2023年日本のアニメ映画ベスト10+α

例によって破壊屋さんの「2023年日本のアニメ映画ベスト10」のためのリストです(2021年版2022年版

今年は中編作品(1時間くらいのもの)が目立ったのと、テレビシリーズに関連するものが多かったのですが、合いそうにないものを避けていたこともあり、だいたい期待通りか期待以上でした。アニメ以外は微妙と思っていたのですが、年末になって「ゴジラ-1.0」という傑作を鑑賞。見送るつもりだった「鬼太郎誕生」とともに、よい年末でした。昨年に比べて鑑賞した作品数は減ったものの、前売特典や入場者特典につられてリピートすることが増えたというのも個人的な特徴です。響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~」は16回見ました。過去最高。まあ1時間モノなので、去年の「映画 五等分の花嫁」(2時間超)の10回リピートに比べれば総鑑賞時間は短いです。

※2023年の劇場アニメ全作品のリストはこちら→ AnimeMovie2023.xlsx

①鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
BLUE GIANT
③窓ぎわのトットちゃん
響け!ユーフォニアム ~アンサンブルコンテスト~
青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない
⑥【推しの子】(テレビアニメ1話先行上映)
青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない
⑧劇場版 SPY×FAMILY CODE: White
⑨ガールズ&パンツァー 最終章 第4話
⑩駒田蒸留所へようこそ
⑪大雪海のカイナ
⑫アリスとテレスのまぼろし工場
プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章
⑭SAND LAND
⑮五等分の花嫁∽
ダンジョン飯
君たちはどう生きるか
金の国 水の国
グリッドマン ユニバース
⑳屋根裏のラジャー
㉑死が美しいなんて誰が言った
㉒アムリタの饗宴(併映:アラーニェの虫籠<リファイン版>)

例によって、多少のネタバレがあります。

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

初期の古いテレビシリーズしか知らないという程度で、公開前はまったく興味がなかったのに、なにやら評判がよいらしいというのでおそるおそる鑑賞しました。序盤でミステリーっぽい話なの?妖怪相手なら意味なくない?と思っていたのがガツンとやられました。これは秀逸なミステリー。見る前は“鬼太郎誕生”でキャッチコピーに「初めて明かされる」とあるから、ストーリーそのものは水木しげるの作品ではないだろうに大きく出たな、なんて思っていたくらいでしたが(そもそも水木しげるのマンガはほとんど読んでない)、水木しげる生誕100年記念」にふさわしい逸品だと思いました。水木しげるの原作に中盤のオリジナルストーリーを挟み込んだみたいですが、これはホント、見に行ってよかった。

BLUE GIANT

「鬼太郎誕生」を見るまでは、今年のベストはこれかな、と思っていた作品です。アポなしで友人のところに転がり込むとか、素人ドラマーを引き入れるという序盤の展開はあまり好きではないのですが、ストーリーはうまく作られていて音楽も交えたことで説得力がありました。ジャズのことはよく分かりませんが、熱い思いが伝わる作品です。ただ、モーションキャプチャ―の動きは微妙で、カメラワークも動き過ぎでした。テレビアニメ「ぼっち・ざ・ろっく」ではモーションキャプチャしてから構図を決め、その上で作画していたらしく、それに比べるとCGの使い方が“雑”で見劣りします。そして、もっと落ち着いた映像だったとしても作品の魅力は伝わったと思います。ジャズのプロたちが、どの程度リアリティを感じるものなのかは興味深いところです。
ちなみに、blu-rayの発売に向けて「200カット以上がブラッシュアップ」されたそうです。ブラッシュアップ版も劇場上映されたので見るかどうか迷って見なかったんですが、直す余地があったということではあるのでしょう。「鬼太郎誕生」より下にしたのも上記のCGまわりのせいなので、そのあたりが改善されているならトップが違ったかもしれません。

窓ぎわのトットちゃん

原作を読んだのは昭和の時代です。おさらいせずに鑑賞しましたが、冒頭のエピソードを含め、色々覚えてはいました。泰明くんの話もどうなるかも覚えていましたが、それでも涙腺にきました。挟み込まれるイメージ映像の演出は賛否がありそうですし、トットちゃんが見ていなかった部分などは演出されている面もあるのでしょう。小林校長が張り紙を破り捨てたのかは分かりませんが、反戦メッセージがそこまで強調されていなかったのも含め、よい映像化だったと思います。アニメとして制作されたのもよかった
ただ、原作を読んでいるときには意識していなかったことに「もともといいところのお嬢さんなんだな」という印象がありました。これは、トモエ学園の生徒全体にも言えることですが、泰明くんを含めみんないい服を着ていました。「オンボロのトモエ学園」と囃し立てられる場面がとくにそうで、オンボロとバカにしている子供たちの服が、はるかに地味(←おとなしい表現)でした。その子の親が「あそこに行くのはヘンな子」と言っていたらしいというのも、知りもしないものを批判する、というより、格差に対するひがみから出た言葉なんじゃないかと思うくらいです。忠実な再現を心掛けたせいなのかもしれませんが、そもそもトモエ学園は私立ですし、黒柳徹子さんは女優をされていたくらい美人でした。原作の最後には、トモエ学園の卒業生が活躍されていた話も書かれていたと記憶していますが、なんとなく「これは庶民の話じゃないな」とも考えてしまいました。(それがよくなかった、という意味ではありません)

響け!ユーフォニアム ~アンサンブルコンテスト~

もともと良作で、1時間弱の中編という点をさておけば、あくまで平常運転という作品です。部長としての久美子もそうですが、麗奈の父親の話など、ひとつひとつのエピソードがとてもよく作られています。とくに終盤の重要な会話を「マリンバを移動させる」というシーンで伝えたのはすごいと思いました。ただ、出場者を決める投票の方法について久美子案には意味がなく、あれを滝先生が「いい案」と結論付けたのは納得がいきません。その場にいた誰も気づかなかったとしても(塚本は気付け)、部員に提案したところで誰かは「意味ないよね」って指摘するはずです。他にも麗奈が小日向を誘ってるように見える場面があったり、(レギュレーションに合わない2人組で演奏した)ミドリがアンコン出演したかったみたいな話をしているのも気になるところです。いつもは細かいくらいリアリティを感じる作品だけに惜しいところ。
あと、前売券の種類が多くて、結局16枚買って(1枚は布教に使ったけど)舞台挨拶も見たので全部で16回見ました。同一作品を映画館で見た個人最高回数です。中編作品じゃなきゃ、途中で挫折していたでしょう。ちょっとこういうのめり込み方はやめないとな、と反省しています。

青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない

前売券が「おでかけシスター」と同じ1400円なので中編作品なのかと思ったら、75分で(一応)通常作品でした。作り込んでいくうちに伸びたかな。細かいことですがシネマシティでは中編作品には割引価格が適用されないので、通常作品の方がありがたいんです。最近は前売券を買い込んでいるので、あまり関係ないといえばそれまでですが。
閑話休題
これも平常運転ですが、「おでかけシスター」に比べても本シリーズのテーマである思春期症候群が要素になっていて、それなりの抑揚のあるストーリー展開でした。まあ、そこに(理不尽な)理屈をつけるところで無理を感じてしまう面もある一方、肝心の“ランドセルガール”が登場する理由などは一切描写されておらず、それはそれでどうかというところです。途中、どう考えてもそれで終わったら不自然でしょ、というエピソードがあり、これは……と思ったていたら、続編決定でした。グッズを大量に買っている身としては、そりゃ終わらせられないだろうなというのもよく分かりますが、ガルパンのように間延びしないといいな、とも思ってます。あと、“通院”なのに病室にいて花まで飾ってあるというのはどういうことなんでしょうね。

【推しの子】Mother and Children(テレビアニメ1話先行上映)

原作コミックから読んでいたものが予想通りテレビアニメ化された作品です。出オチ感のあるタイトルを回収する1巻が、90分スペシャルの1話となり、劇場上映され、主題歌を含めヒットしました。同じ春アニメに「スキップとローファー」「僕の心のヤバイやつ」があり、本作は春アニメに限っても個人的なベスト作品にはなりませんでしたが、良質な原作を盤石なスタッフで幸せなアニメ化でしょう。テレビシリーズは1クール放送済みで、2期も予定されています。きっと最後までアニメ化してくれると期待しています。肝心の原作がなかなか終わりませんけど。

青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない

これも中編、かつ平常運転です。セリフ回しがうまいのはいつも通り。ただ、間をつなぐ作品でもあり、ストーリーは地味。これならテレビ放送で十分だった気もしますが、他のエピソードもあってそういうわけにはいかなかったのでしょう。と思っていたら、なんと前作(ゆめみる少女)の興収を超えたそうで、ちょっと驚きました。そういえば、ユーフォも「誓いのフィナーレ」より「アンコン」の方がよかったそうで、こうなると前売券の種類を増やしたり、中編で時間が短く回転がよかったというあたりが貢献してる気もします(それでいいのか?) 本題とは関係ないですが、カドカワ作品であるためか通信制高校をやたらポジティブに伝えているのが「N高」の宣伝を兼ねているようにも感じました。あと、受験倍率が試験日を過ぎるまで分からなかった、という設定はどうなんでしょうね(そんなことあるんですかね?)

劇場版 SPY×FAMILY CODE: White

人気テレビアニメの新作映画です。そこまで人気があるのかなあというのは、「ドラえもん」や「名探偵コナン」を思えばあくまで個人的な感覚でしかないので、どうしようかと思いつつ鑑賞しました。最初に軽く設定を紹介していたのは未見の人も対象にしたいという思いがあるのかもしれませんが、本編はテレビシリーズのキャラ設定を思う存分“活用”しているので、万人向けになるのかはちょっと分かりません。捻って捻って、みたいな展開ではないので、素直に楽しめます。いや、“クソ映画”と呼ぶ方が正しいのかもしれませんが(←誤解を招く言い方)、劇場は笑い声があふれていました。一度見れば十分かな、という気はしますけどね。

ガールズ&パンツァー 最終章 第4話

ホント、毎回毎回よく考えるものです。しかも、中盤に学校交流のシーンが数分あるだけで、1時間足らずの上映時間のほとんどが戦車戦でした。(もちろんわざとでしょうけど)マンネリシーンがありつつも、迫力のある映像や動きの一つ一つを細かく調整している感じが伝わってきます。そして、時間がかかっているのもそうした調整のためなんだろうとは思います。とはいえ、OVA6話に何年かけるつもりなのか、という気持ちも年々強くなり、正直、気分はあまり盛り上がってません。

駒田蒸留所へようこそ

スタッフトークにも参加して、思った以上に3DCGが活用されていたり、プロの声優が使われている所は私好みで、丁寧に作られた良作だと思います。ただし、それ以上のものではなく、ストーリーに“大きな感動”とか“驚くような展開”みたいなものはあまりありません。私自身は下戸だし、ウイスキーの味の違いといった感覚も分からないのでウイスキー造り”というテーマ自体への興味がそもそも薄いということもあります。あと、予告編を見て中盤のトラブルが分かっていたというのが、宣伝の難しいところという印象です。

大雪海のカイナ

テレビシリーズを受け継いだ完結編です。テレビシリーズを見ていることが前提で、おさらいやまとめなどは一切ありませんでした。テレビシリーズを好きな人が見て、楽しむ作品であり、そういう作品としては順当な完結編だと言えます。物理法則とかそういうものを超越した世界で「そんなんあり?」とは思う設定はあるものの、うまく話がまとめられていました。正直、二瓶勉原作以外のポリゴン・ピクチュアズ作品はイマイチ好きになれないのですが、これはよい方です。ただし、「シドニアの騎士」に比べればストーリーは物足りず、キャラデザも魅力的ではありません(なんというか、かわいくない)。それが分かっているのか、主人公(カイナ)もヒロイン(リリハ)も劇場版グッズはキービジュアル以外はグッズになっていませんでした。それそれで驚くんですが。

アリスとテレスのまぼろし工場

刺さる人には刺さりそうな感じがしますし、事前に絶賛していた人もいましたが、そこまでの作品とは思いませんでした。ただ、入場者特典が6週目まで用意されているのに、ほとんどの映画館で5週目までに上映が終わってしまい、6週目の特典をもらうために都心に出ることになってしまった上、新宿ピカデリーの上映回が満席になって、渋谷まで出かける羽目になったのはいただけません。もうちょっと頑張ってほしかった。しかも、その日で特典の配布が終わってしまったらしく、ちょっとプロモーションに問題を感じます。作品自体については、アニメの動きには勢いがあり、設定が雑なところはある程度突っ走っていく感じでした。個人的には、なぜか事情に詳しい工場長を、もっと“いい人”として描写してほしかったというところです。“いい人”だけど判断を間違えてしまう、という流れにしてもストーリーは成立していたんじゃないですかね。締めくくりは、まあそうするしかないんだろうな、という感じのままで終わってしまったので、そこはちょっと残念なところ。ところで、“アリス”と“テレス”はどこにいたんでしょうね?
ちなみに9月公開だったのに、早々と来年1月からNetflixで配信がはじまります。なかなか厳しいですね。

プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章

これも、やはり中編作品で、これぞ「プリプリ」という内容でした。前作(第2章)が微妙だと思っていただけに意外な好印象でした。これも過去作があるので、過去作が好きな人が見る内容になっていますし、その意味では順当に作られています。いまさら、過去以上に広がりを持つこともないでしょうけれどね。それにしても(今村彩夏さんを引き継いだ)古賀葵さんの多彩っぷりが光ります。

SAND LAND

(世代ではあるけど)ドラゴンボールを見ていなかったこともあり(EVOLUTIONはネタとして鑑賞)、本作は見送るつもりでしたが、たまたま時間つぶしで鑑賞しました。王道的なストーリーで悪くはなかったと思います。原作が古いためか、あるいは“王道”であるためか分かりませんが、ストーリー進行に古さを感じたところはあり、個人的には好みのジャンルではないのですが、絵作りは丁寧ですし、あまり評判にならなかったのが意外なくらいです。ちなみに、続編がディズニープラスで配信されるそうです。

五等分の花嫁∽
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これも中編で平常運転です。ストーリーとしてはテレビシリーズ(2期)と上映済みの劇場版の間になるもので、もっとうまいこと挟み込めなかったものかと強く思います。まあ、劇場版の成績がよくて、これなら端折った部分を映像化してもいけそうと思ったんでしょうけれどね。もっとも、そう思わせてしまうところが企画の難しさではあるのですが、そういう背景を無視すればそこそこ良作ではあります。ああ、でも、ちょっとクサい。舞台挨拶では、さらなるアニメ化の話題も出ていましたし、グッズ展開などは成功しているように見えますが、さてどうなることやら。

ダンジョン飯 ~Delicious in Dungeon~ 先行上映

異世界の食事モノ、ということで、あまり趣味ではなく見送ろうと思っていたものですが、毎期何かしら先行上映に参加していたので、消去法で見に行ったという感じです。TRIGGERだし、アニメとしては普通に作られているので、好きな人にはいいでしょう。

君たちはどう生きるか

面白いアニメを作るだけでバカ売れすると思うのですが、もう面白いアニメを作る気がないってことなんですかね。それを理解した上で宣伝もせずパンフレットも売らないという決断した鈴木Pの英断には涙してしまいます(←ヤメナサイ) 世間的には“悪評”というほどでもないらしく、むしろ興収としては上々のようで、宮崎駿ブランドの力を感じました。でも、みんなホントに内容が理解できたんですかね?と疑問符がいっぱいにはなります。別に“駄作”とは言いませんが、“冒険活劇”と聞いてラピュタ紅の豚がもう一度来るかという期待は完全に肩すかしでした。高畑監督や鈴木プロデューサーがモデルになってるとかいう話もあるようですが、知らんがな。何か理由があるのでなければ劇場でもう一度見てみようという気も起きず、こんな作品を作るために優秀なアニメーターが長年拘束されていたかと思うと腹立たしいくらいです。「タイタニック」に負けた「もののけ姫」以来、年間興収のトップにもなれず、これで引退してくれると思いきや、まだ新作に取り掛かっているのだそうで、やれやれ。

金の国 水の国

映画館で見るか迷うレベルで、やや子供向けっぽいところとタレント声優であることも考えて劇場での干渉波見送ったところ、WOWOWで放送されたものを視聴しました。見送ったのは失敗だった、とまでは思いませんでした。基本的に子供向けだと思いますし、そんなに難しい設定も、ひねくれた展開もなく、そこそこ素直なストーリーです。

グリッドマン ユニバース

六花のキャラデザが好きな程度で、もともとテレビシリーズも微妙でした。テレビシリーズが好きなら楽しめるんだろうな、というのは分かりますが、個人的な好みじゃありませんでした。六花のキャラデザだけが救い。なぜかグッズは増える。六花かわいい。でも、続編が出たら、また見に行くと思います。

屋根裏のラジャー

スタジオポノックとして「メアリと魔法の花」(2017年)以来、6年ぶりの長編アニメということで、期待感はゼロどころかマイナスだった作品です。予告編からして“イマジナリ”という素材にタレント声優という、まったくモチベーションが上がらない内容で見送ろうかと思ったくらいですが、見ずに批判するわけにもいかないと思いつつ、できるだけニュートラルな気持ちで鑑賞しました。相変わらず「綺麗な映像でタレント声優に棒読みさせればポスト・ジブリが名乗れると思ってるのか」という内容で、イッセー尾形所ジョージをほうふつとさせましたが、ある意味「メアリと魔法の花」レベルを覚悟していたせいか、そこまで酷いとは感じませんでした。「メアリ」は最終的には興収32.9億までいったそうですが、本作は相当に厳しいようです。封切に合わせてメアリを放送したのが失敗だったのでは

死が美しいなんて誰が言った

アニメ一覧を作っていたのに見逃すところでした。全編に生成AIを使った作品で、どうやら自主制作だったつもりの作品が、劇場公開になったそうです。私自身は生成AIに(権利処理の面で)批判的な立場ですし、古いゲームムービーみたいな予告編からはヤバさしか感じないので、普段なら「配信になったら見るかな」というくらいなのですが、原作があり(←実は勘違いで、原作ではなく原案だった。本作はゾンビもの)、監督がテレビドラマに携わっているようなプロということで、ちょっと魔が差しました。
本編もゲームムービーの延長線ではあったのですが、昔のブラウン管時代に画質が悪かったからつまらなかった、となるわけではありません。実際「全編に生成AIを使っている」だけで、「すべてが生成AIで作られている」わけではありません。「デジタルな作品なのでアナログを入れたかった」というアカペラの主題歌は、なかなかよかったです。実写畑の監督が初めてアニメを作るためにモーションキャプチャを使い手描きの質感を与えるためにStable Diffusionを使ったそうです。少なくとも「君たちはどう生きるか」より分かりやすいストーリーでした。作品の“良し悪し”は別ですが。

アムリタの饗宴(併映:アラーニェの虫籠<リファイン版>)

キービジュアルのキャラデザだけで前売券を買いました。単体では劇場アニメとしては短く旧作との同時上映することでフル尺の映画として成立させた感じです。これが個人制作だそうで、今どきは個人制作でここまでできるんだという印象と、個人制作じゃこのあたりが限界なんだろうなという印象を持りました。作品としては、たいして中身はありません。キャラデザのよさが、あまり映像に活かされていなかったように思いますが、見て損したとまでは思わなかった、というところです。