2023年日本のアニメ映画ベスト10+α

例によって破壊屋さんの「2023年日本のアニメ映画ベスト10」のためのリストです(2021年版2022年版

今年は中編作品(1時間くらいのもの)が目立ったのと、テレビシリーズに関連するものが多かったのですが、合いそうにないものを避けていたこともあり、だいたい期待通りか期待以上でした。アニメ以外は微妙と思っていたのですが、年末になって「ゴジラ-1.0」という傑作を鑑賞。見送るつもりだった「鬼太郎誕生」とともに、よい年末でした。昨年に比べて鑑賞した作品数は減ったものの、前売特典や入場者特典につられてリピートすることが増えたというのも個人的な特徴です。響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~」は16回見ました。過去最高。まあ1時間モノなので、去年の「映画 五等分の花嫁」(2時間超)の10回リピートに比べれば総鑑賞時間は短いです。

※2023年の劇場アニメ全作品のリストはこちら→ AnimeMovie2023.xlsx

①鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
BLUE GIANT
③窓ぎわのトットちゃん
響け!ユーフォニアム ~アンサンブルコンテスト~
青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない
⑥【推しの子】(テレビアニメ1話先行上映)
青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない
⑧劇場版 SPY×FAMILY CODE: White
⑨ガールズ&パンツァー 最終章 第4話
⑩駒田蒸留所へようこそ
⑪大雪海のカイナ
⑫アリスとテレスのまぼろし工場
プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章
⑭SAND LAND
⑮五等分の花嫁∽
ダンジョン飯
君たちはどう生きるか
金の国 水の国
グリッドマン ユニバース
⑳屋根裏のラジャー
㉑死が美しいなんて誰が言った
㉒アムリタの饗宴(併映:アラーニェの虫籠<リファイン版>)

例によって、多少のネタバレがあります。

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

初期の古いテレビシリーズしか知らないという程度で、公開前はまったく興味がなかったのに、なにやら評判がよいらしいというのでおそるおそる鑑賞しました。序盤でミステリーっぽい話なの?妖怪相手なら意味なくない?と思っていたのがガツンとやられました。これは秀逸なミステリー。見る前は“鬼太郎誕生”でキャッチコピーに「初めて明かされる」とあるから、ストーリーそのものは水木しげるの作品ではないだろうに大きく出たな、なんて思っていたくらいでしたが(そもそも水木しげるのマンガはほとんど読んでない)、水木しげる生誕100年記念」にふさわしい逸品だと思いました。水木しげるの原作に中盤のオリジナルストーリーを挟み込んだみたいですが、これはホント、見に行ってよかった。

BLUE GIANT

「鬼太郎誕生」を見るまでは、今年のベストはこれかな、と思っていた作品です。アポなしで友人のところに転がり込むとか、素人ドラマーを引き入れるという序盤の展開はあまり好きではないのですが、ストーリーはうまく作られていて音楽も交えたことで説得力がありました。ジャズのことはよく分かりませんが、熱い思いが伝わる作品です。ただ、モーションキャプチャ―の動きは微妙で、カメラワークも動き過ぎでした。テレビアニメ「ぼっち・ざ・ろっく」ではモーションキャプチャしてから構図を決め、その上で作画していたらしく、それに比べるとCGの使い方が“雑”で見劣りします。そして、もっと落ち着いた映像だったとしても作品の魅力は伝わったと思います。ジャズのプロたちが、どの程度リアリティを感じるものなのかは興味深いところです。
ちなみに、blu-rayの発売に向けて「200カット以上がブラッシュアップ」されたそうです。ブラッシュアップ版も劇場上映されたので見るかどうか迷って見なかったんですが、直す余地があったということではあるのでしょう。「鬼太郎誕生」より下にしたのも上記のCGまわりのせいなので、そのあたりが改善されているならトップが違ったかもしれません。

窓ぎわのトットちゃん

原作を読んだのは昭和の時代です。おさらいせずに鑑賞しましたが、冒頭のエピソードを含め、色々覚えてはいました。泰明くんの話もどうなるかも覚えていましたが、それでも涙腺にきました。挟み込まれるイメージ映像の演出は賛否がありそうですし、トットちゃんが見ていなかった部分などは演出されている面もあるのでしょう。小林校長が張り紙を破り捨てたのかは分かりませんが、反戦メッセージがそこまで強調されていなかったのも含め、よい映像化だったと思います。アニメとして制作されたのもよかった
ただ、原作を読んでいるときには意識していなかったことに「もともといいところのお嬢さんなんだな」という印象がありました。これは、トモエ学園の生徒全体にも言えることですが、泰明くんを含めみんないい服を着ていました。「オンボロのトモエ学園」と囃し立てられる場面がとくにそうで、オンボロとバカにしている子供たちの服が、はるかに地味(←おとなしい表現)でした。その子の親が「あそこに行くのはヘンな子」と言っていたらしいというのも、知りもしないものを批判する、というより、格差に対するひがみから出た言葉なんじゃないかと思うくらいです。忠実な再現を心掛けたせいなのかもしれませんが、そもそもトモエ学園は私立ですし、黒柳徹子さんは女優をされていたくらい美人でした。原作の最後には、トモエ学園の卒業生が活躍されていた話も書かれていたと記憶していますが、なんとなく「これは庶民の話じゃないな」とも考えてしまいました。(それがよくなかった、という意味ではありません)

響け!ユーフォニアム ~アンサンブルコンテスト~

もともと良作で、1時間弱の中編という点をさておけば、あくまで平常運転という作品です。部長としての久美子もそうですが、麗奈の父親の話など、ひとつひとつのエピソードがとてもよく作られています。とくに終盤の重要な会話を「マリンバを移動させる」というシーンで伝えたのはすごいと思いました。ただ、出場者を決める投票の方法について久美子案には意味がなく、あれを滝先生が「いい案」と結論付けたのは納得がいきません。その場にいた誰も気づかなかったとしても(塚本は気付け)、部員に提案したところで誰かは「意味ないよね」って指摘するはずです。他にも麗奈が小日向を誘ってるように見える場面があったり、(レギュレーションに合わない2人組で演奏した)ミドリがアンコン出演したかったみたいな話をしているのも気になるところです。いつもは細かいくらいリアリティを感じる作品だけに惜しいところ。
あと、前売券の種類が多くて、結局16枚買って(1枚は布教に使ったけど)舞台挨拶も見たので全部で16回見ました。同一作品を映画館で見た個人最高回数です。中編作品じゃなきゃ、途中で挫折していたでしょう。ちょっとこういうのめり込み方はやめないとな、と反省しています。

青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない

前売券が「おでかけシスター」と同じ1400円なので中編作品なのかと思ったら、75分で(一応)通常作品でした。作り込んでいくうちに伸びたかな。細かいことですがシネマシティでは中編作品には割引価格が適用されないので、通常作品の方がありがたいんです。最近は前売券を買い込んでいるので、あまり関係ないといえばそれまでですが。
閑話休題
これも平常運転ですが、「おでかけシスター」に比べても本シリーズのテーマである思春期症候群が要素になっていて、それなりの抑揚のあるストーリー展開でした。まあ、そこに(理不尽な)理屈をつけるところで無理を感じてしまう面もある一方、肝心の“ランドセルガール”が登場する理由などは一切描写されておらず、それはそれでどうかというところです。途中、どう考えてもそれで終わったら不自然でしょ、というエピソードがあり、これは……と思ったていたら、続編決定でした。グッズを大量に買っている身としては、そりゃ終わらせられないだろうなというのもよく分かりますが、ガルパンのように間延びしないといいな、とも思ってます。あと、“通院”なのに病室にいて花まで飾ってあるというのはどういうことなんでしょうね。

【推しの子】Mother and Children(テレビアニメ1話先行上映)

原作コミックから読んでいたものが予想通りテレビアニメ化された作品です。出オチ感のあるタイトルを回収する1巻が、90分スペシャルの1話となり、劇場上映され、主題歌を含めヒットしました。同じ春アニメに「スキップとローファー」「僕の心のヤバイやつ」があり、本作は春アニメに限っても個人的なベスト作品にはなりませんでしたが、良質な原作を盤石なスタッフで幸せなアニメ化でしょう。テレビシリーズは1クール放送済みで、2期も予定されています。きっと最後までアニメ化してくれると期待しています。肝心の原作がなかなか終わりませんけど。

青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない

これも中編、かつ平常運転です。セリフ回しがうまいのはいつも通り。ただ、間をつなぐ作品でもあり、ストーリーは地味。これならテレビ放送で十分だった気もしますが、他のエピソードもあってそういうわけにはいかなかったのでしょう。と思っていたら、なんと前作(ゆめみる少女)の興収を超えたそうで、ちょっと驚きました。そういえば、ユーフォも「誓いのフィナーレ」より「アンコン」の方がよかったそうで、こうなると前売券の種類を増やしたり、中編で時間が短く回転がよかったというあたりが貢献してる気もします(それでいいのか?) 本題とは関係ないですが、カドカワ作品であるためか通信制高校をやたらポジティブに伝えているのが「N高」の宣伝を兼ねているようにも感じました。あと、受験倍率が試験日を過ぎるまで分からなかった、という設定はどうなんでしょうね(そんなことあるんですかね?)

劇場版 SPY×FAMILY CODE: White

人気テレビアニメの新作映画です。そこまで人気があるのかなあというのは、「ドラえもん」や「名探偵コナン」を思えばあくまで個人的な感覚でしかないので、どうしようかと思いつつ鑑賞しました。最初に軽く設定を紹介していたのは未見の人も対象にしたいという思いがあるのかもしれませんが、本編はテレビシリーズのキャラ設定を思う存分“活用”しているので、万人向けになるのかはちょっと分かりません。捻って捻って、みたいな展開ではないので、素直に楽しめます。いや、“クソ映画”と呼ぶ方が正しいのかもしれませんが(←誤解を招く言い方)、劇場は笑い声があふれていました。一度見れば十分かな、という気はしますけどね。

ガールズ&パンツァー 最終章 第4話

ホント、毎回毎回よく考えるものです。しかも、中盤に学校交流のシーンが数分あるだけで、1時間足らずの上映時間のほとんどが戦車戦でした。(もちろんわざとでしょうけど)マンネリシーンがありつつも、迫力のある映像や動きの一つ一つを細かく調整している感じが伝わってきます。そして、時間がかかっているのもそうした調整のためなんだろうとは思います。とはいえ、OVA6話に何年かけるつもりなのか、という気持ちも年々強くなり、正直、気分はあまり盛り上がってません。

駒田蒸留所へようこそ

スタッフトークにも参加して、思った以上に3DCGが活用されていたり、プロの声優が使われている所は私好みで、丁寧に作られた良作だと思います。ただし、それ以上のものではなく、ストーリーに“大きな感動”とか“驚くような展開”みたいなものはあまりありません。私自身は下戸だし、ウイスキーの味の違いといった感覚も分からないのでウイスキー造り”というテーマ自体への興味がそもそも薄いということもあります。あと、予告編を見て中盤のトラブルが分かっていたというのが、宣伝の難しいところという印象です。

大雪海のカイナ

テレビシリーズを受け継いだ完結編です。テレビシリーズを見ていることが前提で、おさらいやまとめなどは一切ありませんでした。テレビシリーズを好きな人が見て、楽しむ作品であり、そういう作品としては順当な完結編だと言えます。物理法則とかそういうものを超越した世界で「そんなんあり?」とは思う設定はあるものの、うまく話がまとめられていました。正直、二瓶勉原作以外のポリゴン・ピクチュアズ作品はイマイチ好きになれないのですが、これはよい方です。ただし、「シドニアの騎士」に比べればストーリーは物足りず、キャラデザも魅力的ではありません(なんというか、かわいくない)。それが分かっているのか、主人公(カイナ)もヒロイン(リリハ)も劇場版グッズはキービジュアル以外はグッズになっていませんでした。それそれで驚くんですが。

アリスとテレスのまぼろし工場

刺さる人には刺さりそうな感じがしますし、事前に絶賛していた人もいましたが、そこまでの作品とは思いませんでした。ただ、入場者特典が6週目まで用意されているのに、ほとんどの映画館で5週目までに上映が終わってしまい、6週目の特典をもらうために都心に出ることになってしまった上、新宿ピカデリーの上映回が満席になって、渋谷まで出かける羽目になったのはいただけません。もうちょっと頑張ってほしかった。しかも、その日で特典の配布が終わってしまったらしく、ちょっとプロモーションに問題を感じます。作品自体については、アニメの動きには勢いがあり、設定が雑なところはある程度突っ走っていく感じでした。個人的には、なぜか事情に詳しい工場長を、もっと“いい人”として描写してほしかったというところです。“いい人”だけど判断を間違えてしまう、という流れにしてもストーリーは成立していたんじゃないですかね。締めくくりは、まあそうするしかないんだろうな、という感じのままで終わってしまったので、そこはちょっと残念なところ。ところで、“アリス”と“テレス”はどこにいたんでしょうね?
ちなみに9月公開だったのに、早々と来年1月からNetflixで配信がはじまります。なかなか厳しいですね。

プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章

これも、やはり中編作品で、これぞ「プリプリ」という内容でした。前作(第2章)が微妙だと思っていただけに意外な好印象でした。これも過去作があるので、過去作が好きな人が見る内容になっていますし、その意味では順当に作られています。いまさら、過去以上に広がりを持つこともないでしょうけれどね。それにしても(今村彩夏さんを引き継いだ)古賀葵さんの多彩っぷりが光ります。

SAND LAND

(世代ではあるけど)ドラゴンボールを見ていなかったこともあり(EVOLUTIONはネタとして鑑賞)、本作は見送るつもりでしたが、たまたま時間つぶしで鑑賞しました。王道的なストーリーで悪くはなかったと思います。原作が古いためか、あるいは“王道”であるためか分かりませんが、ストーリー進行に古さを感じたところはあり、個人的には好みのジャンルではないのですが、絵作りは丁寧ですし、あまり評判にならなかったのが意外なくらいです。ちなみに、続編がディズニープラスで配信されるそうです。

五等分の花嫁∽
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これも中編で平常運転です。ストーリーとしてはテレビシリーズ(2期)と上映済みの劇場版の間になるもので、もっとうまいこと挟み込めなかったものかと強く思います。まあ、劇場版の成績がよくて、これなら端折った部分を映像化してもいけそうと思ったんでしょうけれどね。もっとも、そう思わせてしまうところが企画の難しさではあるのですが、そういう背景を無視すればそこそこ良作ではあります。ああ、でも、ちょっとクサい。舞台挨拶では、さらなるアニメ化の話題も出ていましたし、グッズ展開などは成功しているように見えますが、さてどうなることやら。

ダンジョン飯 ~Delicious in Dungeon~ 先行上映

異世界の食事モノ、ということで、あまり趣味ではなく見送ろうと思っていたものですが、毎期何かしら先行上映に参加していたので、消去法で見に行ったという感じです。TRIGGERだし、アニメとしては普通に作られているので、好きな人にはいいでしょう。

君たちはどう生きるか

面白いアニメを作るだけでバカ売れすると思うのですが、もう面白いアニメを作る気がないってことなんですかね。それを理解した上で宣伝もせずパンフレットも売らないという決断した鈴木Pの英断には涙してしまいます(←ヤメナサイ) 世間的には“悪評”というほどでもないらしく、むしろ興収としては上々のようで、宮崎駿ブランドの力を感じました。でも、みんなホントに内容が理解できたんですかね?と疑問符がいっぱいにはなります。別に“駄作”とは言いませんが、“冒険活劇”と聞いてラピュタ紅の豚がもう一度来るかという期待は完全に肩すかしでした。高畑監督や鈴木プロデューサーがモデルになってるとかいう話もあるようですが、知らんがな。何か理由があるのでなければ劇場でもう一度見てみようという気も起きず、こんな作品を作るために優秀なアニメーターが長年拘束されていたかと思うと腹立たしいくらいです。「タイタニック」に負けた「もののけ姫」以来、年間興収のトップにもなれず、これで引退してくれると思いきや、まだ新作に取り掛かっているのだそうで、やれやれ。

金の国 水の国

映画館で見るか迷うレベルで、やや子供向けっぽいところとタレント声優であることも考えて劇場での干渉波見送ったところ、WOWOWで放送されたものを視聴しました。見送ったのは失敗だった、とまでは思いませんでした。基本的に子供向けだと思いますし、そんなに難しい設定も、ひねくれた展開もなく、そこそこ素直なストーリーです。

グリッドマン ユニバース

六花のキャラデザが好きな程度で、もともとテレビシリーズも微妙でした。テレビシリーズが好きなら楽しめるんだろうな、というのは分かりますが、個人的な好みじゃありませんでした。六花のキャラデザだけが救い。なぜかグッズは増える。六花かわいい。でも、続編が出たら、また見に行くと思います。

屋根裏のラジャー

スタジオポノックとして「メアリと魔法の花」(2017年)以来、6年ぶりの長編アニメということで、期待感はゼロどころかマイナスだった作品です。予告編からして“イマジナリ”という素材にタレント声優という、まったくモチベーションが上がらない内容で見送ろうかと思ったくらいですが、見ずに批判するわけにもいかないと思いつつ、できるだけニュートラルな気持ちで鑑賞しました。相変わらず「綺麗な映像でタレント声優に棒読みさせればポスト・ジブリが名乗れると思ってるのか」という内容で、イッセー尾形所ジョージをほうふつとさせましたが、ある意味「メアリと魔法の花」レベルを覚悟していたせいか、そこまで酷いとは感じませんでした。「メアリ」は最終的には興収32.9億までいったそうですが、本作は相当に厳しいようです。封切に合わせてメアリを放送したのが失敗だったのでは

死が美しいなんて誰が言った

アニメ一覧を作っていたのに見逃すところでした。全編に生成AIを使った作品で、どうやら自主制作だったつもりの作品が、劇場公開になったそうです。私自身は生成AIに(権利処理の面で)批判的な立場ですし、古いゲームムービーみたいな予告編からはヤバさしか感じないので、普段なら「配信になったら見るかな」というくらいなのですが、原作があり(←実は勘違いで、原作ではなく原案だった。本作はゾンビもの)、監督がテレビドラマに携わっているようなプロということで、ちょっと魔が差しました。
本編もゲームムービーの延長線ではあったのですが、昔のブラウン管時代に画質が悪かったからつまらなかった、となるわけではありません。実際「全編に生成AIを使っている」だけで、「すべてが生成AIで作られている」わけではありません。「デジタルな作品なのでアナログを入れたかった」というアカペラの主題歌は、なかなかよかったです。実写畑の監督が初めてアニメを作るためにモーションキャプチャを使い手描きの質感を与えるためにStable Diffusionを使ったそうです。少なくとも「君たちはどう生きるか」より分かりやすいストーリーでした。作品の“良し悪し”は別ですが。

アムリタの饗宴(併映:アラーニェの虫籠<リファイン版>)

キービジュアルのキャラデザだけで前売券を買いました。単体では劇場アニメとしては短く旧作との同時上映することでフル尺の映画として成立させた感じです。これが個人制作だそうで、今どきは個人制作でここまでできるんだという印象と、個人制作じゃこのあたりが限界なんだろうなという印象を持りました。作品としては、たいして中身はありません。キャラデザのよさが、あまり映像に活かされていなかったように思いますが、見て損したとまでは思わなかった、というところです。

「舞台めぐり」の思い出

■前振り

※そのうち加筆修正するかもしれませんが、今日のうちに書いておきます。
「舞台めぐり」とは、アニメの聖地巡礼を支援してくれるスマホ用のアプリです。各作品公認のアプリであり、舞台となった場所の画像を参考にして聖地巡礼したり、キャラクターとともに写真を撮影できるもので、のべ80作品以上のアニメで利用することができ、長年愛用していました。そのサービスが、今日(2023/10/2)、終了しました。マネタイズが難しかったのか、コロナの影響が大きかったのかは分かりません。公式サイトは、ほとんど空っぽになりましたがアプリの紹介ページは残されているようです。私自身はソシャゲをやらないのですが、「長年続いたソシャゲが終了するときにユーザーが感じる喪失感は、こういうものなんだろうか」という気分です。

もともと私が深夜アニメを見始めたのは東日本大震災で軒並み仕事がキャンセルになり暇になった2011年のことです。たまたまゴールデンウィークWOWOWで「化物語」を(再)放送していて「アニメってけっこう面白い?」と思い始めたことと、自分用のレコーダーを買ったこともあり、夏アニメが始まる7月から録画を始めて一気にハマりました。

当初、レコーダーで録画すれば十分で、わざわざ円盤を買うのはよほどのファンなんだろうな、と思っていましたし、まして聖地巡礼とか酔狂な人もいるものだ、という程度の感覚でしたが、2014年の夏に「琴浦さん」のイベントに参加して以来、だんだんと深みにハマっていきました。“布教用”なんて空想の世界の言葉かと思っていたくらいですが、今では新人研修のたびに受講生に布教するグッズを用意しているくらいです。こんな私に誰がした。

■舞台めぐり
閑話休題
舞台めぐりでは、キャラクターとともに写真を撮る機能を「AR撮影」と呼びます。聖地巡礼マップは、公的なものから個人で作っているものまで色々ありますし、私のようなモノグサなものにとっては、マップ上に聖地の場所が表示されるというだけでも便利なものですが、このようにキャラクターと撮影できるというのが公式に認定されたアプリだけに許された大きな利点です。
私がはじめて撮影したのが「ヤマノススメ」の舞台である飯能の「飯能まつり」で撮影したこの写真。

投稿のアーカイブ

最初は説明をよく読んでいなくてキャラクターを移動できることも知らなかったくらいです。その機能は、すぐに気づいたのですが、もっとたくさんスポットがあったのに、期間限定で設定されていた「スペシャルARポイント」という場所だけしか撮影していませんでした。でも楽しかった
必ずしも舞台めぐりだけに絞って聖地巡礼する作品や場所を決めていたわけではありませんでしたが、舞台めぐりが使えるかどうかは大きな決定要因でした。その後も、「ガールズ&パンツァー」(大洗)、「あの夏で待ってる」(小諸)、「ふらいんぐうぃっち」(弘前)、「氷菓」(高山)など、多くの場所に行きました。
聖地のスポットが地図で示されて、その場所でキャラクターとともに撮影できる、というアプリは他にもありますが、その使い勝手は圧倒的でした。舞台めぐりもだんだんと機能が強化されてきたものではありますが、同じような目的の他のアプリではキャラクターがサイズ変更できない(移動すらできないものもある)、ズームができない、縦横を切り替えられない、(舞台めぐりでも限定的ですが)ARキャラクターを持ち帰って撮影できないなど、そもそも使える期間が短いものばかりと、その利便性は比べるまでもないものです。これまで舞台めぐりを活用してきた地域で、すでに他の手法に切り替えているところもありますが、そういうものを使うたびに舞台めぐりのすばらしさを実感します。聖地アピールしたい他の地域は、他のサービスを利用するくらいなら舞台めぐりのアプリ自体を買い取る方がいいんじゃないかとすら思いますが、おそらく運用にもコストがかかっていて、それがサービス終了の理由にもなったかもしれないと思うと難しいところです。
今は、これだけのめり込むことができた舞台めぐりを長年提供し続けてくれたことに感謝の気持ちでいっぱいです。あと、「butaimeguri.com」ドメインは捨てないでくださいね

■思い出深い作品
もちろん好きな作品だからこそ聖地巡礼するのですが、舞台めぐりがあったからこそ何度も訪れたところ、あるいは舞台めぐりがなければ知らなかった作品というものもあります。

・「響け!ユーフォニアム」(宇治)
だいたい1年よりも短いくらいのペースで、決められたスポットをいくつかチェックすると「マイAR」(好きな場所で撮影に使えるキャラクター)をゲットできるという企画をやっていました。おかげで、しょっちゅう宇治に行っていました。私は平成元年に上京しましたが、帰省した回数より、宇治を訪れた回数の方が多いくらいです。私はクルマがなく公共交通機関(あるいはレンタサイクルや徒歩)でまわるので、遠い場所にある「アクトパル宇治」が大変でした。

これまでのユーフォコラボに効果があったのか、今年の9月から「舞台めぐり」の代わりにブラウザベースのアプリに切り替えて新たな企画が催されていますが、(少なくとも私のスマホでは)ビックリするほど反応が悪く、実用的とは言えないくらいです(これはスマホが悪いかもしれないのですが)。
宇治(あるいは京阪電車)は、しばしばユーフォコラボを実施しているのですが、その割にユーフォにちなんだお土産がないのが残念です。先日は、外国から来ていた人にも聞かれました(たまたま京都タワーがコラボをやっていたので紹介しました)。
ちなみに、京都は他にも多数の作品の聖地になっています。舞台めぐりでは「有頂天家族」「おこしやす、ちとせちゃん」「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている(2期以降で実装)」のスポットがありました。東映太秦村で「五等分の花嫁」の企画があったときにも行きましたし、これで「五等分の花嫁」にハマりました。

・「あの夏で待ってる」(小諸)
年1回よりは少ないペースでしたが、定期的に行っていました。イベントがあったときはバスを使ったり宿泊したりしましたが、青春18きっぷを使って日帰りするのにちょうどよい場所なんですよね。ダムがなくなったり、だんだん風景が変わっていきました。「おみやげのみやさか」には、コラボ商品が色々あります。

・「氷菓」(高山)
こちらも年1回というほどではない程度に行っていました。わりと後で実装されたのですがチェックすると主人公たちのマイAR(1年間有効)をゲットできるのが魅力でした。毎年それを更新しに行っていたようなものです。「氷菓まんじゅう」というお土産があったのですが、糖尿病だからと手を出さずにいたら、新型コロナ以降作られなくなってしまったようです。桜の時期に臥龍桜のスポットで撮影できなかったのが心残りです。

・「結城友奈は勇者である」(観音寺)
早くから実装されていた作品で、何度も訪れました。毎年岡山に出張しているついで、ということもありますが、しまなみ縦走の帰り道やイベントがあったときなど、1年で3回くらい行ったこともあります。こちらもコラボ商品が色々あります。

・「true tears」(高岡)
私が深夜アニメにハマる前に放送されたもので知らない作品でした。舞台めぐりに実装されていることは知っていたので、「君の膵臓をたべたい」の聖地巡礼をしようとしたときに、せっかくだから見てみたら“どストライク”でした。ちなみに「君の膵臓をたべたい」はCOCOARという別のアプリを使っていて、使える期間はすぐに終わってしまいましたが、「true tears」はずっと使えていたので何度も訪れました。

・「輪廻のラグランジェ」(鴨川)
NHKのせいですが)聖地巡礼アピールの失敗例として取り上げられることが多かった作品です。それでも長い間、聖地アピールが続いています。一人では入りにくいと思っていた鴨川シーワールドも含めてちゃんとコンプリートしました。「鴨川エナジー」は今でも売られています。

・「のうりん」(美濃加茂
ここは最初、別のアプリで聖地アピールしていました。それが終了して、舞台めぐりが拾ってくれないかなと思っていたら、本当に実装されました。ちゃんとコンプリートできました。電動アシスト付き自転車が借りられるのですが、バッテリーが劣化していて、すぐになくなった思い出。

・「ふらいんぐうちっち」(弘前
純粋な聖地巡礼と、さくらまつりで2回行きました。下大秋バス停まで自転車をこいでやたらと坂道が多くてヘトヘトになったのも懐かしい思い出。巌鬼山神社のスポットだけを残していて、いつかは行くぞと思っていたのに行けずじまいでした。

・「刻刻」(所沢など)
そもそも「刻刻」のメインは観光地ではなく住宅街がほとんどです。それも観光地じゃなく聖地の面白いところ。これもコンプリートしました。

・「ヤマノススメ」(飯能、三ツ峠山
「舞台めぐり」を使ったのがここです。そして、今日、締めくくりに行ってきました。自宅から25kmほどの距離なのですが、歩いて行ってみるということも何度かやりました。(帰りは電車) 飯能市街のほかにもスポットはあったのですが、それらも含めてコンプリートしました。

・「とある科学の超電磁砲」「とある魔術の禁書目録」「ガッチャマンクラウズ」(立川)
一番近い舞台めぐりのスポットでした。「めぐりポイント」が実装されてからしばらくは、しょっちゅうポイント稼ぎに出かけていました。歩いて片道1時間くらいかかるので、近くに住んでいる人がうらやましかった。「めぐりポイント」がはじまって1年ちょっとはトップ10圏内を維持するくらいには頑張っていました。そのために、買い物に出かけるだけでも「ちょっと買い物」とチェックするようになりました(マイARでも5件チェックして日記をつけると20ptになるので)。しかし、新型コロナで不要不急の外出自粛を求められた2020年2月に、これを諦めることにしました。

・「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ」(秩父
秩父は今でも、「あの花」をメインとした企画をときどき開催しています。自宅からはちょっと遠いのですが、これらは頑張ってコンプリートしました。秩父三部作のもうひとつ「空の青さを知る人よ」は実装されませんでした。

・「ノラガミ」(東京、島根)
東京のスポットはチェックしていたのですが、島根は遠く、ずっと放置していました。しかし、タムラコータロー監督の「ジョゼと虎と魚たち」が良作だったので、思い立って島根方面への旅行を企画して、コンプリートしました。境港から自転車で美保神社まで行ったり、近くに駅のない黄泉比良坂に歩いて行きました。「舞台めぐり」もなくなったので、もう行くことはないでしょう。

・「ブルーサーマル」(熊谷)
これは行きませんでした。でも(当時は)アニメ化されていないのにスポットが設定されていて、どんな作品だろうと思っていた作品です。スポットのシーンも白黒のマンガのコマだけのようでした。そして、ようやく昨年、劇場アニメ化されました。基本的には良作だったと思います。「舞台めぐり」は変わらなかったようですが。

■日記のアーカイブ

色々試しましたが、結局、日記をブラウザで保存するのが一番のようです。日記にしていないものは含まれなくなりますが。なお、ところどころ「買い物」が入っているのは「めぐりポイント」稼ぎです。(これでも全部ではありません)

舞台めぐりの記録

「スキップとローファー」聖地巡礼バスツアーの記録

■ツアーの申し込み
石川県珠洲市で実施された「スキップとローファー聖地巡礼バスツアーに参加してきました(第1弾第2弾)。なかなか忘れられない思い出なのですが、そうは言っても時が経つと忘れてしまうことは多いものなので、ここに記録を残しておきます。都度都度twitter(現X)に投稿はしていましたけど(8/198/208/298/30)、結論だけ言うと「すばらしい内容で、オトクなツアーだった」

スキップとローファー」はアニメから入ったクチで、良作の多かった2023春アニメの中でもとくに好きな作品になりました。極力ネタバレを避けて紹介するなら「すぐれた群像劇で、どの登場人物にも感情移入できる」「いい人になりたくなる作品」 もともと原作コミックの評判がよいとは聞いていたので、アニメの先行上映に行くかどうか迷っていたのですが、すでに「僕の心のヤバイやつ」の先行上映会と「推しの子」1話の劇場上映に行くことを決めていたことと、コロナが広がっているという話もあったので、見送ってしまいました。後悔先に立たず

本作の放送中に、ヒロイン(岩倉美津未)の故郷のモデルとなった珠洲市で「AR」が設置されると知り、ぜひ行ってみたいと思いました。しかし、作品でも語られている通り、鉄道は廃線となっており、クルマも免許も持たない身で、どうやって攻略したものかと悩んでいました。バスはあるのですが、本数が少ないので、いったん下車してしまうと延々次のバスを待つことになりそうです。

そんな中、飛び込んできたのがバスツアーの開催です。ツイートされたのが7月11日午後6時でしたが、私がこのツイートを見たのは、もう寝ようと思っていた真夜中過ぎ。「お一人様16,000円」を見て、公式だし“日帰り”の値段かなと思いましたが、2日間で宿泊も含まれており、定員は25人。1名参加は相部屋とあったものの1泊2日のツアー価格だと思っても安く、「これ、すぐ埋まっちゃうんじゃないの?」と直感。眠気も吹っ飛んで申し込み方法を探しましたが、案内に書かれているのは電話番号とメールだけ。電話がつながらないことも考えて、とりあえずメールで申し込みの意思を連絡しました。案の定、翌日の午前中で定員が埋まったそうです。

第1弾が「印刷したチラシを配る前に」埋まってしまったので、急いで第2弾も企画されましたが、こちらは平日開催だったこともあり定員にはならなかったようです。第1弾の申し込みの時に「第2弾が企画されたら、そちらも参加したい」とお伝えしていて、あまりに早い開催だったので遠慮していたのですが、第1弾の参加中に第2弾が定員に達していないと聞いたので、その場で申し込みました。

ちなみに、原作50話(コミック9巻)にも出てきますが、「飛行機は早めに予約すれば新幹線より安くて楽ちん」です。第1弾のときはANAの早割が使えて、羽田から能登まで税込1万円強で、それこそLCCみたいな値段でした。さらにツアーの特典として飛行機を使った人には旅行支援として2000円のキャッシュバックもありました。ビックリ。これが通常価格だと倍くらいになってしまいます。第2弾を申し込んだときは早割の時期を過ぎていたので、夜行バスを使うことにしました。これは約六千円(+能登空港までバス2200円)。新幹線だと東京→金沢で14000円くらいなのですが、金沢で前泊しないと結局バスツアーの開始時間に間に合わないので選択肢から外れました。

せっかく羽田から飛行機に乗るので、ここでも聖地巡礼しておこうと思ったのですが(アニメ9話、原作16話)、原作での出発ゲートは46番(バスに乗る)、アニメだと57番(北ピア側)で、それぞれ取材したときのゲートなのでしょうが、私のフライトでは68番ゲート(南ピア側)で真反対。端から端まで1km近くあるんですよね。この写真を撮るために往復しました。




珠洲市の名所と「AR」
ARが設置されているのは、必ずしも「スキップとローファー」の舞台になっている場所というわけではありません。珠洲市の名所をまわってもらうためのものという感じでした。江頭ミカのいる見附島は「君ソム」に出てきますが、「スキロー」には(今のところ)登場していません。それこそ第1弾のときは「シン・能登スマホスタンプラリー」の場所もチェックしてました。

(第1弾の時点で)ARが設置されている場所で舞台としても使われていたのはヒロインの岩倉美津未がいる鉢ヶ崎海岸と、久留米誠がいる木ノ浦椿展望台(近くの坂道)くらいです。ただし、第1弾の後で公開された原作最新話(54話)で禄剛埼灯台(ARは村重結月)が出てきたのは驚きました。第2弾で再訪できて、ホントによかった

聖地巡礼
架空の「いかじま(凧島)駅」は、のと鉄道廃線)の珠洲駅跡にある「道の駅すずなり」にあります。ここには当時のホームや線路が残っているので、それを使って再現している感じで、美津未と志摩くんのパネルもあって盛り上がるスポットです。これもARの期限(8/31)で撤去されてしまうのかな。すずなりには、グッズも置いてあり、布教用も含めて一通りは買いそろえました。第2弾では出たばかりの切手シートもゲット。


続いて正院駅跡と蛸島駅跡を訪問。それぞれ奥能登国際芸術祭の作品が設置されています。が、やはり思い出すのは「みつみちゃ~ん」という架空の旅立ちシーンです。アニメで「過疎が深刻なんだ」という場面で使われているのも、おそらく蛸島駅跡。


そして中学時代の同級生が集まった高倉彦神社へ。住宅地は撮影しないでほしいということで写真はありませんが、第1弾ではよく分かっていなかったところもあり、参加者の情報やアニメや原作を見直して色々調べまくったおかげで、まさしく聖地の入れ食いでした(←言い方っ!) 住宅が特定されることのないように言われていたそうですが、ファンの人たちの熱量もさることながら、描写が正確過ぎて「もう少し改変しないとバレてもしょうがないのでは」と思うくらいには“そのまま”という感じでした。あと、原作53話の場面など自分では気付きようがないところもありました。






続いて原作52~53話の鉢ヶ崎海岸~銭湯(現実では閉業)へ。第1弾でも本誌を読んでいる人たちは盛り上がっていたらしいのですが、単行本で読んでいる私は(9巻の発売は第1弾の後だったので)気づいていませんでした。そういう参加者は、他にもいたようです。やっぱり第2弾申し込んでよかった。



2日目は須須神社から寺家港まで歩いたり、原作29話「みつみの友達乗っけてさ!」(ナオちゃん)の道路を通って、木ノ浦海域公園「石川県のはしっこのほう」など。




(9/1追記)さらに、「アフタヌーン最新54話に登場した「禄剛埼灯台への道」です。

ここからの帰り道での眺めは、原作3話冒頭に似ています。(ただし左右反転)

その他、塩田村のような名所やアートミュージアムも見ました。一応、有料の施設でしたし、そもそも1日目の昼食、夕食、2日目の朝食、昼食も非常にまともなもの(というか、ソシャゲイベントなどで聞くような“シロモノ”とは格段に違うもの)で、宿泊も(私が普段泊まっているビジネスホテルではない)普通のリゾートホテルで、しかも相部屋でなく一人部屋になりました。いろいろ助成はあるようでしたが、オトク感がハンパないとしか言いようがありません。





■花火
バスツアーのプログラムではないですが、第1弾のときに「花火をやりたい」という声が上がりました。アニメ9話、原作16話オマージュなのですが、初日の夕食の後にバスでコンビニに立ち寄ってもらい、そこにある花火を買い占めて、ホテル到着後に、みんなで花火をしましたこれが本当に楽しかった。それこそ、花火なんて10年以上はやってなかったというくらいでした。第1弾では「♪メロウ」を歌ってる人たちもいました。第2弾では、コンビニでは売っていない打上花火や噴出花火をあらかじめ用意したり、タブレットでアニメの場面を流しながらやりました。タブレットから流れる音は、ほとんど波の音にかき消されていましたけど。忘れ得ぬ思い出です。


スーパーで買ったスイカも食べました。本当は丸のままのスイカがよかったけど(第1弾のときはあったのに)、第2弾のときはありませんでした。

■いつかは再訪したい
ARは8月末終了で「延長の予定はない」そうですが、原作は珠洲市ならぬ鈴市のエピソードが進行中。最新54話に登場しているのは輪島朝市白米千枚田だそうで、今のペースだと来年3月頃に発売されるであろうコミック10巻では珠洲市の聖地が増えそうな気がしています。

“公式”で、これほど良心的な価格設定と充実した内容のツアーなんて金輪際出会える気はしませんが、ならば自力で訪問するしかありません。場所を絞ってバスでまわるか、いっそ歩くかと思いましたが、道の駅すずなりでは電動アシスト付き自転車を1泊2日で借りるプランがあるようです。けっこう急な坂道を通っていたので、アシスト付きでも大変な予感はしますが、これが現実的な選択肢かもしれません。

■2024/1/21追記
今さらですが、能登半島地震珠洲市を含む広範な地域が被災しました。今年は輪島朝市や白米千枚田を含めて再訪しようと思っていましたが、火災に見舞われた輪島市をはじめ、上記で取り上げた地域も元の姿を維持していないところが多いようです。お見舞い申し上げるとともに、再訪予算を寄付いたしました。

時間はかかると思いますが、いつか復興した際には、改めて訪れたいと思います。

2022年日本のアニメ映画ベスト10+α

去年に続いて破壊屋さんの「2022年日本のアニメ映画ベスト10」のためのリストです(2021年版)。

今年は去年にくらべて“期待”している作品は多かったのですが、結果としては全体的に低調でした(もちろん私見)。映画全体でのベストは、“アニメ映画”とは言えないアニメ関連映画「ハケンアニメ!」で、これは“どストライク”だったんですけどね。とくに「すずめの戸締まり」は面白くなかったわけじゃないのですが、「新海誠作品を3年待ってこれか」という気持ちです。もっと下位の作品でもパンフレットやグッズを買っているものは多いのですが、なんだか本作はパンフレットもグッズも買う気がしませんでした。気分次第で10位圏外にしてたかもしれないのですが、だったら他の作品がどうかというと……という感じです。

ヒットしたテレビ作品で劇場版を作るというのは定石となっていますが、だいたい“期待どおり”というところですね。「五等分の花嫁」は“期待以上”ではあったのですが、もともとの期待値が低かったので。トップの「夏へのトンネル、さよならの出口」はキービジュアルが気に入って前売券を4枚買ったほど(1枚は布教)、“けっこう期待”していた作品で、期待通りでした。結局7回見たんですが、「五等分の花嫁」は10回、「ゆるキャン△」は8回見たんですが、これは入場者特典のためです。“期待以上”だったのは、絶対にネタ作品の凡作だろうと思っていた「君を愛したひとりの僕へ」「僕が愛したすべての君へ」と駄作感しかなかった「カメの甲羅はあばら骨」で、期待値は相当低かったものです。どちらもオススメするか、っていうと悩むので、あまり高い位置にはしなかったのですが、チャレンジ精神は買おうと思いました。なお、「SLAM DUNK」は、まったく見るつもりはなかったのですが、ちょっと迷ってます。見たら更新します。
海外アニメは一つも見ませんでした。これも「AVATAR」を“実写映画”に分類していいのか、という話はあるんですが。
さて、ネタバレする前にランキング一覧のみ。

夏へのトンネル、さよならの出口
四畳半タイムマシンブルース
すずめの戸締まり
かぐや様は告らせたい -ファーストキッスは終わらない-
映画 ゆるキャン△
映画 五等分の花嫁
劇場版 からかい上手の高木さん
ブルーサーマル
君を愛したひとりの僕へ
僕が愛したすべての君へ
かがみの孤城
ソードアート・オンライン プログレッシブ 冥き夕闇のスケルツォ
私に天使が舞い降りた! プレシャス・フレンズ
劇場版 ツルネ
映画 バクテン!!
劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [前編]君の列車は生存戦略
劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編]僕は君を愛してる
カメの甲羅はあばら骨
地球外少年少女 前編
地球外少年少女 後編
雨を告げる漂流団地
機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島
鹿の王
オッドタクシー イン・ザ・ウッズ
犬王
ぼくらのよあけ
グッバイ、ドン・グリーズ!
DEEMO
バブル
永遠の831

※2021年の劇場アニメ全作品のリストはこちら→ AnimeMovie2022.xlsx
※2023/1/28 すみません、一部(アニメに関連した)実写作品が含まれています。斜体にしました。

そして、【ネタバレ注意】の感想です。

①夏へのトンネル、さよならの出口

キービジュアルだけでムビチケを4枚買った作品。今年は微妙な作品ばかりで「ハズレだったらどうしよう」という不安はありましたし、はじめて鑑賞したときには説明不足を感じ、もう少しどうにかならないかと思っていましたが、それでも印象はよかったんですよね。これをトップにするとは自分でも意外ではあるんですが、むしろ他の作品に、もっと頑張ってほしかった。
感想とコメントは別に書いたのですが、基本的には「ボーイ・ミーツ・ガール万歳」という内容です。説明不足と感じた部分は、そして説明が足りていないのは原作からというわけではなく、映画にする際に削られたもののようです。映画化にあたって細部をきっちり決めておきましょう、みたいな話の方が多いと思っていたので、これは意外でした。制作(CLAP)の別作品(映画大好きポンポさん)に影響されたわけじゃないのでしょうが、上映時間が短い(83分)のも好印象。どうせ見ないし、しまい場所に困るので、最近はあまり円盤を買わないようにしてるのですが、これは買っちゃうと思います。応援したくなる作品

②四畳半タイムマシンブルース

森見登美彦氏の「四畳半神話大系」のテレビシリーズがあり、そのシリーズ構成・脚本を担当した上田誠氏の舞台「サマータイムマシンブルース」とのコラボ作があり、それがアニメ化されたものです。もともとディズニープラスの独占配信を再編集したものが劇場版として上映されました。なので、アニメとしてのクオリティはテレビシリーズ並だけれど、面白さという意味でもテレビシリーズ並で、つまり面白い。こんなにくだらないループものがあっていいのか(←誉め言葉です、念のため)

③すずめの戸締まり

「天気の子」から3年。どんな面白い作品を作ってくれるのだろうという期待感を持ち過ぎたのかもしれません。つまらない作品と思っているわけじゃないですが、「3年待ってこれかぁ」というのが正直なところです。よく言われている震災をエンタメにしているというプロット、“あの新海誠監督”じゃなかったら、制作にダメ出し食らうんじゃないかなあ、というところとか、プロダクト・プレイスメントとか懐メロとか“リアル”に紐づけが多すぎてワクワクする気持ちがそがれました。「天気の子」は、なんだか新海節が戻ってきた感じ、と思って個人的には微妙だったんですが、本作は“約束された大ヒット作としてさまざまなコラボを組み込む新海監督の熟練技術”を見ているような感じでした。実際、47都道府県の地元企業とコラボとか、映画制作と並行して大がかりな仕込みが進められていた気がします。その分、ワクワクできなかったというところです。前売券を2枚買って、2回見てオシマイでした。初日の舞台挨拶は外れましたが、その他の企画は参加しようという気になりませんでした。劇場アニメによくある“特典商法”もバンバンやってました。普通なら“乗る”んですが。でも、決して面白くない、と思ってるわけじゃないです。

かぐや様は告らせたい -ファーストキッスは終わらない-

3期まで続いたテレビシリーズの、おそらくは最後の続編で、テレビ放送前の特別上映。原作コミックも最終巻が発売されたばかりです。ノリがテレビシリーズのままですが、相変わらず演出がぶっ飛んでて面白い。本作の面白さは原作コミックにあり、そちらを読み込んでいるので、ある意味“新鮮味”が感じられないという面はあるのですが、3期がキレイに終わったので、続きをアニメ化するとは思いませんでした。「成就した恋ほど語るに値しないものはない」(©四畳半神話大系) 原作コミックは、もう少し続きはあるのですが、さすがにアニメ化しないんじゃないかなあ。というか、アニメ化するならあのあたりはカットかな、と思っていたところまで丁寧に拾われていたんですが(声優さんに何言わせるんだ、というのはさておき)、その割に最後のシーンで色々まとめられちゃっていました。これは幸せなアニメ化。

⑤映画ゆるキャン△

人気テレビアニメで高校生だった登場人物たちが大人になった世界で作られた劇場アニメ。1期のときのイベントで、ショートアニメと2期と劇場アニメの発表を見て歓喜した者としては待ち望んでいたものでもあります。本作が原作コミックの内容に踏み込まず、オリジナル作品としてエピソードを独立させたという発想自体はよいと思うし、それを前提にしたストーリー作りにもそつがありません。その上、リンちゃんの勤務先が名古屋だし、なでしこの勤務先は昭島だし、どちらも身近なので、初見では序盤からウキウキしてました(予告編などの情報収集はほとんどしていなかった)。とはいえ、もともとゆるキャン△」の魅力は主人公たちが“仲良し5人組”じゃないまま話が展開していくところにあると感じていたので、本作のように団結して目標に向かっていくという姿勢として描かれていたのは、ちょっと残念でした。もう少し人物間の密度を下げてほしかったとでもいいますか。見に行かなかったけれど、最後の舞台挨拶では3期まで発表されて、調子はよさそうです。

⑥映画 五等分の花嫁

正直、2期の放送が終わったときでも、5人の区別がついてなかったんですよ。たまたま、京都の太秦村で「舞台めぐり」のスタンプラリーをやっていて、人気作品だし、こういうのはやっておくか、と思って参加したんです。大好きな「冴えカノ」は見送ってしまったのに(←これは後悔した)。で、それをきっかけに、1期・2期を見直してキャラの区別がつくようになり、映画のムビチケも第1弾を3枚買ったと思ったら、第2弾で5種類も出て、結局みんな揃えたわけです。さすがに多いと思って1枚は布教したら、入場者特典が8週目までありました。えぇぇ。
原作がある作品なので、テレビシリーズのノリのまま劇場アニメ……と思ったら、意外にシリアスな設定がやってきました。そこまで重いわけじゃないけど、ようやく“人気作”の理由を知れた感じでしたね。単体の作品ではないし、劇場アニメだけの評価としては「端折ってるらしいのに長い」という感じでしたが、今年の作品の中では、このくらいのポジションでいいでしょう。

⑦劇場版 からかい上手の高木さん

そこまで大好きな作品ってわけじゃないんですよ、ホント。たまたま「結城友奈は勇者である」の聖地、観音寺から帰るときに高松から小豆島に行ってみたら、高木さんの聖地と知って、それ以来、出張ついでに毎年小豆島に行ってるわけです。今年なんて、劇場版で取り上げられていた「虫送り」というお祭りに参加してきたくらいです。内容は、いつもの高木さんだけれど、テレビシリーズを3期までやった後の作品らしく、きっちり締めくくられました。めでたし、めでたし。

⑧ブルーサーマル

「舞台めぐり」というアプリでわりと早い時期に実装されていたのですが、もともと「アニメの舞台をめぐろう」というアプリなのに「アニメ化されていないコミック」でした。当時から名前だけは知っていた作品で、劇場アニメができると知ってから興味深く待っていました。主人公はワガママだし、ちょっとリアリティに欠けるかな、そもそもストーリーのわりに尺が足りてないというかエピソードを詰め込み過ぎかな、という印象ではあったのですが、鑑賞後に原作を揃えたくらいには楽しめました

⑨君を愛したひとりの僕へ

観る順番で結末が大きく変わる」という触れ込みの1作品目。予告編でもタレント声優がキツい感じだし、こういう“企画もの”はあんまり面白くないことが多いので、怖いもの見たさ、あるいは批判するからには見ておかないと、という義務感から鑑賞しました。そして、そういう覚悟で見たせいか、けっこう楽しめました。「君愛」→「僕愛」の順序で鑑賞し、実際、この順序で見る方がよいという流れになっていたと思いますから「2部作」という形でもよかったと思いますが、あえて「観る順番」を意識させたチャレンジは買います。2作品を1.7作品分くらいの労力で作ったでしょ、という感じもありますが、もともと予算なんて作品ごとに千差万別でしょうし、「観る順番」という要素がなければ、凡作扱いされてオシマイだったかもしれないと思うと、このチャレンジは前向きに評価しています。

⑩僕が愛したすべての君へ

上記の通り。こちら側こそが“結末”といってよさそうだけれど、全体的な話としては“前座”っぽい印象。

かがみの孤城
個人的な今年の覇権映画「ハケンアニメ!」の辻村深月原作だったので、けっこう期待していた作品です。でも、なんだか、そこまで好きになれませんでした。上映前舞台挨拶で辻村先生がネタバレしてないつもりで、色々喋り過ぎていたせいかもしれません。それ、もう設定の予想がついちゃいましたよ。聞いてなくても分かったかもしれないけれど。いや、1年も交流してたら、その設定が分からないわけがないというか、とくにゲーム機なんて時代を象徴するものでしょ。もともと、本作は女子の人気が高いものみたいですし、隣の女性は最後に涙をハンカチで拭っていたみたいですし、私はターゲット層じゃなかった、ということかもしれません。

ソードアート・オンライン プログレッシブ 冥き夕闇のスケルツォ
キリト視点だったテレビシリーズから、アスナ視点になった劇場アニメの第2弾。そんなにランクを下げることはないじゃないか、という気もするのですが、なんだかバトル展開に飽きちゃったんですよね。アインクラッドの時は面白かったな、という印象があってムビチケは何枚も買ったし、舞台挨拶も見に行ったんですが、我に返ったといいますか。なろうで強キャラが活躍するのと何が違うのかな、と。テレビシリーズに比べれば映像は各段に進化しているし、ストーリーが破綻してるわけでもないし、しっかり作られてはいるんですけどね。

⑬私に天使が舞い降りた! プレシャス・フレンズ
テレビシリーズは、一応最後まで見たという程度だったし、劇場アニメを作るほど話題になってたっけ?という意味では、まさかの劇場アニメ(←ヤメナサイ)。上映時間は67分(テレビアニメなら3本弱)というフルサイズというには微妙な気もする長さだけれど、テレビシリーズが好きな人には“すべての要素”が詰まった作品で、奇をてらうようなこともなく、安心して楽しめるでしょう。みんなで旅行する、という程度の話で、とりたてて意外な事件が起きるわけでもなく、立てたフラグはきっちり折られ、張った伏線はキレイに回収されていきます。

⑭劇場版 ツルネ
京アニ作品なのと、別に嫌うほどではないので見に行ったという程度です。個人的には、よりヒットしているであろう「Free!」よりはマシなんですが、ストーリーが地味というか、テレビで見ればいいかな、という感じがしちゃうんですよね。映像はさすがの京アニなんですけど。

⑮映画 バクテン!!
男子新体操をテーマにした作品。東日本大震災から10年を機に制作された「ずっとおうえん。プロジェクト」アニメ3作のひとつ。テレビシリーズを締めくくる作品でもあり、いよいよインターハイがメインなのかと思ったら、それは序盤に過ぎませんでした。それじゃ安易すぎると考えたのかどうか、そこでの結果を踏まえた上で決着させようとしたように見えます。でも、本来は、それでリカバーできるような話じゃないというのと、男子新体操であることがあまりストーリー上で役に立っていなかったのが気になるところ。「マイナー競技である」ことは少しだけ入り込んでますが、別にテニスでも、バレーでも同じようなストーリー展開はできそう。たぶん本作品自体が男子新体操の普及に貢献することを意図してると思うのですが、その新体操の演出がリアリティを欠くレベルで派手なのもどうなんでしょうね。どうでもいいけど、イオンシネマ岡山では去年からずっとグッズが売られていたのに上映がなく、グッズが引き上げられてから上映が始まったみたいでした(←なぜ?)

⑯劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [前編]君の列車は生存戦略
テレビシリーズの総集編+αの前編。「+α」として、それなりの映像は追加されていますが、もともと2クールで放送されたものであり、かなり端折ってまとめられた総集編です。もともと、あまりテレビシリーズを見返してはいなかったのと、「なんだか分かりにくい話だった」という印象があったので、「こんなに分かりやすい話だっけ?」というところ。むしろ新味が感じられて、まあまあよかったとすら思いました。

⑰劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編]僕は君を愛してる
テレビシリーズの総集編+αの後編。前編よりは分かりにくいというか、テレビシリーズのときにも思いましたが、あんまりついていける話じゃないんですよね。あと“考察”させたがってる感じがして、そういうのがあまり好みではないということはあります。

⑱カメの甲羅はあばら骨
突拍子もないキャラデザとフラッシュアニメのようなぎこちない動きの詰まった予告編には、まったく期待感がなく、キャストの熱烈なファンでもなければ見る人いないんじゃないかと思っていた作品でしたが、旅行先で雨だったのと映画ファーストデイだったので気まぐれに鑑賞。冒頭数分は後悔しきりでしたが、結果としては「意外にまともじゃん」というのが正直な感想。決して映画館の大迫力が活かされているという作品ではないですが、配信やテレビ放送だったら冒頭で見るのをやめていた気がするので、映画館で見たのはよかったと思っています。キャラデザが異端すぎて分かりにくいですが、本編は王道といってもよい青春ストーリーでした。
しかし、よくこの企画を通したな

⑲地球外少年少女 前編
Netflixで配信された全6話を3話ずつ前編、後編で上映。私は途中で挫折しましたが、同じ原作者の「電脳コイル」が好きな人には好さそうな内容とは思います。画はキレイでしたが、ちょっとキャラ付けがキツいのと、それぞれのキャラの深みがあんまり感じられませんでした。エピソードも取って付けたような話で感情移入しにくかったです。

⑳地球外少年少女 後編
上記の続き。Netflixの後半3話。前編は、一応映画館で見たのですが、後編はNetflixで見てオシマイでした。

㉑雨を告げる漂流団地
ペンギン・ハイウェイ」の石田祐康監督作品で、コロナの直撃を受けた良作「泣きたい私は猫をかぶる」のスタジオコロリド制作なので、けっこう期待していました。Netflixで同日配信されると分かっていたのに、前売券も2枚買って舞台挨拶も見に行きました。でも、ダメだった。ご都合主義なのかどうか設定がキツイ。そして、子供たちが力を合わせて解決するストーリーになるのかと思いきや、そうでもない。なんというか揉め事ばかりに時間が使われていてフラストレーションがたまりました。

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島
「ファースト&逆襲のシャア」組としては、もとが30分アニメの1話でしかなかったものを、なぜこんな形に作り直したのか、としか思えません。時間が長くなって話に深みが出たというわけでもなく、むしろ薄まった面さえ感じられます。映像はキレイになっているのだけれど、だから見たいというものでもありません。

㉓鹿の王
本屋大賞を授賞した原作モノかつ実績のあるアニメーターの監督作ということで、けっこう期待していた作品でしたが、かなり肩すかしでした。子供向けなのかな、と思うような展開もありましたが、ワクチンとか治療薬が出てきたり、同一視されていたりで、なんだかなーと思ってみてました。とにかく2時間弱の上映が、とても長く感じられました

㉔オッドタクシー イン・ザ・ウッズ
テレビシリーズが超傑作で完結したので、なにをやっても蛇足になりそうなところ、サイドストーリーでもない“劇場版”が発表されたことが驚きの作品。前売券はお布施のつもりで購入しました。“総集編じゃない”という声もありましたが、わりと予想していた通りの構成で、見方を変えた程度の総集編でした。2時間超という尺をかけて、追加されている映像や設定はあるけれど、ファン必見というものではなさそうです。ある意味、最後の5分が作品の本編。もっと総集編と割り切るか、舞台でやっているみたいにスピンオフでもやればよかった気はします。

㉕犬王
四畳半神話大系」の湯浅政明監督だからと、けっこう期待して、予告編第1弾では前売券を2枚買ったところ、第2弾で“ミュージカル”という言葉が出てきて一抹の不安を感じ、それでも1枚買い足したんでしたが、そういえば「日本沈没2020」も湯浅監督でしたね、と思い出した作品。こういうのが好きな人もいるのだろうな、という理解はしますが(実際、世間の評価はそんなに低くない)、合いませんでした。歌が長くて、ストーリーが単純

㉖ぼくらのよあけ
これは、もともとあまり期待していない作品でした。予告編もキャラデザも子供向けかなと思うようなもので、実際そうだったんでしょう。個人的には子供向けというより子供だましと感じてしまいました。とにかく展開が安易。

㉗グッバイ、ドン・グリーズ!
アカデミー賞の出品作品になったと聞いてビックリしたほどの駄作。一応、フォローしておくと、アニメの動きはよくできています。でもストーリーがキツい。基本は「男子ってバカねー」を絵に描いたような内容だけど、本当にバカなのがツラい。序盤、“事件”が起きるまでの展開は我慢するとしても、そこからの展開にリアリティがなくて、全然感情移入できませんでした。90分くらいの作品なので勢いよく見られてもよいはずなのに、終わるまでが長かった。

㉘DEEMO
もとになったというゲームは知りません。映画単体としては凡庸。3DCGが「永遠の831」よりマシだった、という程度。

㉙バブル
虚淵玄脚本の悪い部分が出た感じです。これもアニメの動きはよくできています。劇場公開前に Netflix の配信が始まるので、内容がよければ前売券を買おうと思っていたくらいなのに、全然ダメだった。競技のルールが“ホントにそれなの?”というレベルだし、終盤の展開は「そんなご都合主義が許されるの?」という印象

㉚永遠の831
WOWOWに加入して視聴。WOWOW開局30周年記念作品、ということでしたが、かなりショボかった。「あした世界が終わるとしても」や「エクスアーム」みたいな、モーションキャプチャをそのまま使うパターンで、映像に落ち着きがありません。ストーリーもかなり微妙で、「社会派をきどってみた」という感じしかしません。なんか薄っぺらい。記念作品だから劇場公開しようとするくらいのレベルを狙ったのだろうけど、かなりひどい。こんなのが記念作品でいいの?というレベル。

以上。

余談ですが、私が初めてアニメのイベントに参加したのは琴浦町で開催された「琴浦さん」イベントなんですが、このとき帰りの電車で向かいに座っていた人が「ほぼ毎週何かのイベントに行ってる。青春18きっぷと高速バスはオタクの友」みたいなことを言っていたんですよね。そのときは、「すごい人がいるもんだな」くらいに思っていたんですが、今年私が参加した舞台挨拶(LVを含む)とか先行上映とかアニメ関連のイベントを数えたら52回ありました。「リコリス・リコイル」と「ぼっち・ざ・ろっく」の先行上映に参加できたのは今年のラッキーイベントなんですが、平均して週1ってことですね。東京はイベントが多いので行きやすいということはあるのですが、京都や沖縄のイベントにも行きましたし、普通にグッズとかも買っているし、かかった費用を考えると、ちょっと怖ろしい……

「夏へのトンネル、さよならの出口」について

実のところ、今年の劇場アニメは不作感が強く、「まあまあ予想通り」くらいが上限で、期待外れだったものがけっこうあります。一応、来月には「すずめの戸締まり」という世間的な超本命はあるのですが、キャラデザがさほど好みではなく、もしストーリーが「天気の子」程度だとすると個人的には微妙です。なんだか“ポスト・ジブリ”っぽさを感じる予告編も不安しかありません。不安を裏切ってくれるといいのですが。

閑話休題

夏へのトンネル、さよならの出口」(略称「夏トン」)は、原作を知らず、キービジュアルに惹かれたという理由だけで前売券を4枚買いました。というか3枚買って、1枚は布教用に人にあげたのですが、その後、第2弾が出たので買い足しました。予告編を見たときに設定がファンタジーだと知り、ちょっと不安を感じましたが、先行上映に参加した鑑賞した印象はとてもよいものでした。先行上映/試写会を含めて7回見ました。とりあえず、現時点では「今年のベストアニメ」です。

上映館は少なくなっていますが、新たに上映が始まるところもあるようですし、オススメポイントを挙げておきます。あと、原作との違いについても触れておきます。(こちらは【ネタバレ注意】)

■オススメポイント

・ストーリーに勢いがある
とくに名前は挙げませんが、キレイな映像、素晴らしい音楽、盤石の声優陣という組み合わせでもストーリーが微妙で“スタッフの無駄づかい”を感じる作品は少なくありません。本作は典型的な「ボーイ・ミーツ・ガール」作品だと思いますが、83分という上映時間で無駄なくストーリーが展開していきます。さすがは「ポンポさん」を生み出したCLAPです*1。それだけに“説明不足”を感じるところもありますし、それが気になる人もいるとは思います。あとから原作を読みましたが、ずいぶん改変されていました(後述)。原作の方が細かく配慮されていると思いますが、原作通りに映像化されたら、おそらくここまでの評価にはならなかったでしょう。

・絵がキレイ
「ポンポさん」もよかったのですが、本作も丁寧に作られています。アニメとしての動き、背景、(スタッフトークで聞いた)リムライトという表現など、作り込まれているのがよく分かります。個人的には口元の描写が気になっていますが、細かいことです。*2

・キャラデザがよい
前述した通り、キービジュアルに惹かれたのが最初でしたが、あんずのキャラデザは“どストライク”です。

・音楽がよい
eillさんのテーマ曲、富貴晴美さんの音楽、ともに映像に合っていて、よいです。

・上映時間が短い(83分)
子供もそうかもしれませんが、年を取ると長い映画がツラくなるんですよ。「ポンポさん」は“90分”をいい長さとしてアピールしていますが(エンドロール込みで94分あります)、本作は83分と短めです。ほとんど寄り道をしていないだけで内容が薄いわけではありません。入場者特典目当てで何回も見た「映画 五等分の花嫁」は2時間以上ありましたし、「映画 ゆるキャン△」も2時間でした。これらも良作ではありますが、けっこうキツかったです。

 






以下、ネタバレします。




■劇場アニメと原作
初見から好印象でしたが、説明不足や気になる点はありました
そもそも、あれは“トンネル”なのでしょうか。線路を歩いて鉄道用のトンネルまできて、ああ、ここがそのトンネルなのかと思ったら、そこから転げ落ちて別のトンネルにたどりつきます。でも、これ、普通に見たら“洞窟”であって人工建造物である“トンネル”には見えません。

なにか伏線になっているのかと思いましたが、そういうわけではないようです。原作にはそういう描写はなく、コミカライズでもただのトンネルです。

アニメでは、トンネルの前が水たまりになっていて、それが中まで続いています。そんなところに、そんなにアッサリ入っていくでしょうか。ウラシマトンネルの噂が気になってどうしようもなかったカオルは興味が勝ったと解釈できますが、それを知らないあんずまでカオルを追いかけるために靴をずぶ濡れにして入るのはどうかと思います。それに、何回も実験するというなら、あるいは本格的に奥まで進むというなら、長靴とかレインブーツとかそれなりの装備を用意してほしいものです。
アニメでは“欲しいもの出会える条件”が時間なのか距離なのかを実験していませんでしたが、カオルもあんずも“思わぬもの”を手に入れるまでにほんの数分しかかかっていません。夏休みがあるのだから、もう少し調べてもよかったと思います。それに、あんなに平坦だったら自転車のような“道具”を使って、もっと先まで進むことくらい考えてもよいでしょう。ただし、原作では(コミカライズも)水たまりの描写はないですし、洞窟の中は平坦ではありません
時間差が生じる地点を調べるために携帯を使っていたのも不自然です。トンネル(洞窟)の中なんて携帯は通じません。携帯で会話しながら切れたことで判断していましたが、普通なら「ここで電波が届かなくなったかな」と思うだけです。この他にもアニメでは携帯やメールがさまざまな場面で効果的に使われていますが、原作では、この実験を含めて携帯は使われていません。時代設定がFOMA終了前なんだろうな、とか色々考えていたのですが、あのあたりのやりとりはすべてアニメのオリジナルです。「ちょっとエッチだよね」すらありません。これは驚きでした。
カオルの父親は、カオルの命に代えてでもカレンを生き返らせろと詰め寄っています。息子より娘の方がそんなに大事だったのかと男女差別(?)を感じてしまうところですが、原作ではカオルは母親と浮気相手の子供でありカオルと父親は血がつながっていません。また、カレンが死んだのは、カオルが出かけている間ではなく、一緒に虫取りをしているときです。父親が、あれほどカオルに冷たいクソオヤジなのも理由があるわけです。このあたりの要素は、少し残しておいてほしかったところです。
アニメでは、あんずは一人暮らししていますが、原作では叔母と住んでいます。いくら気に入らないことをしているからって「娘の一人暮らし」なんて親が許しそうな気はしなかったのですが、そうではありませんでした。
トンネルの奥に向かうカオルは意外に軽装ですが、原作によれば、それはあんずの提案でカロリーメイト4箱+2.5Lの水筒と具体的に書かれていました。でも、これだと1日分にも足らないですよね。アニメでは「千年先」みたいな表現も出てきますが、それだと数カ月くらいこもる前提になります。
他にも8月2日はカレンの誕生日ではなく、あんずが投稿したマンガ誌の発売翌日だし、お祭りには2人だけで出かけたわけではないし、カレンと見つけた穴場の話もありません。カオルが自宅にあんずを連れ込んだことはなく、あんずは川崎からカオルの住所を聞き出しています。カオルは警察沙汰にならないよう家出を示すための書置きを残します。
原作がそれなりにリアルに配慮した設定になっているのに対し、アニメはいくらかリアルを切り捨てているように感じます。脚本も田口監督ですから、このあたりは監督の意向なのでしょう。小説やマンガが映像化されるときは、ともするとリアリティを重視して現実味のある設定が盛り込まれることがあるように感じていますが、この切り捨て方はすごいと思います。おかげで、全編を通じて爽快な「ボーイ・ミーツ・ガール」を体験できます

2022.10.11追記。
もちろん切り捨てているだけではありません。前述の通り、原作では使われていない携帯でのやりとりは効果的に使われていますし、駅のホームでのやりとり、ビニール傘とひまわり、大泣きするあんずという本作の要となるシーケンスも、すべてアニメ独自のものです。主題歌(フィナーレ。)にも使われた「味気ない」というカオルをあらわす表現もそうです。

*1:2022.10.11追記。細かいことですが“生み出した”のはマンガ原作の杉谷庄吾氏ですね。劇場アニメを制作したのがCLAPです。

*2:本作はプレスコ(あらかじめセリフを収録してからアニメを合わせる)で制作されているそうで、喋りに合わせて口元がよく動きます。かつて「ディズニーのような大人の鑑賞を想定した本格的なアニメはちゃんと喋りに合わせて口元を動かしているのに、日本のアニメは口元がパクパクするだけだから二流扱いされる」と評した人がいましたが、しっかり動きます。しかし、どうにも違和感があります。もともと日本人(日本語)って、そんなに口元が大きな動きをしないですよね。たんに慣れない表現というだけかもしれません。

【ネタバレ注意】なぜ『新聞記者』がダメなのか

重要な注意 以下、映画『新聞記者』と『ウォーター・ホース』(←とばっちり)の結末のネタバレを含みます。また、『ニュースルーム』というドラマからも引用します。

Netflixで配信されたドラマ『新聞記者』が話題だ。Netflixの人気ランキングでも上位にいる。ドラマ版は見る気もしないので見ていないが、倉本圭造氏の書かれた記事によれば一部を除いてだいたい同じような流れになっているようだ。私の論評も、その記事に書かれている通りで、まさしく右翼の「日本国紀」、左翼の「新聞記者」という位置づけがふさわしい。『新聞記者』はフィクションであって史実を銘打っている『日本国紀』とは違うという意見もあるようだが、本当にそうだろうか。とくに左派の人たちは『新聞記者』を“丸ごとフィクション”と受け止めているだろうか



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映画『新聞記者』は、原作者の望月記者が現実世界で展開していた陰謀論があたかも事実であるかのように語られていく。天下りの斡旋で辞任した前川喜平氏がまるで“官僚という暗黒世界に立ち向かった正義漢が反発を食らって追い込まれた”ように描写されているのは、それこそ“お仲間”感いっぱいだ。そして、本筋はいわゆる森友学園問題であり“闇に隠された部分”を証言してくれる人が登場する。そして「証言してくれればすべてが明るみになる」という段階になって、脅迫でもされたのか証言できないことになって事実は闇に葬られる、という結末になっている。

劇中の番組で望月記者らが実名で登場する以外、本作の登場人物は架空のものだし、あくまで「実在の事件にインスピレーションを受けたフィクション」である。本来、それ以外に受け取りようがない。しかし、左派(というよりアンチ安倍派)の皆さんはどうだろう。安倍元首相の闇を証言する人物は本当にいたのにもみ消されてしまったから現実世界で報道できなかった、だから本作もフィクション扱いするしかなかった、あれこそが本当にあった出来事なんだ、と思ってはいないだろうか。そして「そう誤解させること」こそが本作(あるいは原作)の狙いなのではないだろうか

ところで、現実の事件報道を扱った傑作に『ニュースルーム』というドラマがある(以前はアマプラで見放題だったが、現在は有料配信)。当たり前のことだが現実世界で暴かれていないようなことがドラマで暴かれるなんてことはないが、これを見ると報道の基礎が分かるようにもなっている。とくに第2話で「あのスタジオは法廷」(第2話)というセリフは報道のあるべき姿を端的に表しているといってよい。たとえ「訴状が届いていないのでコメントできません」というお決まりの文句しか返ってこないとしても、必ず対抗取材をするのは、裁判で原告と被告の両方から話を聞いてから判断することに似ている。たとえ記者の法的責任を問われても取材源を秘匿したり、違法な取材を禁じるといったこともある。その中には「複数の情報源で確認を取ってから報道する」という決まりがある。単一の情報源に頼るとその情報源に騙されたらオシマイだからである。

話を『新聞記者』に戻す。この「予定していた人が証言できなかったから報道できなくなった」という結末は、いくらフィクションでも報道として失格である。その証言に基づいて、きちんと裏付け取材ができていれば、その証言がなくなったとしても報道はできるはずだからだ。そして、この「裏付けができない」ことは現実の望月記者にも重なってくる

さて、唐突に挙げた映画『ウォーター・ホース』(2008年)は、ネス湖ネッシーを扱った作品だ。これもNetflixで配信されている。この作品の冒頭で「これは本当の物語…」(a True tale it is...)というテロップが表示される。ネッシーなんて、今で言うところの“都市伝説”であって、どんな部分が“本当”なんだろうと思ったが、劇中で登場するおじいさんが「若者にネッシーの話を聞かせる」のが“本当”という部分なのだろう。そこで聞かせた話そのものが本当のわけがないからだ。

その意味で『新聞記者』も記者に「森友学園の闇」を語る人物は本当にいたのかもしれない。だが、その話そのものが“本当”である根拠はどこにもない。あるなら現実に報道されているはずだからだ。そして裏付けという報道の基礎を軽視した本作に日本アカデミー賞は最優秀作品賞を与えてしまったのだ。そんなところで選考にかかわる人たちのリテラシーがこんなレベルなのだ。陰謀論が流行るわけだよ。

【ネタバレ注意】『アイの歌声を聴かせて』監督トーク@シネマシティ

1月5日にシネマシティで「『アイの歌声を聴かせて』の吉浦監督トークショー(3度目)」が開催されました。今回は吉浦監督のみの登壇で、「舞台挨拶も回を重ねてネタ切れしてきたから、質問に答えていこう」という主旨でした。

(岩浪音響監督のオフレコトークに限らず)このところの舞台挨拶は公式レポートもされなくなってきたので、例によって(雑な)メモ書きと記憶をもとに書き起こしてみます。いつもと同様、間違っていたらゴメンナサイ(公式じゃないので“情報源”にしないでください)。

ちなみに私も頑張って手を挙げましたが、aスタほぼ満席状態で当ててもらえませんでした。やはり最前列を取りそこなったのが痛い……と思いましたが、最前列で当ててもらえていたのも最初の1人だけでした。

当然、かなり本筋にかかわる【ネタバレ注意】です。まだ見ていない人は読み進めず、まず映画館で見てください。上映館は少なくなってきましたが、再上映してるところも、ちょこちょこあるみたいですし。



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↓す

質問「(複数のキャラが描写される)グループショットの“こつ”を教えてください」
回答「この質問だけで無限に喋れますね。5~6人が画面に入る場合、全員が同じポーズにならないようにしています。また、昔の映画を参考にしています。今回は黒澤明小津安二郎を参考にしました」

質問「トウマがシオンの緊急停止機能を解除したことに、美津子たちが気付かないのはなぜ」
回答「緊急停止機能は、後付けの機能で停止させることはイレギュラー。人的なやりとりが発生して、メンテのことを考えていない。これくらいで勘弁してください」

質問「土屋太鳳さんを声優として起用した経緯と評価について」
回答「バラエティで見ていた土屋太鳳さんの雰囲気が合っていた。ミュージカルにも出ていて歌えるし、音響監督の岩浪さんが関わった『僕だけがいない街』という作品で声優をやっていた。ご本人の努力がすさまじく、土屋さん以外は考えられないというくらいハマリ役になった

質問「シオンのAIは、もともとタマゴッチ型のものが(あちこち移動した後)シオンにもともとあった高校生としてのAIを置き換えることになったのか、それとも融合したのか」
回答「その部分は、これまで濁して答えてきた。自分としては高校生AIと融合したと思っている。高校生AIは消失してはいない」

質問「“シオン”というのは秋に咲く花の名前など色んな意味がある。キャラの名前はどのように決められたのか」
回答「シオンにたくさんの意味があるのは分かっていた。もともとは男の子で“シン”という名前だった。女の子にしたとき、プロデューサーに“シオン”という名前の知り合いがいると聞いた。あとで「アイの物語」(山本弘著)に“詩音”というロボット(※介護アンドロイド)と同名になると気付いて、どうしようかと思ったが、もう“シオン”でなじんでいた。
“トウマ”と“サトミ”は楳図かずおわたしは真悟』から。
“ゴッちゃん”、“アヤ”、“サンダー”は、知り合いの名前

質問「本編に登場するバイク、クルマ、バスについて。クルマやバスは自動運転されているが、細かい部分は設定があるのかどうか(自動運転の仕事をしている人の質問)」
回答「メカデザインの明貴美加さんが細かく設定されているはず。あとでツイートするかもしれません。設定資料集出せって話かもしれませんが(拍手)」

質問「水飲み場のポジション取りについて」
回答「ひとつはムーンプリンセスに似たようなシーンがあって、それを再現している。
あの場所はAパートとBパートで使われていて、最初はシオンとサトミ、2回目はシオンとサトミ、トウマという場面。対比させることで、舞台裏から観察するシオンということを象徴的にあらわしている」

質問「ロードショーが年を越えたことに対する感想」
回答「ありがたいこと。これまでも口コミで広がる映画というのを見てきたけれど、自分で目の当たりにするということを実感している。生きる意味を与えてくれたと言ってもいいくらい。人生のハイライト。
こう感じるのは2回目で、1回目は『イヴの時間』のときにニコニコ動画の字幕だった。今回は生でこれを感じている。
まだ映画を作っていいんだと思える。人生を変えたといってもいい」

質問「エンドロールは『フィール ザ ムーンライト』の方がよかったという意見もあり、私もそう思ったけれど、『You've Got Friends』にした積極的な理由があれば」
回答「実は『フィール ザ ムーンライト』にすることも考えたが、やはり『You've Got Friends』の方がふさわしいと思い直した。私はエンドロールでは席を立たなくて、映画の内容を反芻する時間だと思っている。そのための曲。実は、劇中で歌われているときと速度が違うのでまったく同じものではない」

質問「シオンのAIが飛ばされた後、シオンの体には何かが残っているか」
回答「残っていない。コピーを残さず旅立った。さんざん研究対象にはされただろう。それを率いたのは美津子」

質問「サトミと美津子の関係、両親が離婚したことや、父をどう思っているかなど」
回答「離婚の理由は答えるのが難しい。
サトミは父親が好きだし、父親より美津子の方がホシマの中でいいポジションにいった。
両親が離婚したのは、サトミがそういうことを理解できる年齢になる前の小学生だった。
父も母も悪いわけじゃないと思って、母(美津子)を支えようと朝食を作ったりしている

質問「シオンが3日目にはラボに帰るために誘いを断ったのに、4日目の夜はラボに帰らずに済ませたのはなぜ」
回答「アシモフロボット三原則にあるように、シオンは命令に従うように作られているが、命令に優先度がある。サトミを幸せにすることが最優先。実はゴッちゃんには『学校をサボるのだって高校生の特権だぜ』というセリフがあった。だから“高校生らしさ”には反していない」

質問「それぞれの家族について」
回答「トウマの父親は大泉洋をイケメンにした感じ。子ども思いで、パソコンがごついのは父親のおさがりだから。
アヤの父親(保安部長)は、一番ふけてて年がいってから子どもができた。不器用でコミュニケーションが取れていない。保安部長のくせにパスワードがアヤの誕生日。
ゴッちゃんの母は息子を溺愛しているが、ゴッちゃんはそっけない。
サンダーのお父さんはエンジニアかつガテン系。人に迷惑を掛けたら殴る感じ。
ちょっとした場面だけど、それぞれの背景が描写されるようにしているので、こういうい質問は嬉しい

質問「劇中劇『ムーンプリンセス』について」
回答「プリンセスは、ちょっと王子とイイ感じになるけど重要とは思っていない。シオンよりは男心が分かっているけれど、王子と帝が自分のために競っているとは思っておらず、友達になればいいと思っている」

質問「6月6日(シオンの誕生日)までにblu-rayを発売してください」
回答「それは決められない。今は配信もあるし、段階があるかもしれない。私の一存ではなんともいえないが、twitterで何かするとか、できる範囲で考えます

質問「ハッピーエンドへのこだわりについて」
回答「自分がハッピーエンドが好きなので、ハッピーエンドは貫くつもり。今回は1ミリの迷いもなくハッピーエンドにしようと思った。最後の“ジャン!”もスッキリ終わりたかったから。
人生は長いから将来のことまでは分からないが、当分はハッピーエンドにしようと思っている」

質問「サトミは、なぜ目覚まし時計が鳴る前に起きるのか(※すごく若そうな声)」
回答「サトミはマジメな女の子なので、毎朝6時に起きて朝食を用意する習慣が身に付いている。
よくある『目覚ましで起きて遅刻、遅刻~』という展開へのアンチテーゼでもある」

質問「石黒(※電子工作部の部員)はサトミが好きなのか?」
回答「そう。好きなのに、そう言えず、トウマとの関係をいじってチャチャを入れている。
そういう子、いますよね。実は僕が一番共感できるキャラ
だから最後にサトミとトウマがうまくいってるのを見て『いいなぁ』って言っている。鈴山(※もう一人の部員)は、そのことに気づいていなかったが、それで驚いている」

ちなみに、他にも同じことを考えていた人はいたみたいだけど、質問できたら聞きたかったですね。

「カントク、イマ、シアワセ?」