカライズ版を読み、さらに原作も読んだ(老眼の私には文字を読むのは厳しいんだけどね)。どれも、原作からは改変されているのだけど、アニメが一番原作に忠実なのではないか。「最初にアニメ版を見た」ことを割り引いても、それこそloundrawさんのイラストも含めて、原作に近いと思う。とくに実写映画は、最後のエピソードが大人になってからという大きな改変がなされていて、せっかくの桜良の働きかけが青春時代に役に立っていないという“ナニソレ”的な印象しかなかった。実写版の興収は35億を超えたそうだが、みんな、そんなに浜辺美波が見たいのか(見たいのかもしれん^_^;)。アニメ版がそこまで話題にならなかったのは、これをテレビで放送してしまったからじゃないかという気がしてならない。

かくして、「キミスイ」は私にとっての2018年のベストアニメ映画となった。ちなみに、映画全体では「カメラを止めるな!」がベストね:-)

■聖地・高岡

原作では具体的な名称は出てこないけれどアニメは高岡が舞台になっている。ただし、高岡に「スイーツパラダイス」はなく、原作の表紙や桜並木は福井の足羽川沿いである(←最近知った)。聖地めぐりするなら花火大会のある夏かと思っていたが、昨年の年末まで高岡でキャンペーンをやっているという。なお、「舞台めぐり」というアプリで知っていたのだが高岡は「true tears」という作品の舞台でもあり、こちらも事前に視聴して気に入っていた。キミスイ向けのアプリが使えるのが12月30日までというので、なんとか都合をつけて12月に高岡めぐりをした。

blu-ray/DVDリリースイベント

次は花火の頃に行けたらいいかな、くらいに思っていたが、富山で牛嶋監督と主演のLynnさんが登壇する上映イベントが4月13日催されると告知されたのが3月28日の夜。その時期は大阪出張の真っただ中だが、土曜日の午後なので、行こうと思えば行ける! この頃なら足羽川の桜もまだ残っているはず。ついでに、「氷菓」の舞台である高山では4月14~15日に高山祭が催されるので日曜日にそちらをまわってくるという手もある。

無料のイベントで抽選だが、地方だから倍率は高くならないかもしれない。ヨシ、と思って色々計画を立てつつ申し込んだ。そして、運命の1週間後、なんの通知も来なかった(通知があるのは当選者だけ)。

ここは諦めるところかもしれないが、この時期を逃したら足羽川で桜を眺められるのは来年になる。そう思うと、せっかく立てた計画を見送ってしまうのも惜しい気がした。イベントには参加できないけど、大阪からなら福井も経由しやすいし、せっかくサクラ(桜良)の時期じゃないかと思い直して、聖地めぐりすることにした。

■福井・足羽川

前振りが長くなった。(←前振りだったのか^_^;)
福井から高岡をまわっているようすは逐一ツイートしていたが、色々補足する。

出張先の大阪から福井に向かった金曜日。足羽川をまわるのは翌日のつもりだったから、この日は最悪終電でもいいだろうというくらいの気持ちで、駅で晩御飯を食べたりして、ゆっくりしていた。これが失敗だった。電車の中で調べていたら夜9時半まで足羽川沿いをライトアップしているらしかった。乗ってる特急が福井駅に到着するのは9時17分。現地までの時間を考えると間に合いそうになかった。(そして数分遅れて到着した) あと1~2分くらいで一本前の特急には乗れたのですごく悔しかった。

もっとも翌朝はいい天気で、桜並木は綺麗だった。桜が満開だったのは前週で、イベントでは「キミスイ」のクリアファイルを配っていたらしいけれど、そのあたりの時期が合わないのはどうしようもない。桜並木を一通り歩いたら、福井から高岡に、とっとと移動。天気予報では日曜日の天気が悪そうだったので、聖地めぐりに向いているのは、この日だけなのだ。(なお、天気予報が微妙だったので高山祭はギリギリで見送った)

原作の表紙

足羽川の桜並木

よく登場する場面

■高岡

高岡では、まず万葉線で「キミスイ」記念乗車券を買い、少し先で降りて高岡古城公園を通りつつ、JRで雨晴海岸に向かおうと思っていた。ところが、記念乗車券は米島口という割と先の駅で渡すことになるという。(米島口に万葉線のオフィスがある) 前回はいきなりレトロ電車に乗って、その場で買うことができたのだが、他の車両には常備していないようだった。しかたがないので、そのまま米島口まで行き、記念乗車券を受け取り、そこで降りて「キミスイ」に登場する能町駅に行くことにした。(これも微妙な選択だった)

能町駅

この時、能町から雨晴方面への列車がすぐに来るようなら、そのまま乗りたいところだったが、ほぼ1時間に1本くらいしかないところにちょうど出たようだった。そこでふたたび万葉線に戻って越ノ潟に向かうことにした。万葉線は15分ごとに運行しているけれど、もう一本待てばレトロ電車であることが分かっていて、そのレトロ電車では「ぼく」がアナウンスしているのだけど(高岡駅→越ノ潟方面)、あえて一本早い電車にした。そうでないと終点の越ノ潟で、すぐに折り返さないといけなくなるからだ。越ノ潟→高岡駅方面のアナウンスは桜良(Lynnさん)で、年末に来たときはわずかしか聞けなかったので、最初から全部聞こうと思ったのだ。

越ノ潟でのわずかな待ち時間で新湊大橋に行ってみたが、立山連峰が素晴らしい雄姿を見せていた。この時期に、これほど綺麗に見えることは珍しいらしい。とはいえ15分後にはレトロ電車がやってくるので、即座に戻る。レトロ電車に乗り込むと、新湊大橋について桜良がアナウンスしていた。ちなみに越ノ潟までの車内アナウンスは「ガッテン!」の立川志の輔で、やたらと色々喋っていたのだが、桜良のアナウンスは越ノ潟を出るとホントに駅名をアナウンスするくらいで、あまり町の案内などはしてくれない……。

新湊大橋から見た立山連峰

レトロ電車

レトロ電車の車内

■牛嶋監督とLynnさんに遭遇

……そうツイートしようと思っていたとき、たしか新能町で、ニコニコしながらレトロ電車の写真を撮っている男の人が見えました。「鉄ちゃんかな?」と思うその人や何人かの人に続いて、すごく綺麗な女の人が乗り込んできた……紛うことなきLynnさん!! ということは、この人が牛嶋監督で、イベント前に聖地めぐりしてるんだ!!と気づきました。(監督の顔くらい、パンフレットとか特典映像で覚えておけよと思うかもしれませんが、全然気づきませんでした^_^;;;)

当然、写真はダメだけれど、普通に乗車しているので目が離せない。ジロジロ睨んでる怪しいオッサンに見えたかもしれないが、きっと見られることには慣れているでしょう:-) 電車の音が大きいけれど、それなりに会話が聞こえるくらいの距離。桜良のアナウンスに最初に気付いたのは牛嶋監督「あ、これって!」とスピーカーを指さし、Lynnさん「あ、これ、私かも」「なんだか馴染んでる」 いや、ほんと馴染んでて、普通のアナウンスみたいなんですよ。往路の「ぼく」の方が、男性の声なのでまだ“特別感”があるといいますか。

案内している万葉線の人に発音(イントネーション)が大丈夫だったか尋ねて「ほぼ大丈夫でしたよ」「“ほぼ”ってことは、どこが違ってました?」「六渡寺(ろくどうじ)がちょっと」「収録の時は終わってから富山の方がいらっしゃったんですよね」という会話もありました。

Lynnさんは、ときどき車内に掲示されているキミスイの場面を背景にスマホで写真を撮ったりしていた。すぐそばで。富山のイベントに参加する人たちも、ついでにこちらを巡っていれば会えたかもしれないのに:-)、その場にいたキミスイファンは私だけみたいでした。終点・高岡駅に到着する前に、牛嶋監督にお声をかけて作品がとてもよかったことをお伝えしました。でも、早朝に足羽川の桜並木を通ったこと、鑑賞用と布教用のBDを買ったことなどは話し損ねました。こういうときに、どのあたりで受ける印象が「熱心なファン」か「ストーカー」で分かれるかは悩みます。とはいえ、記念乗車券にサインをもらえないかと聞いてみればよかった、と後から思いました^_^;

20分ほどして高岡駅に到着。停車中に写真撮影などされていましたが、一行はそこで引き上げていくので(さすがについていくわけにもいかないので)、今度は「ぼく」のアナウンスを聞くため、と言い訳して私はふたたびレトロ電車に乗り込みました。
です・ます調はここまで。(←おい)

レトロ電車とキミスイ記念乗車券

高岡古城公園から雨晴海岸

2駅で下りて、高松大仏を通り、「true tears」の聖地である高岡古城公園や「たこ焼きHachi Hachi」などを通り、(JRは時間が合わないので)バスで雨晴海岸へ。前回は、雨晴駅から西側に歩いてしまったんだけど、バス停が少し東側にあり、そこには道の駅もあった。氷見まで歩いたのも懐かしい(というほどでもない4カ月前)けれど、それは見送り。

高岡古城公園

雨晴海岸

JRで高岡に戻って、ふたたびレトロ電車に乗車。今度は、川の駅 新湊まで。ちょっととんぼ返りだったけど、最後にレトロ電車で吉久という古い町並みの場所で下車。この日は、ここまで。

牛嶋監督とLynnさんをお見かけした20分が何より至福の一日だった。朝、米島口まで行かなくても記念乗車券が買えたなら、そのまま雨晴海岸で牛島監督やLynnさんをお見かけすることはできたかもしれないが、一緒に戻っていくわけにもいかないだろうし(さすがにストーカーっぽい)、“予定がずれて”レトロ電車で遭遇できたことは幸運以外の何ものでもない。

■おまけ

翌日は大雨にはならなかったけれど、報道によれば高山祭の1日目は規模が縮小され、夜の催しは中止になったようだ。まあ、どうせ夜は大阪に戻らねばならず見る予定もなかったけれど。

幸運の余韻にひたりつつ帰り道に金沢・兼六園に立ち寄ったけれど、富山の新聞にキミスイイベントのことが掲載されていると知り、ふたたび富山側の石動駅まで戻ってコンビニで新聞を購入。でも、ひとつは金沢の新聞だった^_^;

高岡に行くまでは、日曜日の天気もよくなさそうだし「ここでイベントに当たらないなんて……」とふてくされつつ天気次第ではネットカフェでマンガ読んで時間潰そうかなと思っていたくらいだけれど、今回の幸運ですべてが吹っ飛んだ。当分の運を使い果たしたんじゃなければいいけれどね:-)

『結城友奈は勇者である』スペシャルイベント『讃州中学文化祭in観音寺市2』レポート

ひとことでまとめるなら「楽しかったよ!!」
いつもならツイートを連投するところですが、今回はブログにまとめておきます。(あとで追記するかも)

■概要

開催内容は公式サイトに案内されているとおりで、出演は(2期)勇者部6人を演じた全員、照井春佳さん、三森すずこさん、内山夕実さん、黒沢ともよさん、長妻樹里さん、花澤香菜さん。いつ企画したのか分かりませんが、正直、声優さんたちのスケジュール調整だけで大変だった気がします

イベントは1部と2部の2回で、各1時間。両方応募して当たったのは2部。会場の「ハイスタッフホール」は最大1200人収容とのことで、たぶん各回1000人くらいの参加。無料とはいえ、地方のアニメイベントとしてはけっこう大きな会場だと思いますが、それでも外れるくらいの応募があったということで、やはり人気アニメは違いますね:-)

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イベント会場前

■構成

イベントは3つのパートで構成されていました。(私が参加した2部の場合)

・「結城優奈は勇者である」×「観音寺市グッズ」のCMがあったら

物販コーナーでも販売されている「ゆゆゆ」グッズを題材に、くじ引きで与えられた設定にしたがって皆さんが宣伝するというもの。その中にガラスのマグカップがあり、箱を開けて紹介しようとした花澤香菜さんが乃木園子マグカップの底に「花澤香菜さんへ」というメッセージが書かれていたのを見つけて大喜び:-) (実は、次のコーナーで“合格”したらもらえるものだったものだけど)全員が自分のキャラのマグカップを開けて底のメッセージを確認する展開に。そこで黒沢ともよさんが「私、花澤香菜さんへ、のマグカップがいい」(会場笑)
その他、猫の設定でポーチを宣伝した他、サイレントという設定で「声優なのに」という声があがったり、ミュージカルという設定でみんなが歌いだしたりしてました。

・バーテックス同時襲撃

“バーテックスの襲撃”といっても、内容はドライアイスが何かとか、子守熊の読み方とか、ごく普通のクイズに答えるコーナー。1期のときは高3だったという黒沢ともよさん、「一昨日、最後のレポートを出した」という現役大学生だけあって、一番冴えてた気がします:-)
結果的に、(全員で)全問正解で“合格”し、さきほどのCMコーナーで使った「ゆゆゆ」グッズがもらえることになったという次第。

・特別朗読劇「勇者がいる街」

タカヒロさん書下ろしの朗読劇。観音寺の名所めぐりを宣伝するための映像を作るという内容。こんな感じの観光用のコラボポスターが7種類作られていて、それをスクリーンに映し出しながらの脚本で、うまい演出。黒沢ともよさん「私の役の中では断トツに可愛いキャラ。こういう可愛い役はないので」「タカヒロさんにラジオ聞かせたくない」が個人的ヒット:-)

■感想

遠方から交通費をかけて参加することを思うと、有料でも無料でもあまり関係はないし、一般的な有料のアニメイベントに比べれば時間が短い、飾り付けがない、歌パートがないという感じですが、十分楽しい内容でした。逆に、そういう面を除けば普通のイベントと変わりないわけで、けっこう費用がかかったはず。物販で地域振興という面はありそうなので、物販コーナーでは財布の紐を緩めるようにしました:-)

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物販コーナーにて

で、たぶん、それだけじゃ不十分なので、観光ポスターセットが「ふるさと納税」の返礼品にあったので、その他のものと一緒に申し込みました……って履歴を確認したら、去年も申し込んでるじゃねーか。どこに届いてるんだ?^_^; 部屋を片付けないと……(定期)