「スキップとローファー」再訪の記録(+聖地巡礼のお誘い)

・計画
・1~3日目
・聖地巡礼のお誘い

■計画

スキップとローファー」は高松美咲先生の学園コミックで、2023年の春にアニメが放送されました。その夏には作品の舞台である石川県珠洲市で聖地巡礼のバスツアーが催されました。これは公式のツアーであり、ARカメラが使えたり、スタンディパネルが設置されたりしていました。このツアーの記録は「「スキップとローファー」聖地巡礼バスツアーの記録」にまとめてあります。そのときに「いつかは再訪したい」と思っていましたが、翌年の正月に能登半島地震が発生してしまいました。スキロー10巻の巻末では高松先生のご家族にも被害があったことが言及されていてショックを受けたことを覚えています。

宿泊したホテルや食事をとったレストランなどが被災したという話は聞いており、当分再訪はできないものと思っていましたが、昨年の「能登復興支援コンサート」に出向いた際に、宿泊したホテルが「復興工事の人のために限定的に営業を再開していて平日はダメだけど、休日なら泊まれるはず」と聞きました。そこからだいぶ時間が経ってしまいましたが、ようやく再訪できました。

上記のバスツアー(2回目)の直前のエピソード(コミック10巻)に出てくる輪島朝市や白米千枚田にも行きたいと思っていましたが、輪島朝市は震災で焼失し、白米千枚田も復興の途中ということで今回は見送りました。(スキローというより君ソムの聖地ですが)見附島が崩れているとも聞いていましたし、他も色々と聞いていたので、今回の主目的は再訪であり、あとは成り行きでいいやと思うことにしました。
3年前のバスツアー(1回目)でガイドをしてくださったのは「道の駅すずなり」の宮口さんという方ですが、しばらく前から「リブート珠洲」というところで復興支援ツアーを催している会社に転職されていました(ここも行政の観光対策の一環かと思っていましたが違いました)。そこで復興支援ツアーを実施されているので利用することにしました。現地までの往復がクルマの免許を持たない私にとっては難関なのですが(バスツアーのときは往路は飛行機、復路はバスや青春18きっぷなど色々でした)、今回は飛行機とバスを組み合わせることにしました。丸一日を復興支援ツアーに参加するため2泊することにしました。

1日目

羽田空港も聖地ですが、飛行機が少し遅れたのに能登空港の路線バスが出発を待っててくれないのは焦りました。幸い、ふるさとタクシーという乗り合いタクシーを利用できました。本来、予約が空いてないと利用できないそうなので、次回からはこちらを予約しておこうと思います。

アニメ9話、原作16話に登場する羽田空港

のと里山空港

ふるさとタクシー

無事、道の駅すずなりに到着して、震災後に設置された隣のすずなり食堂で食事しました。(お土産を買うのは帰る日)

道の駅すずなり

すずなりに隣接している珠洲駅跡

すずなり食堂で食事

スキローバスツアー(1回目)でガイドしてくださった宮口さんと私

晴れていればレンタサイクルを借りるところですが*1、残念ながら断続的に雨が降っていたので、この日はホテル*2まで歩いて向かうだけにしました。原作16話(アニメ9話)で美津未が帰省して地元の友達たちと会う高倉彦神社は、バスツアーでも訪れていた場所ですが、このあたりにあった古い家は倒壊して撤去されていたあとでした。事前にストリートビューで建物が倒壊したようすは把握していたつもりでしたが、すっかり面影を失い、言葉がありませんでした。

途中のようす

ここから海岸を沿ってビーチホテルに向かいました。ふみちゃんが電話していたボートや美津未がカニを探していた海岸が当時のまま、というくらいでした。

高倉彦神社

ナオちゃんがいた海辺

ふみちゃんが電話していたボート(原作/アニメでは逆さまになっていない)

カニを探していた砂浜

到着したホテルは暫定的に営業しているとのことでしたが、やはり震災の爪痕が残っていました。それこそ今は復興工事のために営業できていても工事が終わったら、それ先の見通しはあまり明るくないような気はします。ホテルの厨房が使えないと聞いていて何か弁当を買っていこうと思っていたのを忘れていて、お土産を夕食代わりに食べました。部屋でWBCの配信を見ていました。

珠洲ビーチホテル

ホテル近くのようす

お土産になるはずだった晩御飯

大浴場

2日目

復興支援ツアーのために見附島の駐車場に集合しなければなりませんが、直接向かうバスはないので、タクシーを利用しました。なお、「すずバス」は土日は運行していないと聞いていましたが、運行しているようです*3

タクシーで見附島まで

見附島のようす

午前は標準コースで宝立町を中心にまわりました。ある程度は報道で見知った話ですが、早く復興するために地中に埋める浄化槽を地上に置いたり、水道管を地上に這わせたりして大変な状況は続いており、仮設住宅ができあがっても申し込んでいた人が引越済みで人が減っているそうです。ちょこちょこ片側通行の道路がありました。

復興支援ツアーに出発

説明を受けたキャンピングカー

仮設住宅

壊れた橋を撤去

液状化現象で飛び出したマンホール

地中に埋める余裕がなく、地上に設置している浄化槽

新しい家が見えるのは立て直したのではなく、地震で壊れなかったものが多いらしい

ダムの法面が地滑りしている

午前中のコースが終わり、コンビニ弁当

午後は前述の宮口さんのガイドでスキローの聖地をまわっていただきました

午後のコースに出発

3年前のバスツアーのときにはまわらなかった「いろは書店」さんも訪れました。もとの店舗は地震で倒壊・撤去済みで、今は仮店舗で営業されています。言われるまで気付いていませんでしたが、原作12巻(p.89)の2コマ目に店内と当時の店主さんが登場しています。この方は(地震とは関係なく)亡くなられたそうで、今は息子さんが営業されていて、いずれ再建も考えているとのことでした。ちなみに「すずなり」でしか売っていないと思っていたスキローグッズ(復興支援コンサートで販売されていたもの)があったので買いました。ただし、セットで買うとついてくるショッパーは付いてきません*4

いろは書店

バスツアーでまわった蛸島駅跡、寺家近辺のボートの並び、道の駅狼煙、木ノ浦ビレッジ、高屋新保のバス停などを訪れました。

蛸島駅跡

ナオちゃんのクルマが走った道

道の駅狼煙

木ノ浦ビレッジの近く

木ノ浦ビレッジ

高屋新保バス停(ふみのバス停)

バスツアーのときは海の中にあったゴジラ岩

「すずなり」近くのスーパー前のたこ焼き屋さん

前日の分を取り戻そうとした晩御飯(食べ過ぎ)

時間が短いので禄剛埼灯台までは行けませんでしたが、どれも思い出深い場所で、十分に聖地を堪能できました。

3日目

珠洲ビーチホテルとその近く

すずバス

この日は「すずバス」で「道の駅すずなり」まで行き、アシスト付き自転車を借りました

借りた自転車

3時間借りて、ふたたび見附島まで行き、反対側で蛸島駅跡まで行きました。バスツアーのときに食事をとったレストランが倒壊・撤去されているようすなどを確認しました。

バスツアーのときに昼食をいただいたレストラン(地震で倒壊・撤去済)

途中のようす

この日も見附島

やぶ椿は珠洲市の花

倒壊した「いろは書店」跡

「グレーテルのかまど」(NHK)で紹介されていた「多間栄開堂」※この日はお休み

バスツアーのときに花火を買い求めたコンビニの跡地

蛸島駅跡

すずなりに戻って自転車を返し、お土産を買う

「すずキッチン」でお弁当を買って昼御飯

チャリティーでサイン色紙(このうちの1枚がうちにあります)

2時半頃に予約しておいたふるさとタクシーで現地を離れました。

ふるさとタクシーで空港へ

■聖地巡礼のお誘い

さて、こうやって一人で聖地巡礼するのもよいですが、3年前のバスツアーのようにみんなで聖地めぐりするのもよいものです。とくに海辺での花火は忘れがたい思い出になっています。改めて公式ツアーを開催してもらうのはなかなか難しいと思いますので、有志で集まれないものかと思っています。とくにバスツアーに参加された方は“同窓会”感覚で参加していただけないかと思っています。目標は今年の8月下旬です。詳細は未定ですが、興味ある方はX(旧Twitter)で声をかけてください。よろしくお願いします。

*1:「すずなり」の公式サイトでは休業中となっていますが、電動アシスト付きのものが借りられます

*2:珠洲ビーチホテル

*3:見附島までは行きません

*4:「すずなり」でセットを買うと付いてきます

2025年日本のアニメ映画ベスト10+α

例によって破壊屋さんの「邦アニベストテン2025」のためのリスト。(2021年版2022年版2023年版2024年版

【総評】
一部を除き、「合わなそうだな」と思うものは最初から避けるようにしてるので、そんなにひどいと思うものはなかった……と言いたいところだが、怖いもの見たさで手を出したもののいくつかは、予想した通り、あるいは予想外に期待外れだった。去年に引き続き前売券の爆買いをやめたので、映画館での鑑賞回数は34回(同じ作品では3回が最多)どまり。ただし、映画やアニメの先行上映やサイン会といったイベントものにはよく行くようになった。聖地めぐりを抑えぎみにしてグッズ消費にまわしてきたが、(怖くて計算してないけど)総額がちょっと恐ろしい感じになってきたので、来年は自粛する予定。どこまで守れるか分からない

2025年の劇場アニメ全作品のリストはこちら→ Excel形式 HTML形式

アニメの先行上映を入れるか迷うものはあったが、今回からシネマカフェ、シネマトゥデイ、映画.comのような映画サイト、または映倫に情報がないものはExcel形式から除外することにした。だから12月28日に予定されている「推しの子」3期の先行上映は含まれていない(1期の「Mother and Children」は映画サイトに掲載されていた)。なお、HTML形式の方には来年以降のものも分かる範囲で載せている。

以下、私的ランキング。※2026/1/22修正(⑨と⑪が入れ替わっていた)

①ひゃくえむ。
チェンソーマン レゼ篇
③わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) ~ネクストシャイン!~
④ペリリュー -楽園のゲルニカ
⑤劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来
ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス
ホウセンカ
⑧映画 先輩はおとこのこ
⑨劇場版総集編 ガールズバンドクライ【前編】 青春狂走曲
プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第4章
⑪劇場版総集編 ガールズバンドクライ【後編】 なぁ、未来。
⑫映画小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜
⑬不思議の国でアリスと –Dive in Wonderland-
⑭機動戦士Gundam GQuuuuuuX
⑮メイクアガール
⑯この本を盗む者は
⑰ChaO
ベルサイユのばら
⑲僕とロボコ
⑳果てしなきスカーレット
㉑無名の人生
アズワン/AS ONE
㉓劇場版 呪術廻戦 「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」
㉔トリツカレ男

そして、例によって、ところどころにネタバレを含むレビュー。

ひゃくえむ。

傑作。チェンソーマン」とどちらをトップにするか迷ったけど、単独の作品ということでこちらを選出。監督のサイン会に参加できたというひいき目もちょっとある。原作コミックは未読。原作組から評判がよくないという噂を耳にしたけれど、よくできたストーリーだったと思う。原作者の「チ。」(テレビアニメ)や監督の「音楽」は個人的にはあまり好みではなかったので、ちょっと不安だったのだが、その反動、という面はあるかもしれない。時系列がいきなり飛ぶのも別にいいと思う。ロトスコープの使い方がしつこいな、と思った場面はあったけど、細かいこと。クライマックスの長回しは圧巻だったし、音楽もよかった

チェンソーマン レゼ篇

頭や腕がチェンソーになるという、それだけ聞いたら正気を疑うような設定の原作コミックは序盤で脱落した。テレビシリーズは色々言われていたみたいだけれど、個人的な思い入れはそれほどないので、わりと面白いと思って見ていた。修正された総集編を見ないまま劇場版を見たけど、ちゃんと面白かった。突拍子もない設定だな、という印象は変わらないけれど、製作委員会ではなく単体で出資したMAPPAの賭けが成功したようで喜ばしい限り。ちなみに世界興収は230億を超えているようで、日本以外の興収は「天気の子」より多い

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) ~ネクストシャイン!~

映画館で「13時25分より12番シアターで上映の『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)~ネクストシャイン!~』の入場を開始いたします」ってアナウンスするんだよね。笑っちゃう。
という余談はさておき、テレビシリーズを楽しめた人なら間違いなく楽しめるであろう続編。何度か書いたけど、日頃は百合モノを見ないし、もとのテレビシリーズもパスするつもりだったのが、イラスト担当の竹嶋えくさんの「ささやくように恋を唄う」という別作品が舞台やアニメで不運に見舞われているのを見て興味本位で見ていた。これがなかなか尖っていて面白かった。そして続きがありそうな終わり方で出てきたのが劇場版。テレビと同じノリではあったけど、よく劇場版が「G」区分で済んだな(←ヤメナサイ)
本作は、テレビシリーズの1クールに収まらなかった話を区切りの良いところまで(5話分)制作し、せっかくだからテレビ放送の前に劇場でも上映しよう、ってなったようで、パンフレットすらなかった。当初発表された上映館が14館しかなく、近所での上映がなかったので見送ろうと思っていたくらいだが、その後、自転車で行けるところに上映館が追加されたので見に行くことにした。そもそも都心の映画館では満席になってしまい、出かける直前に予約するような私はお呼びではなかったみたいだが。
「なれ子が悪いんだよ」という本編にはどこにも出てこない言葉がちょっとしたネットミームになる程度に、ヒロインの甘織なれ子が悪いストーリーだったけど、あたたかく見守るしかないね。原作はラノベなので、この先もあるみたいだが、さらなる続編が出てくる未来もあると思う。すくなくとも企画は出ていそう。だからって、急に制作はできないだろうけど。あと、冒頭でテレビシリーズを超速で紹介していたが、意味あったのかな、とは思った。
たまたま同日公開となった「果てしなきスカーレット」の不振ぶりと対照的だったのも面白かった(←だからヤメロと)。すでに手元にはグッズがいっぱいだ!(←オイ)

ペリリュー -楽園のゲルニカ-

良作。予告編やテーマから予想はしていたけれど、コミカルなキャラデザと戦争の悲惨さのミスマッチということなんだろうけど、時折CGの安っぽさを感じる程度で本編は真剣そのもの。史実を素材にしたフィクションらしいけれど、戦争にまつわる作品とかドキュメンタリーを思えば、いろんな要素がうまく組み合わされていたと思う。あえてネガティブな点を挙げるとしたら、どこかで聞いたような戦争エピソードが続くので、記号的に消化されているように感じららえる人はいるのかもしれない。そもそも幸せな結末を迎えるわけでもない。それがこの作品の意図するところなのだろうとは思うけれど。
あと、たとえ良作と思っても、体力を消耗する作品は、そう繰り返し見ようと思わないということはある。そのうちEテレあたりで放送されるかもしれない。

劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来

いまさら絶賛しないけれど、今までの延長線としては十分な出来だと思う。無限城のレンダリングは大変そうだけど、年寄りには長くてキツい、という以外の欠点は見当たらない。いちいち回想に入りすぎ、というのは同意はするけれど、まあ、この作品はこういうもの、というところ。完結した原作は買いそろえたまま読んでいないけど、残りの2作も楽しみにしてる。

ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス

油断した。油断していたのだ
“サガ”と「佐賀」というシャレだけで突き進んで勢いで笑いをとったテレビシリーズ第1期。日清とコラボした「カレーメシ」を買ったくらいには面白いと思った。たぶん思ったよりウケたから企画されたのだろう第2期は、わりと微妙で見返す気にならなかった。だから劇場版の前売券を買ったのも特典の団扇が欲しくなっただけで、決して大きな期待はしていなかった。
【ネタバレ注意】
宇宙人が攻め込んでくるという、よく持ち込んできたなという設定はさておき、容赦なく攻撃してくるわりに、なぜか反撃準備ができるまで待ってくれたり、なかなか都合のよい展開も、もともとゾンビというファンタジー世界だからと受け入れていた。そうなれば、終盤で“たえ”の覚醒が持たないことも、ああそうなるんだ、と思っていた。だから、そうなることは分かっていたのだ。
クライマックスのライブシーン、そうなることは分かっていたのに……泣いた。え、映画館でそんなに泣く?いい大人が?っていうくらい泣いてしまったのだ。まさに珠玉のライブシーン。本編のトンデモ展開なんてどうでもいいや。ああ、座席が前の方でよかった。人に見られないよう、そそくさと席を立ち、涙をぬぐいながらシアターを出た。
山田たえに花束を

ホウセンカ

佳作。監督と脚本が名作テレビアニメ「オッドタクシー」の人、制作が「夏へのトンネル」「ポンポさん」と大好きな作品を連発しているCLAPと、実のところ今年一番の期待作だった。ムビチケ2枚に加えて布教用も買った。面白い作品だとは思う。昭和のヤクザが主人公で時代感を含めたストーリーはよくできていた。好きか嫌いかで言えば、間違いなく“好きな作品”である。先行上映やトークショーにも出かけた。それだけに言いたいことがある。というか、設定の気になるところが最後まで解消されなかった。
【重要なネタバレ注意】
タイトルになっているキーアイテムの“ホウセンカ”。それがファンタジーな要素と思わせて実は……というのは「オッドタクシー」からの学びだけど、終盤まで本当にファンタジーな雰囲気だった。けれど、そこに“ホウセンカ”が届いた、ということがポイントなのであって、あとは阿久津の妄想と考えることはできる。それはいい。
中盤まで、これはプラトニックな話なのかと思っていた。飲み屋で意気投合したという女性と“いい仲”にならないの?とは思ったが、序盤で「好きだったけど、好きと言ったことはなかった」と言っていたくらいだ。深い仲にならなくても、一方的な思いだけでトンデモないことをしでかす、というのは「容疑者Xの献身」にもあった話だ。そう思っていたら、中盤になって那奈が「籍を入れてくれない」という話をする。プラトニックな関係で、女性側からそんな話しないよねぇ。もしそうなら、那奈はどんだけ厚かましいんだ?ってなる。阿久津は別に奥手じゃなく、羽振りがよくて夜の街で遊びまわっていたくらいだし、一つ屋根の下で暮らしてるんだから、別に関係があったっていい(後日、トークショーがあって木下監督に男女の関係はあった、と確認できた)。
そこまでの関係で、しかも阿久津が子供のために何をしたか分かっているのに、送られてきた手紙を読みもせず、面会に行こうともしなかったのか。そして時間が経って、手紙を読んで“ホウセンカを届けることはできるのに”返事も書かなかったのか。子供の命の恩人なのに、それを黙ったまま放置していたのか。なんか、桁外れに厚かましいんじゃない? 那奈と健介を“ヤクザの家族”にしないために阿久津が籍を入れない、というのは分かるけれど、そもそも一緒に住んでた時点でアウトなのではないか。近所づきあいとか学校のようすは何も描写されていなかったと思うが、住んでる地域も都会という雰囲気ではなかったし、地方で昭和で、そんなに甘くない気がする。手紙に面会に来るなと書かれていたのかもしれないが(そういう描写はなかった)、子供の命の恩人なのに、最後に隠しておいたお金を見つけてニコニコさようならというのでは、那奈がドライ過ぎるのではないか。むしろお金は手切れ金として堤に渡して、キレイに縁を切って阿久津を迎えに行けば、3人で幸せに暮らせたのではないか。なにやってくれたんだ、那奈、と思ってしまうのである。
郵便局の移転届は、届けを出してから1年有効というだけで実際には何回でも延長できるし、アメリカの心臓移植は本来国内向けに順番が決まっているのであって、大金を積んでくれる外国人には少数に限って割り込みができる、という仕組みが決まっているものなので、そこに中国ヤクザが入り込める余地はない。ああいうケースは、それこそ犯罪者とか誘拐とかで臓器売買(人身売買)という“命の取引”がなされていても不思議はなく、それを踏まえれば「助かってよかった」だけの話にはならない。というような、ちょっとなあ、という設定には目をつぶるけど、那奈の行動は解せない、というのが正直なところ
わざとらしく泣かせにこようとしないストーリーなのは好感だし、期待から大きく外れていたわけではないけれど、期待が高かった分、絶賛しにくい作品だった。

映画 先輩はおとこのこ

佳作。わりとキレイに終わったテレビシリーズの続きもの。封切り時点でテレビシリーズを再放送していた途中だったけど、冒頭でダイジェストを見せたり、人間関係を紹介することもないので、一見さんお断りな感じ。テレビシリーズを地上波で再放送してたけど、再放送が終わるまでに劇場公開も終わっちゃうんじゃないかと思っていたら、近所の映画館はそうなった。一応、テレビシリーズのダイジェストを紹介する特番は放送してた。
【重要なネタバレ注意】
テレビシリーズで、ある程度決着してはいたけれど、どちらかというとサブキャラだった咲がメインの作品。ストーリーは、無難といえば無難なものだけれど、咲の両親が二人ともワガママで咲がかわいそうになる。クジラの研究をしたいから海外赴任になるのは、分からないでもない話だが、だからって離婚するの? どちらが別れることを決めたのか分からないが、世の中、長期の単身赴任なんていくらでもあるわけで、一緒に赴任先に行けないから別れる、程度の感覚で子育てしてて、よく咲がグレなかったな。父親がしょっちゅう約束をすっぽかすのも問題だけど、母親は母親で大きな問題がある。いまどき家の鍵を持ってるオジサンがいるのに娘と同居しようとするの、常識を疑う。本当にいい人だとしても、咲が身の危険を感じても不思議はないわけで、そりゃ、泣くよ。これでグレなかったのはおばあさんのおかげかもしれないが、それでも叔母さんに「あの子は自分で決められない」とか言われるのは、かわいそうすぎる。大好きなまこと先輩に逆告白されて情緒不安定になるのもしょうがないというか、まあ、最後にはハッピーエンドになったからいいんだけど。
登場人物に悪役がいない作品が好きだけど、咲の両親は性格に難アリとしか言いようがないのに、そのわりには「それぞれの立場があった」みたいな感じで描写されているのもどうかと思った。あと、終盤の放送室はちょっとやりすぎな感じ。原作には手を出していない。

劇場版総集編 ガールズバンドクライ【前編】青春狂走曲

前編・後編ともにテレビシリーズが基本だから、中身は知ってるわけだが、おさらいせずに見に行ったせいで、あまり覚えていないところもあり、ちょっと新鮮ではあった。前後編でそこまで好き嫌いに大きな差があるわけじゃないけど、プリプリを10位に入れるためと、前編は舞台挨拶を見に行ったこともあり、後編を11位にした(←オイ)。舞台挨拶がなかったらスルーしてたと思う。
まあ、ちょこちょこグッズを買う程度には好きな作品で、仁菜は魅力的なキャラだと思うけど、あのヒステリックさは正直苦手。自分の若い頃を思い出すと、あんなもんだったかな、という気もするのだけれど。

プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第4章

佳作。あれからどういう展開になるのかと思ったら、突拍子もない展開という形でもなく、そのまま突き進んでいった。そこで無情の決断をするというのがテレビシリーズ1話だったと思うが、わりと無難な展開。でも、あと2話でハッピーエンドになるという気が全然しなくて心配になる。いや、それよりも第1章、第2章と同じ年に公開されて、「OVAなんて、そういうものだよね」と思っていたのが、ガルパンを追従するかのように2年ごとの公開になってきて、この先、ちゃんと結末まで見られるのかどうか心配になる。丁寧に作っているのか、ストーリー作りに難航しているのか分からないけれど、余命のカウントダウンは始まってるんだよ!

劇場版総集編 ガールズバンドクライ【後編】 なぁ、未来。

こちらもテレビシリーズの総集編で、ちょこちょこ忘れていた部分はあるけれど、基本的には知ってた話。前編と同じく、近所の映画館で舞台挨拶があったのだけれど、別件があって時間が取れず、通常の上映を鑑賞。

映画小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜

テレビシリーズが好きな人にはいいと思う。私は、そこまで入れ込んで好きなわけではないけれど(人外の日常系という設定はあまり好みではない)、京都アニメーションが事件以来制作したのが本作のテレビシリーズ2期であり、その続きということもあって鑑賞した。映画のために書き下ろしたストーリーと思っていたが、どうやら、ちゃんと原作にある話らしい。テレビシリーズとのつながりもよく、ごく自然な続きものとしての劇場版ではある。クレジットで「シリーズ監督 武本康弘」と出ると、涙腺が緩む。舞台挨拶を見に行ったら、小林幸子さんがサプライズゲストとして登場して、主題歌の歌唱まであったのはいい思い出。

不思議の国でアリスと –Dive in Wonderland-

意外に不思議の国のアリス」要素が満載だった。あまり期待していなかったこともあり、普通、という感想だった。リアルを意識してVRっぽい装置を装着してたけど、そうはならんよね、というところがちょいちょいあった。どうせフィクションなんだから言い始めたらキリがないけれど。

機動戦士Gundam GQuuuuuuX

私は、いわゆる「ファーストと逆シャア」派で、以降のガンダムで見続けたものがない。「閃光のハサウェイ」は見たが、面白いと思わなかったし、たいして覚えていない。興収50億を超えた「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」も見なかったし、本作も見送りかと思っていたが、やたらと話題になっていたので、特典に釣られて見に行った。
庵野秀明が脚本に参加したと聞いて予想はしていたけど、うん、これは「シン・ガンダム」だね。少なくとも前半は、ガンダムの二次創作。話の作り方はうまいのかもしれないが、「ゴジラ-1.0」が“ゴジラ本編”なのに「シン・ゴジラ」が“二次創作”という印象なのと同じ。“新作”だから配信でファーストを見るより、ずっと画がキレイだとは思うけど、どうせテレビ放送するなら別に見なくてもよかったな、という感じ。

【ネタバレ注意】

とくに後半、今どきそんな展開で導入していくのかとビックリした。転んで偶然何かを手に入れるとか、ぶつかって大事なものを落とすとか、いにしえの少女漫画かと。非合法デバイスを運び損ねて「次にやったらクビ」とか、いや、そんな闇の仕事、一度失敗したらクビどころか命の危機じゃないのか。やさしいアングラだなあ、オイ。しかも、マチュが手をぶつけて代金の金貨っぽいものを川に落としちゃうとか、それ「バトルで勝てば賞金」とか軽く提案できるような話じゃないよね。もっと申し訳なさそうにしろというか、あとの2人ももっと焦りなよ。無駄だと分かっていながら川に飛び込むくらいのことを想像したんだが。
ただの“先行上映”でなかったので、見て損したともつまらない作品とも言わないけれど、やっぱり"not for me"という印象はぬぐえなかった。一応、テレビシリーズも最後まで見たけどやはり好みではなかった。なんかプロットの作り方が古くない?

メイクアガール

「カノジョを作ればパワーアップできると聞いて、人造人間のカノジョを作ってしまうという」というストーリーのどこに魅力があると思ったんだ?と見送ろうと思っていた作品。なんで見ることにしたかというと、駿河屋で「天久鷹央の推理カルテ」のポスター(献血の特典)を購入したときにセットになっていたからだ。単品よりセットの方が安かったのだ。意味わかんないよね。そして、そのポスターのキャラデザがキービジュアルより可愛いかな、と思ったのだ。前売券(ムビチケ)買ったよ。
閑話休題

【ネタバレ注意】

うん、「0号」は可愛かったよ。でも、ホントに「カノジョを作ればパワーアップできると聞いて、人造人間のカノジョを作ってしまう」というストーリーだった。そして“苦労してカノジョを作り上げる”話ではなかった。作る過程が何もなかった。それならそれでもいいのだが、話の流れが飛び飛びになってる感じで、感情移入できる間がない。もうちょっと“話の流れ”というものを考えられなかったのか。最後の叫びもよく分からない。なんかロボットとかアンドロイドを暴走させるストーリー、やめてもらえないかな。
ストーリーが雑でも映像が良ければ、と思うところだが、この映像が微妙だった。なんでもスタッフ6人で制作していたらしいから、行き届かないところがあるのは仕方がないのかもしれない。でも、アニメとしてキツかった。なにしろ動きが“もっさり”しているのだ。CGやっててイージング(動きの抑揚)を知らないことはないと思うけど、全体的に等速度で動かしてない?と感じてしまうのだ。「ガールズバンドクライ」がイヤというほど動きがキビキビしているのとは対照的である。続編(というか新作?)の話もあるらしいけれど、ちょっと見送りかなあ、と思っている。

この本を盗む者は

原作は未読だが、アニメそのものは丁寧に作られていたので、原作が好きな人にはよいのかもしれないが、どういう心持ちで見ればよいのか分からなかった。

【ネタバレ注意】

夢オチと言ってしまうと色々不都合が出てくるので、ファンタジーな世界の話なのだと思うから、それなりにつながりが不自然でも許されないわけではないが、“本”というものを神聖化しすぎて、ちょっと話に無理が出てきている感じ。おばあさん、ただの悪者だったのも何だか今どきっぽい感じがしない。あと、古くから続いている家という設定だけど、それでなんで呪いを「ブックカース」なんて英語で呼んでるの?
ちなみにプレミア上映の舞台挨拶に、タレント声優とプロ声優が並び、さらに監督が登壇するだけじゃなく、キャラデザの人まで登壇していたのは、ちょっと驚いた。それだけ“アニメの作り”に自信があるということなのだろうか。タレント声優は目をつぶってもいいかな、というレベル。
余談だけど、エンドロールの文字が小さい。この作品に限らないが、小さな文字を読み取らせるのはやめてほしい。舞台挨拶回だと、前の方に座れるとは限らないんだよ。

ChaO

個人的には当たりハズレの大きいスタジオ4℃作品。アヌシー国際アニメーション映画祭で審査員賞を取ったとはいえ、“あの”「日本沈没2020」も取ってるものだし、そもそもよくこのキャラデザで行こうと思ったな、というようなキャラデザで、見送ろうかと思っていたが、そのキャラデザを担当したのが「グリッドマンユニバース」の作監だった小島大和氏だったので(イラストが可愛い)、勢いで見に行った
キャラデザはさておき、よくこのストーリーで行こうと思ったな、というストーリーだった。みんなワガママが過ぎて、感情移入できるキャラがいない。半世紀前なら「トムとジェリー」とか「ドラ猫大将」みたいなアニメがあったわけで、受け入れられたかもしれないが、コメディにしても寒い。「おとぎ話」をテーマにしてるから、ハチャメチャやってもしれっと進んでいくということだろうし、だからこその妙に“尖った”キャラデザなんだろうとは思うけれど、ただただキツかった。作画枚数10万枚を喧伝するだけあって、映像はすごいと思うし、それを活かしたエンドロールは唯一といってよい見どころだと思うが、少なくとも「ストーリーがよいのに認知が広まらなかった」というような作品ではないと思う。集客のためのタレント声優も棒読み感がキツかった。鈴鹿央士さんは、「夏へのトンネル」のときには雰囲気に合ってると思ったんだけどね。

ベルサイユのばら

もともと古いテレビ版をちゃんと見ていた記憶がなく、そんなに好きな話ではなかったため、劇場で見るか迷って見なかったが、Netflixで配信されたのを機に鑑賞。いや、なに、これ。
脚本が説明的で場面ごとに感じ入る暇もなく話が進んでいくのだが、しょっちゅう歌詞つきの曲を流しながらシーンをやりすごしてて、ストーリーのまとまりを感じられない。マリー・アントワネットが主役なのかと思ったら、クライマックスはオスカルとか、置いてきぼりにされた感じだった。むしろこれで興収が5億超えたというのはすごいと思う。

劇場版 僕とロボコ

配信が始まったので鑑賞。テレビシリーズはショートアニメとしては、そこそこ面白いと思っていたけど、長尺はちょっと厳しかったかな。声優連れてきて、本気でパロディやってて、ノリはテレビ版とたいして変わらないと思うけど、ショートアニメでちょいちょい見るくらいがよかった。メタネタが好きな人にはいいかもしれない。

果てしなきスカーレット

駄作、としか言いようがない。

【ネタバレ注意】

すべては昏睡状態にある夢の中の話ということにすれば、脈絡のなさを説明できるのかもしれないが、現代人である“聖”の設定がそれを許さない。死後の世界で食事を(排泄も)しないのかと思って見ていたら、食事するシーンが出てくるし、トルティーヤとか、その食材をどこで調達しているのか。そもそも死後の世界なのに、王も民もなぜかそのまま社会を構成しているらしく、いや通貨とか労働とか、どういう社会ができあがっているのか、さっぱり分からない。やはり夢?
時代が入り混じるといっても、結局聖以外に現代人は混じってこなかったし、ほかの世代が出てくる気配もなかった。そもそもデンマーク人と日本人が言葉の壁を乗り越えて会話してるのも、何の説明も解釈もなかった。最後はスカーレットが目覚めて“やっぱり夢オチ?”ってなるところだけど、じゃああの奇妙なダンスシーンは何だったのかとなって堂々巡りである。次の細田作品は(期待せずに)見ると思うけど、次もこんなんだったら、その次はない。ガッカリ。

無名の人生

ほぼ個人での制作ということで、ちょっとパスしていたのだが、時折よさげな感想が流れているので気になっていた。ちなみに「ひゃくえむ。」の岩井澤監督がプロデュースしている。そうこうしているうちに上映は終了して配信がはじまったのだが、たまたまブラックフライデーで「U-NEXT」のキャンペーンをやっていて、そのポイントでレンタル視聴。おとなしい言い方をすれば "not for me"。好みではなかった。
個人制作にしては頑張っていると思うし、アニメとしての動きは目をつぶるところもあるけど、そもそも、みんな初見でストーリーを把握できるんだろうか。だんだん明らかにされていくという面があるにせよ、(それを意図しているのか分からないが)誤解してたり分かりづらいところがちょこちょこあって、ストーリーに入り込む気持ちの妨げになった。そもそも芸能界の闇みたいな部分の取り込み方が記号的で好きではなかったのだけれど。

アズワン/AS ONE

事前のプロモーションを見る限り、見送るか迷うレベルだったけど、つい前売券に手を出した(布教用の分も買った)。「シドニアの騎士」の静野孔文監督だった、ということもある。開始15分くらいで「そんな設定なのかぁ」と声が出そうになったのは「あした世界が終わるとしても」以来。なかなかツラい鑑賞体験だった。「パシフィック・リム」を思わせる設定、使い古された時間のズレ、綿密に仕組まれたとは思えないストーリー展開など、よくこの企画を通したな、という内容だった。これで原作があるとは思わなかった、と思ったら、直接的な原作ではなく、これが前日譚になっているらしい。タレント声優も、キツい。ラコがかわいかったのが唯一の救い

劇場版 呪術廻戦 「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」

別に「呪術廻戦」にそんなに入れ込んでいるわけではないので、見るつもりはなかった。来年から始まる3期に備えて、過去分のおさらいはすませてある。これが新作の先行上映だけだったら見に行ってもよかったが、年を取るとトイレが近くなって、放送済みの部分が追加されて長くなるのは何も嬉しくはないのだ。だが、破壊屋さんが「果てしなきスカーレット以下のワースト」評価していて、そんなわけがないだろうと思って見に行った。
誰か止めるヤツはいなかったのか
TOHOシネマズなんかがそうだけど、下手をすると映画の上映前に20分くらい予告編を見せられる映画館がある。本作は、それが40分くらい(体感では1時間くらい)続く感じだ。“特別総集編”が、こんなただのダイジェストが続くだけのものとは思いもしなかった。テレビ放送でやれよ、そういうの。そうしたら流し見くらいで済ませるから。後半の新作部分は、普通にテレビアニメの序盤という感じだったから、それだけを上映してくれればよかった。

トリツカレ男

これは駄作というより、ダメな映画だと思う。映画サイトでの評価が意外に高くてビックリだけど、その人たち、新興宗教にハマらないか不安になる

【重要なネタバレ注意】
“トリツカレ”が言葉通り執着を意味しているけど、のっけから主人公(ジュゼッペ)の“ストーカー”気質がめいっぱい描写されていて、ちょっと引いた。そして、彼の“思いやる行動”をそのまま信じてしまうヒロイン。いや、ちょっとはアヤシイと思った方がいいよ。もちろん主人公なのだから悪意がないことを見てる我々は知っているわけだが、ヒロインの立場でそんな鵜呑みにしてしまうというのは教育上どうなのか。
そのジュゼッペは“金に糸目を付けずに助けようとする”んだけど、それこそお情けで仕事をもらってる感じだったのに、実は大きな収入源あるのかと思ったら、そういうわけではなかった。金に糸目を付けないならと手伝った人たちには、どういう見返りがあったのか?といった疑問が置いてきぼりにされる。主人公目線だけで考えたら、ヒロインに全力で尽くす“超善人”なのかもしれないが、そのために振り回される周りの人のことが考えられていない。彼はいい奴だから助けたくなるんだ、という設定なんだろうけど、それですむわけがない。こういう“信じることは素晴らしい”みたいな展開、「プペル」でも感じられたことだし、プペルも意外に評判がよかったりするのだが、全然受け付けない。

 

「であいもんツアー」の記録

■「であいもん」ツアー

であいもん」は、浅野りん先生による京都の和菓子屋を舞台にした漫画です。2022年4月にアニメが放送されて、これを機会に知りました。ヒロインの雪平一果(ゆきひらいつか)は小学生ですが、1話からドジっ子ではない設定に惹かれました。アニメも原作コミックもオススメの良作です。アニメの公式サイトが、KADOKAWAハッカー被害でダウンしたままになっているのは残念です。
その「であいもん」とホテルがコラボするという企画がきました。さらに「作者ゆかりの地で原作者に会える」というツアーもありました。
「え、会える?」
知らなかったのですが、過去にもそういう企画はあったそうです。アニメが放送されて人気も高まっていると思いましたが、これを知ったのが申し込み開始(2024年11月22日24時)前だったこともあり、(コラボルームは2人専用だったのか申し込めませんでしたが)受付が始まった時点で、いそいそとバスツアーに申し込みました。ちなみに、この時点では前後とも京都に宿泊して追加で京都めぐりするつもりもあったのですが、諸事情*1で見送りました。
初日のバスツアーは朝から始まるため、当日の現地入りというのは避けたかったのですが、前日の夜に予定ができたため、夜行バスを使うことにしました。最近、ときどき新幹線が止まることもありますし(バスも止まるときは止まるのですが)、そもそも朝寝坊したら取返しがつきません*2。バスに充電できる設備がなかったこともあり、京都到着後はネットカフェで過ごしました。

■バスツアー(1日目)

浅野先生と聖地を巡るバスツアーです。バスが出発するのは京都駅そばにあるAvanti前なのですが、夜行バスと違って受付が必要でした。早くから現地にいたのに出遅れました。

閑話休題

バスツアーの行程は、こんな感じです。

ツアーの説明に浅野りん先生と担当編集が一緒に帯同!」と書かれていたのですが、実際に浅野先生と担当のイナガキさんがあらかじめ寄せられた質問への回答を中心にお話しされていて、まさに「であいもん」尽くしの一日でした。ほぼリアルタイムでツイートしてましたが、細かいところまで書き残せなかったので、ここに記録しておこうと思った次第です。印象的なことでも時間が経つと忘れちゃうんですよね。

和菓子作り体験

よし廣」という和菓子屋さんで、和菓子作りを体験しました。今回作ったのは「雪上松」と「ねじ梅」。季節ごとに変わるそうです。当然、説明を聞きながら作るため、そんなに上手くは作れませんし、時間もかかります。だいたい1つ20分くらいかかりましたが、職人さんは3分で作るそうです。まあ、素人さんが20分くらいかかるプログラムを3分くらいで作れるでしょうけどね。(←張り合うな)

全体で4つのグループに分かれましたが、たまたま浅野先生と同じグループになったため、グループごとに受け取る修了証書に載る写真が浅野先生と一緒になりました。証書はグループごとに1枚だけなので先生がお持ち帰りになりましたが、スマホで撮影して記念になりました。

よし廣

和菓子作り体験

ランチ

美ね寅」という和食レストランで、昼食会でした。事前にアレルギーがあることをお伝えしていて席が決まっていたのですが、なんと目の前に浅野先生と担当編集の方々が座られました。アレルギーがあることを幸運に思う日が来ようとは。料理は美味しかったのですが、それよりなにより楽しい会話のひとときでした。この後でまわる伏見稲荷大社は、私がはじめて“アニメの聖地巡礼”をしたときにまわったところでした。そのときは「いなり、こんこん、恋いろは」という作品の舞台としてまわったのですが、その話をしたら「あれも(であいもんと同じ)ヤングエースの作品」と教えていただきました。そういうところ気にしてなかったんですよね。ちなみに、うちのリビングには「いなこん」のポスターが飾ってあります。18巻はいつもより時期があいているのですが、これは初めて出す限定版に付属するマスコットチャームの制作に時間がかかったためだそうです。ですから、19巻は割とすぐ出るそうです。あと、前日に言った「もちづきさん」コラボカフェの話とか、どんな音楽を聴くのか尋ねられて80年代の音楽とかを熱く語ってしまった気がします。何をやっているんだ、俺は。

美ね寅

ランチ

伏見稲荷大社

原作26話の表紙には伏見稲荷駅が出てきますし、原作77話には伏見稲荷大社が出てきますが、前述の「いなこん」を含め数多くの作品に出てくる舞台ですね。かつて「舞台めぐり」というスマートフォン用のアプリがあったときにはスポットも設定されていました。今回は滞在できる時間が1時間ほどしかなく、ちょっと足早に移動して、毎度見ていた「いなこん」の色あせていくポスターを探したんですが、道を間違えたらしく見つけられませんでした。

伏見稲荷大社

千本鳥居

東福寺

原作82話に出てくる「通天橋」があるお寺。原作9巻の表紙も、ここだそうです。ここはJRと京阪線の乗換駅の名前でもあるのですが、行ったことはありませんでした。なんとなく見覚えがある気がしたのは、「僕の心のヤバイやつ」とコラボした御朱印帳をゲットした勝林寺が近かったからかもしれません(道は違うはずなのですが)。“新作”も出ているので、あらかじめ準備しておけばよかったかもしれませんが、後の祭り。(←それはどうでもいい)

通天橋

東福寺

鴨川デルタ

アニメのオープニング冒頭にも出てきますが、鴨川神社近くの有名スポットですね。個人的には「たまこまーけっと」とか「有頂天家族」の方が印象が強いのですが。そして、原作85話に出てくる焼き芋屋さんが来てくれて、オヤツとして焼き芋がもらえるというサプライズ(バスで予告はされましたが)。しかも、一果ちゃん柄の袋に入っている上に、“保存用”の袋までいただけるという至れり尽くせりな配慮がうれしかったです。

焼き芋屋さん

鴨川デルタで焼き芋を食べる

バス内での質問タイム【ネタバレ注意】

できるだけスマホでメモしていたので列挙します。正しく聞き取れていなかったり、間違っているものもあるかもしれません。

  • 浅野先生はお酒が飲めない。
  • 担当はイナガキさんからカワマタさんにバトンタッチ。今やってる18巻、19巻がイナガキさんの最後の仕事。18巻は通常版と限定版で表紙がつながっている。「ぜひ両方買ってください」
  • イナガキさんは甘いものが苦手で、和菓子はほぼダメ。浅野先生曰く「どうして担当しようと思ったのか」(大意)
  • 「であいもん」は、ロケハンのときに移動時間も考えてストーリーを作ってる。
  • イナガキさん「2期(の話)はありません」「(1期の)追崎監督からは熱烈にアピールありますが」
  • キャラはプロットで性格付けしているが、実際に動かしてみないと分からないことはある。書いているうちにバックボーン次第で性格が決まっていく。
  • 一番苦労した話は「今(やってるところ)」
  • 「オチを付けようとしないで」って言われることが多い。地元に吉本新喜劇があって、オチを付けたくなってしまう。シリアスに終わらせず、場をなごませたいという気持ちがある。
  • (担当編集だけが知る浅野先生の素顔を聞かれて)イナガキさん「担当編集が読めないレベルで字が汚い」「娘さんの学校給食の申し込みが毎月必要なのに忘れることが多い」
  • 18巻ではじめて限定版(マスコットチャーム付き)が出ることになったので楽しみ。
  • プロットは打ち合わせから2、3日。(そこからネームで?)1週間、原稿は10日間くらい。
  • (当初から設定が変わったキャラがいるか聞かれて)あんまりいない。ずれないように気を付けてる。和は、最初の打ち合わせから顔が違ってきてる。
  • (たぶん)市販のもので好きなお菓子を聞かれて「雪見だいふく」が好きで、熱いコーヒーをかけて食べる、というのをやってみたい。
  • マンガを一本まともに描いたのは、中学三年のときにノートに丸々一冊描いたのが最初。
  • ちゃんと原稿として描いたのは、高三で大学に入る前の休みの時期に投稿作品として描いたのが最初。運よく賞をもらって、担当編集が付いた。
  • (尊敬する(?)漫画家を聞かれて)どの漫画家さんというより、作品ごとの背景が気になる。憧れの漫画家さんというか、会いたかったのは手塚治虫先生。
  • (描くのが難しかったお菓子を聞かれて)金団。形がランダムなものを組み合わせないといけないので、どれだけ描いても難しい。実在のお菓子はモデルがあるけれど、架空のお菓子の場合は、どういう思いが込められて作られているということまで考えないといけないので大変。
  • (よく見てるもの(?)を聞かれて)バイオハザードを時系列でクリアするという実況動画を見てる(コジマ店員さん?)
  • (担当さんが一番好きな話は?)「和さんの手は優しい手だから」というところ。和が巴を殴るシーンは、どういう殴り方をするのかといった話で三か月くらい喋っていた(担当さんの推しキャラの話はオフレコらしいのでカット)
  • (和菓子の勉強法を聞かれて)「和菓子屋さんにお話を聞くけど、ただ和菓子の話を聞くだけではなく、どのように興味を持っていただけるか、というところまで考える。そのため、プロットを伝えた上で相談する。自宅にはたくさんの和菓子の本があるけれど、全部を読み切れないので、付箋を付けながら考えている。
  • 原作もアニメも1話でわりと重要なセリフが出てくるところ、アニメが終わった後の展開で実際には似てる声の人でした。その点、アニメの続編が出てくると厄介なことになりそうですが、アニメスタッフに設定を伝えていましたか、という質問について(私の質問)「伝えてはいませんでした。担当の声優さんは京都弁に苦労されていて、ひとりで居残りとかもあったので、二役になったら発狂するかもしれません」
  • 担当さんからマスコットキャラが必要と言われて動物を出すこともあるけど、だいたい1話で終わる。理由は「飲食店ではペットを飼えないから」
  • (浅野先生から見た担当をキャラで例えるなら、と聞かれて)カレンちゃんかな。甘いものが苦手だし、英語も喋れない。(そんなに可愛くない、というツッコミあり)
  • 七条にあるマクドナルドで3か月だけアルバイトしてた。

サイン会(2日目)

鳴海餅本店で、サイン会がありました。今回は、あまりほかのことに手を出さないつもりでいたので、ゆっくりチェックアウトし、京都駅の方から歩いていきました。実は、久しぶりにファンレターを書きました。先生には「30年ぶり」とお伝えしていましたが、さっき確認したら1999年だったので25年ぶりくらいでした。ほかに先生への“お土産”はなかったのですが、途中で花屋さんがあったので、小さなブーケを求めました*3

ブーケ

鳴海餅本店には予定の時間より早めに着いて「であいもん」とコラボした「下萌」と「柚子羊羹」などをお土産としてゲット。コラボ商品は、ほぼ売り切れそうなところでした。買えて良かった。わりとサクサク進んでいたみたいで予定時間よりも早めにサインしていただきました。前日のランチで色々お話していたこともあり、ここでは、あまりお話はしなかったのですが、ひとつお伝えし忘れていたことを後で思い出しました。

LINEスタンプが欲しい!!

鳴海餅本店

お土産

サインとイラストカード

この後、追加で買ったみたらしを京都御苑でいただきました。

京都御苑

鳴海餅本店のみたらし

ちなみに、いつか訪れたいと思っていた吉田神社が節分祭で、浅野先生から原作8話、アニメ5話(Aパート)に出てくる「一果が鬼に泣かされる」エピソードにある鬼が午後6時になると出てくると教えていただいたのですが(このエピソードは大好き)、初日はその時間までに現地にいくには間に合いそうになく、2日目は迷ったのですが、その時間まで滞在していると帰りが遅くなるなと思って見送ってしまいました。また、いつか機会があれば

*1:前日の夜に「もちづきさん」コラボカフェに行くことになったこと、京都はオーバーツーリズムでとくに週末は非常に混雑しそうなこと、など。

*2:大学の卒業式を寝坊してすっぽかしたり、新卒のときわざわざ名古屋まで来てくれた社長と部長との面接にも寝坊して遅れた記憶がよみがえります。

*3:京都国際マンガミュージアムに立ち寄ったら「BLUE PERIOD」のグッズがあったのでゲット。

2024年日本のアニメ映画ベスト10+α

例によって破壊屋さんの「2024年日本のアニメ映画ベスト10」のためのリスト。(2021年版2022年版2023年版

【総評】
例年に比べると「これぞ!」というようなものがなかった。個人的には“吉田玲子無双”(安心感)と、アニメに限らずリバイバル上映が多かったな、というところ。「映画館に人が入ってない」とも聞いたが、実際、どうなんだろう。なお、2023年を反省して、前売券を全種揃えるとか、入場者特典のために10回以上見る、みたいなヘビーローテーションをやめた(max3回)。劇場アニメの興収がリピーター頼みになってるのも善し悪しと思う。昨今は感染対策が緩く、基礎疾患(糖尿病)持ちとしては出歩いくのがちょっと怖い(かつメンドイ)ということもある。舞台挨拶や先行上映はライブビューイング(LV)があれば、そちらを優先することも多くなった。たいてい当日の気分で入れるくらい空いてるし、カメラでズームアップしてくれる方が老眼にとっては見やすい。そして、こういう機会がそこそこあるのはありがたい。いい時代だねぇ。
ちなみに、去年は映画館で先行上映されるテレビアニメも入れていたが、先行上映会イベントとか、映画館でのイベントLVと区別するのもどうかと思って除外した。(以下の作品リストには残してある)

※2024年の劇場アニメ全作品のリストはこちら→ AnimeMovie2024.xlsx ※2024/12/19 X/Twitterハッシュタグリンクを修正しました。
※HTML形式にしました→ animemovie2024.html

がんばっていきまっしょい
②数分間のエールを
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前編
④きみの色
⑤ルックバック
⑥クラユカバ
⑦クラメルカガリ
⑧ふれる。
傷物語 -こよみヴァンプ-
⑩ぼっち・ざ・ろっく Re:
⑪ぼっち・ざ・ろっく Re:Re:
⑫トラペジウム
⑬化け猫あんずちゃん
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章
⑮大室家 dear sisters
⑯大室家 dear friends
さらば宇宙戦艦ヤマト
⑱五等分の花嫁*
⑲藍の約束(自主制作アニメ)
⑳好きでも嫌いなあまのじゃく
㉑BLOODY ESCAPE

以下、多少のネタバレを含むレビュー。

 

がんばっていきまっしょい

かつて酷評した「あした世界が終わるとしても」(あしせか)の櫻木優平監督作品である。実のところ、再び監督をする機会があるとは思っていなかった(←オイ)。「あしせか」が酷かったのは開始15分で明かされる設定だが、今回は原作モノである。(原作もドラマも知らなかったが)どんな風に料理されるのか興味がわくというものだ。
とても良かった。ちょっと期待はしていたのだ。冒頭で「脚本 櫻木優平」と出たときに、少しばかり「あしせか」の不安がよぎったけれど、奇をてらわない等身大の青春映画だった。高校のトップとか世界のトップを目指すような“スポ根”ものでもなく、地方の競技会が舞台というのもよいのだろう。こういう人との出会いで人が変わっていくというストーリーが大好物なのだ。本作はそんなに大仕掛けなストーリーではないけれど、リアルな高校生を描いたという感じの良作だと思う。スマホがキーポイントになってるから、それなりに脚色を入れているのだと思うけれど、主人公の葛藤やヒメの役割、二宮の関わり方など、踏み込み方、抑え方がいい感じだった。
他のCG作品に比べて見劣りするというような評価も見たが(MMDっぽいのは事実)、櫻木監督が4か月だか半年だか一人でコツコツ修正してたというだけあって、表情や動きの細かく作り込まれた感じはある。とある音楽映画でモーションキャプチャを雑に作画してたことを思えば……(←ヤメナサイ)。ただ、CGアニメにありがちな“これでもか”という動きは要らないと思ったのと、微妙にローアングルが多かったり、スカートの中が丁寧に描写されていたりというのは気になった。そういうのは、さりげなく出てくるくらいでいいんだよ。
でも、いい作品を見せてもらいました。興行的には厳しかったみたいだけど、櫻木監督の次回作には期待してます。
……と書いた後で、原作を読んだ(実写ドラマ・映画は未見)。これ、原作というより原案なんじゃないの?というくらいストーリーは違っていたが、原作のエッセンスを残しつつ現代劇に昇華させたものになっているのだと思う。このあたりは4年前の「ジョゼと虎と魚たち」にも感じたところである。

数分間のエールを

面白かった。正直、「がんばっていきまっしょい」とどちらをトップにするか迷ったし、見た時の印象は、こちらの方がよかったかもしれないと思うけれど1時間強の中編というところを少し割り引いた。実際、やや短めの尺なので複雑なストーリーではないけれど、ミュージックビデオをテーマにした“エールを送る”作品。王道といえば王道だけれど、それだけ余計な不安感もなく見られる。前向きになれる。公開が個人的に忙しい時期だったのと、小品と思ってちょっと時間をおいて鑑賞したら、パンフレットが手に入らなかった。(←中古で入手)

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前編

キャラデザとキービジュアルから子供向けなのかと思って見送るつもりだったけど、予告編にちょっと惹かれたことや故TARAKOさんが出演していること、脚本が吉田玲子さんだというところで鑑賞。前編なので消化しきれていないところもあるし、後編の上映が延びたことで「前編の内容を覚えていられるか」は気になったけれど、これがなかなかの良作だった(と、この時点では思っていた)。グッズ売りに精を出すようなキャラデザでもないだろうが、劇場グッズに加えて、たまたま出かけた先にあった POP UP SHOP でも買い物してしまった。後編は下記の通り。

きみの色

京アニでヒット作を連発していた山田尚子監督作品。実は、今年一番期待していた。以前のように前売券を爆買いするのはやめたけど、それでも3枚買ったほど。結果、よくなかったとは言わないが、ツッコミどころがいろいろあって感情移入しきれなかった共感覚を持ち込んだのは興味深いところだけど、変に見られないように秘密にしてるというわりに、誰が何の色だとかベラベラよく喋っていた。設定おかしくない? これも吉田玲子さんの脚本だそうで、面白い部分はそのあたりにあるのだと思うけれど、退学に必要なハンコを母親が押すという描写があったのを山田監督がカットしたらしい。えぇぇ、そういうところカットしちゃうんだ。ルイときみちゃんの恋愛感情も秘めすぎというか、久々に会ったからって、どさくさに紛れて抱きしめるとか、なんか“そうじゃない”感じ。期待値が高かった反面、ということはあると思うけど、期待通りだったとは言いにくい。

ルックバック

正直、これは評価が難しい。良作じゃない、とは言わない。ストーリーはよく考えられているし、映像も丁寧に作られていた。好きな人がいるのも分かる。ただ、原作コミックが公開されたときの「こんなに早く京アニ事件をモチーフにしちゃうのか」といってドン引きした気持ちをなくすことはできない。そして、それを差し置いても、結局、2人にはあまり救いがないわけで絶賛しにくい。好きかどうかでいえば、好きじゃない作品。アマプラで配信されるというので見ようと思っていたけど、なかなか気が向かない。

クラユカバ

もともと個人制作の人でクラウドファンディングもやっていて大正ロマンっぽいビジュアルで、黒沢ともよさんがCVやってなければ見送っていたくらいのものだけど、普通に面白かった。そもそも個人制作レベルと思っていたので映像にはそんなに期待していなかったのだが、ツインエンジンが制作してて“まともな作り”だった。インディーズじゃないじゃん、って感じ。知らんけど。年を取ってきたので約60分と短いのもありがたいくらい。ただ、大正ロマンというテーマ自体が個人的な趣味でないのと、鑑賞後にあまり心に残るものがなかったということで、この位置。商業的な成果がどうだったのか知らないけど、(これも長編の類らしいけれど)塚原重義監督、今後、普通の長編アニメを任されることになっても不思議はないと思う。期待してます。

クラメルカガリ

「クラユカバ」を制作するための条件として課せられたという作品。「クラユカバ」と同じ世界観で描かれるスピンオフ。「クラユカバ」のクラウドファンディングに、かねて塚原重義監督作品のファンだったという成田良悟氏が参加していて、リターンとして短編(※)を書いてもらったのがきっかけで制作されたんだそうな。テーマ曲がオーイシマサヨシさんなのも好感。
※「120ページは短編です」(成田良悟氏談)

ふれる。

秩父三部作(「あの花」「ここさけ」「空青」)を手掛けた監督:長井龍雪、脚本:岡田麿里、キャラクターデザイン:田中将賀が組んだ、という触れ込みの新作。でも、この三人が組んだ最高傑作は「とらドラ!」だと思う
閑話休題
架空の生き物(ふれる)によって言葉を使わずにコミュニケーションが取れる、という設定に惹かれないし、そもそもキービジュアルが男三人組で見送ろうと思うところだが、この座組みなので義務感で鑑賞。キービジュアルからBL狙いとも噂されたが、そういう要素はなく、せいぜい腐女子狙いというところか。「『グッバイ、ドングリーズ!』よりはマシであれ」という心配は杞憂だったという程度には、ちゃんとしたストーリーだと思うけれど、設定におんぶにだっこという感じであまり感情移入はできなかった。「ふれるの本当の能力」は、昨今のSNSを見ての話かもしれないが。
岡田麿里さん、ファンタジー設定のない作品を書いてくれないかなあ。

傷物語 -こよみヴァンプ-

かつての傷物語3部作を1作にまとめた作品。面白いことは面白いんだけど、やはり最初から1作にまとめてほしかった

ぼっち・ざ・ろっく Re:

テレビアニメの傑作を総集編として前後編の2作に分けた1作目。テレビアニメがよくできているから、前後編という形であまり端折っていない総集編としても面白いんだけど、総集編の例にもれず「テレビアニメの方がいい」としか。

ぼっち・ざ・ろっく Re:Re:

前編と同じで「テレビアニメの方がいい」なんだけど、後編の最後が衝撃だった。エンドロールを見るまで(イントロを聞くまで)「Re:Re:」がアジカンの曲だということを忘れていた。この曲は、「僕だけがいない街」というテレビアニメのオープニングで使われていた曲でもある。えぇぇ、いい曲だからって、タイトルがぴったりだからって、別のアニメのテーマ曲を締めくくりで使っちゃうんだ。「僕だけがいない街」は好きな作品だったのに、この曲はもう“ぼざろ総集編のテーマ曲”として扱われてしまうのだろう。いや、こちらは「Performed by 結束バンド」ではあるんだろうけどさ。

トラペジウム

つまらなくはない。CloverWorksのアニメはさすがだと思うけれど、あくまで小品。誰かしらのファンじゃないなら見送っても惜しくはないと思う。キービジュアルで宗教映画かな?と思ったけれど、そんなことはなかった。CloverWorks渾身のアニメという感じで映像はよくできていた。どこまでがCGで、どこまでが手描きなのか分かる人には分かるのかもしれないが、ダンスシーンなんかは見てて気持ちよいくらい。
【ネタバレ注意】
アイドルグループとしてデビューするのが主人公の“たくらみ”という、ちょっと突拍子もない設定。よくこんな設定でアニメを作ろうと思ったな、原作者が元アイドルだから売れると思ったのか?とさえ感じられる。作品でアイドルグループに巻き込まれていく人たちも、そんな都合よく乗せられるわけないじゃん、人前に出たくないだろうクルミまで熱心に練習しているのは流されすぎ、という不自然さがぬぐいきれない。やってることがプロデューサーというか、アイドルマスターかよ。そして、そういう悪意(あるいは狂気)に対するしっぺ返しがない。いや、ないことはないのかもしれないが、あっさり解決する。ボランティアからテレビ出演を狙って、実現したとたんボランティアをやめちゃうって、評判を気にしてる人のやり口じゃないよね。終盤にかけてちゃんと伏線が回収されていくけれど、そう思うと取ってつけた感じがしてしまい、感動の大団円という気分になれなかった。
まあ、でも珍しいものを見せてもらった気はするし、ありきたりのストーリーというわけじゃないのはたしか。

化け猫あんずちゃん

キャラデザがユニークなのと、実写を撮影してロトスコープとか手間がかかっていそうだったのでタレント声優に目をつぶれるくらいには期待していた作品。意外と肩透かしだった
【ネタバレ注意】
アニメオリジナルだという「かりん」を“いい子”に設定しなかったのは現代的なリアリティを求めたのだろうか。しかし、いきなり小遣い使いこむとか色々やりすぎて、応援する気持ちが生まれない。お母さんに会いに行く先が地獄というので、実は悪いことしてた人なのかと思ったところであの展開。そういう人材の居場所があるのかと思った矢先にあんなことになってしまい戻るのに「覚悟はできてる」みたいな流れってことは、それこそお母さん、この先“地獄の責め苦”を味わうことが確定しちゃったんじゃないだろうか。お祭りしてた人たちも、時間をかけて準備していたであろう人たちも、台無しにされてしまって、それっきりである。もとからそういう作品ということなのだろうけど、作品を通じて誰も成長していない

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章

前章がよいと思って絶賛していたんだけど、後編はそんな形で発散しちゃうのか、という印象が強くてちょっと引いた。見直したら印象変わるのかもしれないけど、なんだか残念。配信サービスで、結末が違う18話モノが見られるんだけど、見ていない。

大室家 dear sisters

ゆるゆり」のスピンオフ。ほのぼのした話で、特別すごい作品ではないが、無難な話でまとめている。まあ、完全にファン向けの作品で、テレビ放送で見たらそれでおしまいだったとは思う。実際、本編40分くらいなので、もう一つの作品(dear friends)と合わせて80分くらいなら、1本の作品でまとめてほしいところではあるが、通常の映画作品ではなく「ODS(Other Digital Stuff)」という形にするのが最近のトレンドらしい。

大室家 dear friends

ゆるゆり」のスピンオフPart2。だからどうというような話でもない程度の日常。

さらば宇宙戦艦ヤマト

宇宙戦艦ヤマト」とともに4Kリマスター。見たのははるか昔……と思っていたけど、たぶん私が見たのは劇場公開後に放送されたテレビシリーズで、劇場版は見たことがなかった、ということが分かった。「宇宙戦艦ヤマト」がテレビシリーズを編集して微妙に無理があると思っていただけに、最初から劇場版として作られたものでもあり、そこそこ良作だった。

五等分の花嫁*

テレビシリーズが1期、2期と続いた後、劇場版で完結したと思いきや、途中ではしょった話を「∽」(スペシャル)として制作して、そういうのテレビシリーズでやっとけやと思ったところで、今度は「*」(オハナ)。完結した劇場版の続編ができるということで、ビジネスとして引っ張るのもいい加減にしろと思うところだが、一応、見てみないと批判もできないと思うので見てみた。
いや、なんだその無理やりな展開は。何か裏があるのかと思ったけど、テレビシリーズ2話分くらいの時間しかないので、そんなわけもなく、ホントにビジネスを引っ張っているだけみたいだった。もうちょっとなんか考えられなかったのか。

藍の約束(自主制作アニメ)

劇場上映はされていないので、扱いとしては番外編。クラウドファンディングで100万円超を集めていた16分程度の作品。あくまでアマチュア作品という感じではあるんだけど、声優が豊崎愛生さんと雨宮天さんで、主題歌がこはならむさんというのがビックリ。人脈なのか? 映像はアマチュアっぽい感じがそこかしこに見られるけれど、ストーリーは順当。

好きでも嫌いなあまのじゃく

柴山智隆監督の前作「泣きたい私は猫をかぶる」は良作だったし、その雰囲気を受け継いだ新作。「泣き猫」はコロナの不運にみまわれたところをNetflixに救われたのをきっかけに「雨を告げる漂流団地」と本作も制作することになったようだけど、結果としては、どちらも不満の残る作品だった。アンチ・ポリコレなのかもしれないが、神社に連れて行くのに“家出”する必要はないよね。

BLOODY ESCAPE

実は前年のうちに先行プレミア上映で鑑賞していて「こりゃ2024年の最下位確定だな」と思った作品。その通りになった。
もとは「エスタブライフ グレイトエスケープ」というテレビシリーズを受け継いだ続編として制作されるはずだったのは劇場版「エスタブライフ」。「コードギアス」の谷口悟朗作品かつポリゴンピクチュアズ制作だからと、テレビ版も見ておくつもりだったのにあまりの設定のぶっ飛び具合に3話くらいで挫折……というのを2回くらい繰り返した。テレビ版の放送が終わっても、いっこうに劇場版の情報がやってこない中、ようやくやってきたのがこの「BLOODY ESCAPE」である。ああ、これは(おそらく)本放送の直後に再放送までしたテレビ版の反応が悪すぎて、仕切り直しになったんだろうと思い、これでテレビ版をおさらいする必要もなくなったかな、と思っていた。

ところが、どうやらテレビ版のキャラもしっかり登場するという話だったので、意を決してアマプラで配信されていた「エスタブライフ」を視聴。3話を超えて、4話、5話とツッコミどころだらけの展開で、これをよくプッシュし続けたなと感心するくらい。一応、8話はちょっとよかったんだが、そこまで。「逃げるというネガティブな行為をポジティブに捉えてみたい」みたいな話だったので、それはそれで面白い着眼点かと感じていたのだが、話の転がし方が不自然すぎた。「終末トレイン」といい、なんで地域を離れ離れにしてしまうのか。

そして、本作「BLOODY ESCAPE」については、「テレビ版のキャラが出てくる」どころか、設定がそのまま受け継がれていた。とはいえ、「改造人間」×「吸血鬼」×「ヤクザ」なんて設定のどこに魅力が持てそうと思ったのかさっぱり分からない、と懸念していた通り、ちょっと納得しがたいストーリー展開だった。「谷口監督らしい作品」と喜んでるツイートも見かけたけれど、マジですか。ちなみに、先行プレミア上映に申し込んでしばらく、ずっと座席がガラガラだったのに数日前になって急に埋まったと思ったら、どうやら関係者の動員があったみたいで、封切られた後も私が見た映画館ではグッズがクリアファイルしか置いてなかったレベル。どこかで止めるわけにはいかなかったのかなあ。これでゲームも制作される予定だった……のだが、公式サイトもXアカウントも早々になくなっていた。これはもう、谷口監督の黒歴史になってる気がする。

「がんばっていきまっしょい」評(ネタバレ無し)

衆議院選挙のあった日曜日は、「がんばっていきまっしょい」の舞台挨拶LVにでも行こうかと思っていたのですが、大谷翔平選手だけでなく山本由伸投手が登板するワールドシリーズの誘惑に負け、その後もダラダラと過ごしてしまいました。その自戒を込めて「がんばっていきまっしょい」について書いておきます。

櫻木優平監督の初長編作は「あした世界が終わるとしても」(あしせか)だと思いますが、これは「君の名は。」がヒットした頃に、似たような映画が出てきそうだな、と思ったら出てきた作品のひとつで、興味津々で舞台挨拶まで見に行きました。開始15分くらいで明かされる設定に驚いて(というか呆れて)酷評した覚えがあります。ちなみに、似たような時期に「君は彼方」という映画があり、こちらはタレント声優バリバリだったのですが、これも酷評してました。実際、どちらも興収面では苦戦していたと思います。もっとも、どちらの作品も好きだという人はいるようですし、勝手にダメ映画の烙印を押すのではなく、そういう作品は「合わない」というようにしています。できるだけ、ですけど。

このときは「櫻木監督に次があるのか」くらいに思っていたのですが(←オイ)、そんなところで「がんばっていきまっしょい」が櫻木監督だと知り、これまた興味が湧きました。アレを作った人が原作モノを手掛けるとどうなるのか。そういう意味では素直な気持ちで期待していたわけではありません。

というわけで公開初日に見に行ったんですが、良かったんですよ、これが。

ヒネリは少ないですが、全国大会でトップを目指すというような超絶スポ根でもなく、ずば抜けた才能という話でも、類稀なる努力という話でもなく、等身大の青春物語という印象でした。もともと期待値が低かったせいで余計に良く見えたということはあるかもしれませんが、今年は“これぞ”という劇場アニメがあまりなかった、と思う中でトップクラスだと思いました。ちなみに、もう一つが「数分間のエールを」という中編作品です。名前はあげませんが、興収が微妙でも良作だった劇場アニメはいくつもあり、そういうものに比べると気になる点もあるのですが、(言い方はともかく)爆死させるには惜しい作品です。こういうのが好きな人は、もっといるんじゃないかな。しばらくしたらEテレで放送される気がしないでもありません。

気になる点も挙げておきましょう。CGは前作(あしせか)に比べて改良されていると思いますが、(たぶんやり方が違うのでしょうが)「HELLO WORLD」の方が見やすいし、キャラデザが可愛かったと思います。ここは一行瑠璃を見習ってほしい。(ありがちですが)3DCGを魅せようとしてるためか、やたらとカメラが動いていたのもどうかと思います。それにローアングルのカットが多いのも気になりました。サービスカット(?)のつもりでしょうか。
でも、こんなのは些末なことです。恋愛要素はあまりありませんが、デートムービーにもなると思います。みんな見てね。

「AIを使って著作権ロンダリングすんな」

■はじめに
見出しのようなツイートをしたところ珍しく多くの反応があり、当初はtogetterにまとめていたのですが、リプライも追い付かなくなったので、ブログにまとめておきます。

なお、ここでは画像生成AIについて取り上げるだけで、その他の生成AIについてはほとんど取り上げません。生成AIが使われる分野は、たまたま話題になっている声優(声)やテキスト、音楽、プログラムなどさまざまなものがあり、それぞれ権利の扱われ方は異なるためです。

指摘されたことですし、(一時的に)コミュニティノートも付けられていましたが、「AIを使って著作権ロンダリングすんな」と言ってしまうと「AIを使って著作権ロンダリングできる」と受け取られてしまうおそれがあります。本来、「AIを使って著作権ロンダリングできると誤解すんな」というべきだったかもしれません。

これには背景があります。画像生成AIの“はしり”であるStable Diffusionが取り上げられたとき、生成AIの出力画像に著作権は生じない、と説明されていました。

CC0とは、すっごい簡単にいうと権利放棄で、商用利用OKです。

https://note.com/yamkaz/n/n9fd522bb012e

現状は、「AIがポン出しで生成した画像」は著作権は発生しない。なので、誰もが使えるパブリックドメインになる。

https://note.com/yamkaz/n/n9fd522bb012e

その後も生成AIは作風や画風を学ぶだけだから学習データの著作権は及ばず侵害にあたらない、という言説を唱えるものも出てきて、生成AIによる出力は無法地帯のようになりました。これは現在も続いています。後述しますが「人力による二次創作が許容されるなら生成AIによる二次創作も許容されるべき」と強弁して侵害にあたる大量の画像を生成する、という例があちことにあります。だからこそ「AIを使って著作権ロンダリングすんな」なのです。もっと直接的な言い方をすれば「盗作すんな」ですけれどね。

 

■生成AIツールの限界
現在の画像生成AIは権利処理されているはずがないものを学習し、出力することがあります。その点をすがやみつる氏に指摘したところ「改良されて出なくなっています」とおっしゃるので、直接的なプロンプトの入力ははじかれるものの、少し加工するだけでやっぱり出力されました。
※DALL-E3をベースにしていると言われるBing Image Creatorを使いました。

なお、「これらはスヌーピームーミンスパイダーマンを学習した結果ではなく偶然の出力であり、どのように利用しても著作権侵害にあたることはない」とお考えの人はこの先を読んでも無駄なのでどうぞお引き取りください。

プロンプトを少し加工しただけで「出そうとして出したんだろ」と言われればその通りですが、問題はそこではありません。ここから分かることは以下の点です。

  1.  権利処理されるはずがないデータが学習対象になっている
  2. 学習したデータに明らかな依拠を示す類似性が認められる(排除する仕組みがない)

結果として、「生成AIの出力だから自由に使える」とは思えないような画像が出力されているということです。もし、人としてのイラストレーターに「新しい商品のためにスヌーピーのようなかわいい犬をデザインしてくれ」と依頼して、このようなイラストを納品されたら、そのイラストレーターは二度と仕事がもらえないでしょう。中には不誠実な人がいて盗作を納品することはあるかもしれませんが、それは例外的な話であり、通常は二次的な創作物とは言えない「独自の創作性を持ったイラスト」が納品されるはずです。
現在の生成AIツールは、2.のような出力を排除する機能がないのですから、その出力画像が「独自の創作性を持っている」という保証がありません。学習データは開示されていないので、依拠しているかどうか確認することもできません。もっとも、膨大なデータがただ開示されても、確認できるかどうか分かりませんが。
上記は誰でも知っているような“分かりやすい例”ですが、膨大なデータの中にはあまり知られていないようなクリエイター・イラストレーターの作品もあるでしょう。そうしたものでも著作権は存在します。そして、1.に示した通り当人の許可なく収集され学習の対象になっている可能性が常にあります。故意に有名なキャラクターを出そうとしなければ、それは既存の著作物と依拠性を示すほど類似することはない、と想定できるでしょうか。
本来、生成AIツールの利用者は、出力した画像が既存の著作権を侵害しないという確信は持てないはずです。ところが、ときどき大手がプロモーションで利用したり(他社キャラクターが出力されてオモチャになってたりするみたいですが)、ITの知見をアピールしたい(しかしリテラシーの低い)“大物”クリエイターが使ったりして、まあまあ炎上してます。政府が生成AIの活用に前のめりだったのは赤松健議員のせいではないか、というのも分かります。私は、最初の紹介記事で「ビリー・アイリッシュ」の画像が出ているのを見て「生成した画像が著作権も肖像権も関係なしに再利用できる、とは思えない」と感じましたけどね。

 

■訴訟しろという圧力
複数の人から「侵害してるというなら裁判すればいいだけ。裁判に訴える気がないなら、問題ないということ」という反応がありました。それぞれの方のご意見としては承りますが、同意はできません。実際に裁判に訴えている人もいるようですが、そもそも日本には懲罰的賠償金という制度がないので、民事裁判では訴訟費用負けしてしまう可能性が高いのが実情です。また、「裁判で負けるのでないなら問題ない」という前提を想定するなら、SNSでの誹謗中傷や世の中のイジメ問題など社会で生じている多くの問題が「裁判沙汰になっていないのだから問題ない」と片付けられてしまうことになりますジャニーズ事務所の性加害問題なんて何も問題なんてなかった、となるわけですが、その考え方は倫理的に問題ないのでしょうか。
かつて、日本には「不正にアップロードされたコンテンツをダウンロードするのは合法」という時代がありました。アメリカの弁護士が「どうしてそれが合法なんだ!」と驚いていましたが、それは倫理的ではなく目に余る状態になったので違法扱いされるようになりました。話題になっている声優の生成AIによる無断利用がどこまで現行法で取り締まることができることができるのか分かりませんが、このような使われ方が倫理的であるはずがなく、乱用が続くなら法整備なり事業者の運用方法を変えるなどして対応すべき、というのはごく普通の考え方でしょう。画像系の生成AIについても同じです。
ここまで説明しても「裁判に訴える気がないなら、問題ないということ」という考えの人は、個人のご意見として承りますが、私は同意しません。

 

■日本の特殊性とコミケ(同人誌)
ところで、日本で大きな問題になっているのは「偶然、既存の作品に類似してしまうこと」よりも「明確に特定の作家や作品が狙われていること」だと考えています。Yahoo!オークションなどでアニメのキャラクターを検索してみると、生成AIが使われたと思われるグッズが大量に出てきます。

Yahoo! オークションの例(1)

 

Yahoo! オークションの例(2)

 

報道を見ている限り、欧米での生成AIの問題は児童ポルノやフェイク目的で使われることで、このような使われ方が問題視されているようには見えません。そもそも、このような使われ方を見かけません。そりゃそうでしょう。スヌーピーやディズニー、マーベルのキャラクターで同様のことをしたら見過ごされることなく、即座に訴えられるでしょう。もし、「そんなことはない! 欧米の方が著作権は緩い!」と考えている人がいたら、ぜひ試してほしいと思います。
実のところ、日本ほど二次創作に甘い国はありません。ごく一部の例外を除いて、同人活動という名目で商用作品を模したマンガやイラストなどが許容されてきました。アメリカの著名な弁護士が日本のコミケについて「すばらしい活動。しかし、同じことをアメリカでやったら即座に潰されるだろう」と言っていたくらいです。長くコミケを運営していた故・米沢嘉博氏は多くのクリエイターから尊敬され、評価されています。日本は著作権が法律上も運用も緩い国で、私的な複製を明文で許容したり、レンタルCD(レコード)という業態が認められているくらいです。商業ではない二次創作、という名目で大量の同人誌が売られているのも日本の著作権運用が緩いからです。一部のアジテーターが煽るせいで誤解している人も見かけますが、日本こそが「著作権が緩いおかげでコンテンツビジネスが盛り上がっている類稀な国」なのです。
そして、生成AIを使った上記のような例は、この「日本の著作権運用の緩さ」の悪用です。人が画力アップのために既存の作品をマネたり、それを同人誌として売ることは、多くのクリエイターが通った道であり、お互い様として容認されてきましたが、それを悪用して生成AIでも「同人活動」と言って活動しているのです。言うまでもありませんが、“二次創作”というなら元の著作者の意向に反して利用することはできません。人がスキルアップするなら許容できることでも、機械的な模造作品が大量生産されることを許容できないというのは普通の感覚でしょう。プロフィールに「学習禁止」「生成AI禁止」のように明記しているクリエイターはたくさんいます。こんなことも言われなきゃ分からないのですかね。ダメに決まってるだろ

 

■規制のあり方
前述しましたが、欧米における生成AIの問題は児童ポルノやフェイク目的であり、生成AIに対する規制もそれらを想定したものになっています(記事1記事2)。もともと日本政府は著作権法を緩めに解釈しようとしますし、グーグルブック検索では集団訴訟したアメリカや国レベルで動きのあったドイツ・フランスと違って、まったくの放置でした。そうした上で、生成AIを有効利用させるためにどのような規制ができるでしょうか。
まずやってもらいたいのは「AI出力」の明記化です。私自身はクリエイターでもなんでもない、ただのユーザーですが、上記のように検索で生成AIが見つかってくるのは“邪魔”以外の何物でもありません。生成AIを使ったら、その旨の表示を義務付ければ、検索時にフィルタリングできるようになります。それくらいは必須としてほしいものです。また、生成AIは上記のような侵害リスクを抱えているわけですから、特定商取引法に基づく表記のように使用者の情報公開が義務付けられればなお良いです。
次に、学習データの開示もしてほしいところです(当然、検索しやすい形で)。本当に裁判を起こすなら、学習データとして依拠しているかどうかを調べるのが簡単です。スヌーピーなどを例示したとおり、学習しているから出力された、ということが裁判を起こす前に確認できるようになります。オプトアウトできればなお良いです。

 

■訴訟費用の負担
本題ではないですが、OpenAIはChatGPT Enterprise顧客に限り、著作権侵害で訴えられた場合の裁判費用を負担することを発表しています(Copyright Shield)(記事3OpenAIの発表)。
サービス規定(1. APIサービスについて)を読むと、あらかじめ侵害が分かっている場合には適用されないようなので、上記のような著名なキャラクターについては、プロンプトを工夫して出力させたところで適用されないでしょう。あくまで「盗作になるとは知らずに使っていた(それほど著名でない)作品」に対して請求される金額が補償されるということなのだと思います。一方、その場合でも「永続的に使えるようにしてくれる」とは読み取れませんでした。当然のことですが、著作権は「いくら金を積まれても使わせない」という判断ができるものなので、彼らの生成AIを使った画像を商品化していた場合に侵害が発覚したら差し止めをくらうくらいはあるように思います。侵害が発覚した後の利用まで補償される気はしません。
生成AIでなくても「素材サイトに盗作が登録されていて、差し止めることになった」という事例はありますが、類似性を排除するフィルター機能がない以上、侵害のおそれがある出力はある程度の確率で生じるものであり、盗作のような悪意が入るこむことによるトラブルと同一視するのは難しいと思います。(ここに同意しない人がいるであろうことは予想します)


■イラストのラッダイト運動
さらに余談ですが、イラスト系のラッダイト運動と言えそうなものはあります。「いらすとや」(の排除)です。「いらすとや」は、素材という需要に着目し、精力的なイラストの制作と無料から(あるいは安価で)使えるという利便性で、広く活用されています。一方で「イラストレーターの仕事を奪っている」という話もありました(togetterのまとめ1まとめ2)。「いらすとやを禁止しろ」という強いメッセージを見たわけではないですが、そのようなことがあれば、そういうものは「ラッダイト運動」とみなしてよいと思います。現在、画像系の生成AIに起きていることは、そのレベルではない、ということです。

2023年日本のアニメ映画ベスト10+α

例によって破壊屋さんの「2023年日本のアニメ映画ベスト10」のためのリストです(2021年版2022年版

今年は中編作品(1時間くらいのもの)が目立ったのと、テレビシリーズに関連するものが多かったのですが、合いそうにないものを避けていたこともあり、だいたい期待通りか期待以上でした。アニメ以外は微妙と思っていたのですが、年末になって「ゴジラ-1.0」という傑作を鑑賞。見送るつもりだった「鬼太郎誕生」とともに、よい年末でした。昨年に比べて鑑賞した作品数は減ったものの、前売特典や入場者特典につられてリピートすることが増えたというのも個人的な特徴です。響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~」は16回見ました。過去最高。まあ1時間モノなので、去年の「映画 五等分の花嫁」(2時間超)の10回リピートに比べれば総鑑賞時間は短いです。

※2023年の劇場アニメ全作品のリストはこちら→ AnimeMovie2023.xlsx

①鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
BLUE GIANT
③窓ぎわのトットちゃん
響け!ユーフォニアム ~アンサンブルコンテスト~
青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない
⑥【推しの子】(テレビアニメ1話先行上映)
青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない
⑧劇場版 SPY×FAMILY CODE: White
⑨ガールズ&パンツァー 最終章 第4話
⑩駒田蒸留所へようこそ
⑪大雪海のカイナ
⑫アリスとテレスのまぼろし工場
プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章
⑭SAND LAND
⑮五等分の花嫁∽
ダンジョン飯
君たちはどう生きるか
金の国 水の国
グリッドマン ユニバース
⑳屋根裏のラジャー
㉑死が美しいなんて誰が言った
㉒アムリタの饗宴(併映:アラーニェの虫籠<リファイン版>)

例によって、多少のネタバレがあります。

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

初期の古いテレビシリーズしか知らないという程度で、公開前はまったく興味がなかったのに、なにやら評判がよいらしいというのでおそるおそる鑑賞しました。序盤でミステリーっぽい話なの?妖怪相手なら意味なくない?と思っていたのがガツンとやられました。これは秀逸なミステリー。見る前は“鬼太郎誕生”でキャッチコピーに「初めて明かされる」とあるから、ストーリーそのものは水木しげるの作品ではないだろうに大きく出たな、なんて思っていたくらいでしたが(そもそも水木しげるのマンガはほとんど読んでない)、水木しげる生誕100年記念」にふさわしい逸品だと思いました。水木しげるの原作に中盤のオリジナルストーリーを挟み込んだみたいですが、これはホント、見に行ってよかった。

BLUE GIANT

「鬼太郎誕生」を見るまでは、今年のベストはこれかな、と思っていた作品です。アポなしで友人のところに転がり込むとか、素人ドラマーを引き入れるという序盤の展開はあまり好きではないのですが、ストーリーはうまく作られていて音楽も交えたことで説得力がありました。ジャズのことはよく分かりませんが、熱い思いが伝わる作品です。ただ、モーションキャプチャ―の動きは微妙で、カメラワークも動き過ぎでした。テレビアニメ「ぼっち・ざ・ろっく」ではモーションキャプチャしてから構図を決め、その上で作画していたらしく、それに比べるとCGの使い方が“雑”で見劣りします。そして、もっと落ち着いた映像だったとしても作品の魅力は伝わったと思います。ジャズのプロたちが、どの程度リアリティを感じるものなのかは興味深いところです。
ちなみに、blu-rayの発売に向けて「200カット以上がブラッシュアップ」されたそうです。ブラッシュアップ版も劇場上映されたので見るかどうか迷って見なかったんですが、直す余地があったということではあるのでしょう。「鬼太郎誕生」より下にしたのも上記のCGまわりのせいなので、そのあたりが改善されているならトップが違ったかもしれません。

窓ぎわのトットちゃん

原作を読んだのは昭和の時代です。おさらいせずに鑑賞しましたが、冒頭のエピソードを含め、色々覚えてはいました。泰明くんの話もどうなるかも覚えていましたが、それでも涙腺にきました。挟み込まれるイメージ映像の演出は賛否がありそうですし、トットちゃんが見ていなかった部分などは演出されている面もあるのでしょう。小林校長が張り紙を破り捨てたのかは分かりませんが、反戦メッセージがそこまで強調されていなかったのも含め、よい映像化だったと思います。アニメとして制作されたのもよかった
ただ、原作を読んでいるときには意識していなかったことに「もともといいところのお嬢さんなんだな」という印象がありました。これは、トモエ学園の生徒全体にも言えることですが、泰明くんを含めみんないい服を着ていました。「オンボロのトモエ学園」と囃し立てられる場面がとくにそうで、オンボロとバカにしている子供たちの服が、はるかに地味(←おとなしい表現)でした。その子の親が「あそこに行くのはヘンな子」と言っていたらしいというのも、知りもしないものを批判する、というより、格差に対するひがみから出た言葉なんじゃないかと思うくらいです。忠実な再現を心掛けたせいなのかもしれませんが、そもそもトモエ学園は私立ですし、黒柳徹子さんは女優をされていたくらい美人でした。原作の最後には、トモエ学園の卒業生が活躍されていた話も書かれていたと記憶していますが、なんとなく「これは庶民の話じゃないな」とも考えてしまいました。(それがよくなかった、という意味ではありません)

響け!ユーフォニアム ~アンサンブルコンテスト~

もともと良作で、1時間弱の中編という点をさておけば、あくまで平常運転という作品です。部長としての久美子もそうですが、麗奈の父親の話など、ひとつひとつのエピソードがとてもよく作られています。とくに終盤の重要な会話を「マリンバを移動させる」というシーンで伝えたのはすごいと思いました。ただ、出場者を決める投票の方法について久美子案には意味がなく、あれを滝先生が「いい案」と結論付けたのは納得がいきません。その場にいた誰も気づかなかったとしても(塚本は気付け)、部員に提案したところで誰かは「意味ないよね」って指摘するはずです。他にも麗奈が小日向を誘ってるように見える場面があったり、(レギュレーションに合わない2人組で演奏した)ミドリがアンコン出演したかったみたいな話をしているのも気になるところです。いつもは細かいくらいリアリティを感じる作品だけに惜しいところ。
あと、前売券の種類が多くて、結局16枚買って(1枚は布教に使ったけど)舞台挨拶も見たので全部で16回見ました。同一作品を映画館で見た個人最高回数です。中編作品じゃなきゃ、途中で挫折していたでしょう。ちょっとこういうのめり込み方はやめないとな、と反省しています。

青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない

前売券が「おでかけシスター」と同じ1400円なので中編作品なのかと思ったら、75分で(一応)通常作品でした。作り込んでいくうちに伸びたかな。細かいことですがシネマシティでは中編作品には割引価格が適用されないので、通常作品の方がありがたいんです。最近は前売券を買い込んでいるので、あまり関係ないといえばそれまでですが。
閑話休題
これも平常運転ですが、「おでかけシスター」に比べても本シリーズのテーマである思春期症候群が要素になっていて、それなりの抑揚のあるストーリー展開でした。まあ、そこに(理不尽な)理屈をつけるところで無理を感じてしまう面もある一方、肝心の“ランドセルガール”が登場する理由などは一切描写されておらず、それはそれでどうかというところです。途中、どう考えてもそれで終わったら不自然でしょ、というエピソードがあり、これは……と思ったていたら、続編決定でした。グッズを大量に買っている身としては、そりゃ終わらせられないだろうなというのもよく分かりますが、ガルパンのように間延びしないといいな、とも思ってます。あと、“通院”なのに病室にいて花まで飾ってあるというのはどういうことなんでしょうね。

【推しの子】Mother and Children(テレビアニメ1話先行上映)

原作コミックから読んでいたものが予想通りテレビアニメ化された作品です。出オチ感のあるタイトルを回収する1巻が、90分スペシャルの1話となり、劇場上映され、主題歌を含めヒットしました。同じ春アニメに「スキップとローファー」「僕の心のヤバイやつ」があり、本作は春アニメに限っても個人的なベスト作品にはなりませんでしたが、良質な原作を盤石なスタッフで幸せなアニメ化でしょう。テレビシリーズは1クール放送済みで、2期も予定されています。きっと最後までアニメ化してくれると期待しています。肝心の原作がなかなか終わりませんけど。

青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない

これも中編、かつ平常運転です。セリフ回しがうまいのはいつも通り。ただ、間をつなぐ作品でもあり、ストーリーは地味。これならテレビ放送で十分だった気もしますが、他のエピソードもあってそういうわけにはいかなかったのでしょう。と思っていたら、なんと前作(ゆめみる少女)の興収を超えたそうで、ちょっと驚きました。そういえば、ユーフォも「誓いのフィナーレ」より「アンコン」の方がよかったそうで、こうなると前売券の種類を増やしたり、中編で時間が短く回転がよかったというあたりが貢献してる気もします(それでいいのか?) 本題とは関係ないですが、カドカワ作品であるためか通信制高校をやたらポジティブに伝えているのが「N高」の宣伝を兼ねているようにも感じました。あと、受験倍率が試験日を過ぎるまで分からなかった、という設定はどうなんでしょうね(そんなことあるんですかね?)

劇場版 SPY×FAMILY CODE: White

人気テレビアニメの新作映画です。そこまで人気があるのかなあというのは、「ドラえもん」や「名探偵コナン」を思えばあくまで個人的な感覚でしかないので、どうしようかと思いつつ鑑賞しました。最初に軽く設定を紹介していたのは未見の人も対象にしたいという思いがあるのかもしれませんが、本編はテレビシリーズのキャラ設定を思う存分“活用”しているので、万人向けになるのかはちょっと分かりません。捻って捻って、みたいな展開ではないので、素直に楽しめます。いや、“クソ映画”と呼ぶ方が正しいのかもしれませんが(←誤解を招く言い方)、劇場は笑い声があふれていました。一度見れば十分かな、という気はしますけどね。

ガールズ&パンツァー 最終章 第4話

ホント、毎回毎回よく考えるものです。しかも、中盤に学校交流のシーンが数分あるだけで、1時間足らずの上映時間のほとんどが戦車戦でした。(もちろんわざとでしょうけど)マンネリシーンがありつつも、迫力のある映像や動きの一つ一つを細かく調整している感じが伝わってきます。そして、時間がかかっているのもそうした調整のためなんだろうとは思います。とはいえ、OVA6話に何年かけるつもりなのか、という気持ちも年々強くなり、正直、気分はあまり盛り上がってません。

駒田蒸留所へようこそ

スタッフトークにも参加して、思った以上に3DCGが活用されていたり、プロの声優が使われている所は私好みで、丁寧に作られた良作だと思います。ただし、それ以上のものではなく、ストーリーに“大きな感動”とか“驚くような展開”みたいなものはあまりありません。私自身は下戸だし、ウイスキーの味の違いといった感覚も分からないのでウイスキー造り”というテーマ自体への興味がそもそも薄いということもあります。あと、予告編を見て中盤のトラブルが分かっていたというのが、宣伝の難しいところという印象です。

大雪海のカイナ

テレビシリーズを受け継いだ完結編です。テレビシリーズを見ていることが前提で、おさらいやまとめなどは一切ありませんでした。テレビシリーズを好きな人が見て、楽しむ作品であり、そういう作品としては順当な完結編だと言えます。物理法則とかそういうものを超越した世界で「そんなんあり?」とは思う設定はあるものの、うまく話がまとめられていました。正直、二瓶勉原作以外のポリゴン・ピクチュアズ作品はイマイチ好きになれないのですが、これはよい方です。ただし、「シドニアの騎士」に比べればストーリーは物足りず、キャラデザも魅力的ではありません(なんというか、かわいくない)。それが分かっているのか、主人公(カイナ)もヒロイン(リリハ)も劇場版グッズはキービジュアル以外はグッズになっていませんでした。それそれで驚くんですが。

アリスとテレスのまぼろし工場

刺さる人には刺さりそうな感じがしますし、事前に絶賛していた人もいましたが、そこまでの作品とは思いませんでした。ただ、入場者特典が6週目まで用意されているのに、ほとんどの映画館で5週目までに上映が終わってしまい、6週目の特典をもらうために都心に出ることになってしまった上、新宿ピカデリーの上映回が満席になって、渋谷まで出かける羽目になったのはいただけません。もうちょっと頑張ってほしかった。しかも、その日で特典の配布が終わってしまったらしく、ちょっとプロモーションに問題を感じます。作品自体については、アニメの動きには勢いがあり、設定が雑なところはある程度突っ走っていく感じでした。個人的には、なぜか事情に詳しい工場長を、もっと“いい人”として描写してほしかったというところです。“いい人”だけど判断を間違えてしまう、という流れにしてもストーリーは成立していたんじゃないですかね。締めくくりは、まあそうするしかないんだろうな、という感じのままで終わってしまったので、そこはちょっと残念なところ。ところで、“アリス”と“テレス”はどこにいたんでしょうね?
ちなみに9月公開だったのに、早々と来年1月からNetflixで配信がはじまります。なかなか厳しいですね。

プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章

これも、やはり中編作品で、これぞ「プリプリ」という内容でした。前作(第2章)が微妙だと思っていただけに意外な好印象でした。これも過去作があるので、過去作が好きな人が見る内容になっていますし、その意味では順当に作られています。いまさら、過去以上に広がりを持つこともないでしょうけれどね。それにしても(今村彩夏さんを引き継いだ)古賀葵さんの多彩っぷりが光ります。

SAND LAND

(世代ではあるけど)ドラゴンボールを見ていなかったこともあり(EVOLUTIONはネタとして鑑賞)、本作は見送るつもりでしたが、たまたま時間つぶしで鑑賞しました。王道的なストーリーで悪くはなかったと思います。原作が古いためか、あるいは“王道”であるためか分かりませんが、ストーリー進行に古さを感じたところはあり、個人的には好みのジャンルではないのですが、絵作りは丁寧ですし、あまり評判にならなかったのが意外なくらいです。ちなみに、続編がディズニープラスで配信されるそうです。

五等分の花嫁∽
>
これも中編で平常運転です。ストーリーとしてはテレビシリーズ(2期)と上映済みの劇場版の間になるもので、もっとうまいこと挟み込めなかったものかと強く思います。まあ、劇場版の成績がよくて、これなら端折った部分を映像化してもいけそうと思ったんでしょうけれどね。もっとも、そう思わせてしまうところが企画の難しさではあるのですが、そういう背景を無視すればそこそこ良作ではあります。ああ、でも、ちょっとクサい。舞台挨拶では、さらなるアニメ化の話題も出ていましたし、グッズ展開などは成功しているように見えますが、さてどうなることやら。

ダンジョン飯 ~Delicious in Dungeon~ 先行上映

異世界の食事モノ、ということで、あまり趣味ではなく見送ろうと思っていたものですが、毎期何かしら先行上映に参加していたので、消去法で見に行ったという感じです。TRIGGERだし、アニメとしては普通に作られているので、好きな人にはいいでしょう。

君たちはどう生きるか

面白いアニメを作るだけでバカ売れすると思うのですが、もう面白いアニメを作る気がないってことなんですかね。それを理解した上で宣伝もせずパンフレットも売らないという決断した鈴木Pの英断には涙してしまいます(←ヤメナサイ) 世間的には“悪評”というほどでもないらしく、むしろ興収としては上々のようで、宮崎駿ブランドの力を感じました。でも、みんなホントに内容が理解できたんですかね?と疑問符がいっぱいにはなります。別に“駄作”とは言いませんが、“冒険活劇”と聞いてラピュタ紅の豚がもう一度来るかという期待は完全に肩すかしでした。高畑監督や鈴木プロデューサーがモデルになってるとかいう話もあるようですが、知らんがな。何か理由があるのでなければ劇場でもう一度見てみようという気も起きず、こんな作品を作るために優秀なアニメーターが長年拘束されていたかと思うと腹立たしいくらいです。「タイタニック」に負けた「もののけ姫」以来、年間興収のトップにもなれず、これで引退してくれると思いきや、まだ新作に取り掛かっているのだそうで、やれやれ。

金の国 水の国

映画館で見るか迷うレベルで、やや子供向けっぽいところとタレント声優であることも考えて劇場での干渉波見送ったところ、WOWOWで放送されたものを視聴しました。見送ったのは失敗だった、とまでは思いませんでした。基本的に子供向けだと思いますし、そんなに難しい設定も、ひねくれた展開もなく、そこそこ素直なストーリーです。

グリッドマン ユニバース

六花のキャラデザが好きな程度で、もともとテレビシリーズも微妙でした。テレビシリーズが好きなら楽しめるんだろうな、というのは分かりますが、個人的な好みじゃありませんでした。六花のキャラデザだけが救い。なぜかグッズは増える。六花かわいい。でも、続編が出たら、また見に行くと思います。

屋根裏のラジャー

スタジオポノックとして「メアリと魔法の花」(2017年)以来、6年ぶりの長編アニメということで、期待感はゼロどころかマイナスだった作品です。予告編からして“イマジナリ”という素材にタレント声優という、まったくモチベーションが上がらない内容で見送ろうかと思ったくらいですが、見ずに批判するわけにもいかないと思いつつ、できるだけニュートラルな気持ちで鑑賞しました。相変わらず「綺麗な映像でタレント声優に棒読みさせればポスト・ジブリが名乗れると思ってるのか」という内容で、イッセー尾形所ジョージをほうふつとさせましたが、ある意味「メアリと魔法の花」レベルを覚悟していたせいか、そこまで酷いとは感じませんでした。「メアリ」は最終的には興収32.9億までいったそうですが、本作は相当に厳しいようです。封切に合わせてメアリを放送したのが失敗だったのでは

死が美しいなんて誰が言った

アニメ一覧を作っていたのに見逃すところでした。全編に生成AIを使った作品で、どうやら自主制作だったつもりの作品が、劇場公開になったそうです。私自身は生成AIに(権利処理の面で)批判的な立場ですし、古いゲームムービーみたいな予告編からはヤバさしか感じないので、普段なら「配信になったら見るかな」というくらいなのですが、原作があり(←実は勘違いで、原作ではなく原案だった。本作はゾンビもの)、監督がテレビドラマに携わっているようなプロということで、ちょっと魔が差しました。
本編もゲームムービーの延長線ではあったのですが、昔のブラウン管時代に画質が悪かったからつまらなかった、となるわけではありません。実際「全編に生成AIを使っている」だけで、「すべてが生成AIで作られている」わけではありません。「デジタルな作品なのでアナログを入れたかった」というアカペラの主題歌は、なかなかよかったです。実写畑の監督が初めてアニメを作るためにモーションキャプチャを使い手描きの質感を与えるためにStable Diffusionを使ったそうです。少なくとも「君たちはどう生きるか」より分かりやすいストーリーでした。作品の“良し悪し”は別ですが。

アムリタの饗宴(併映:アラーニェの虫籠<リファイン版>)

キービジュアルのキャラデザだけで前売券を買いました。単体では劇場アニメとしては短く旧作との同時上映することでフル尺の映画として成立させた感じです。これが個人制作だそうで、今どきは個人制作でここまでできるんだという印象と、個人制作じゃこのあたりが限界なんだろうなという印象を持りました。作品としては、たいして中身はありません。キャラデザのよさが、あまり映像に活かされていなかったように思いますが、見て損したとまでは思わなかった、というところです。