【軽いネタバレあり】劇場アニメ「ジョゼと虎と魚たち」評

日頃から「つまらない映画なんか作るのをやめて、面白い映画だけ作ればいいのに」と言い続けているのですが、見る側も見る側で「つまんない映画なんか見るのをやめて、面白い映画だけ見ればいいのに」ということはあります。東京国際映画祭で見て「これが2020年のベスト」と確信した「ジョゼと虎と魚たち」ですが、レビューサイトでは高い点を獲得しているのに興行収入ランキングの反応がイマイチのようで残念な限りです。

まったくネタバレせずに「ここがオススメ」と書くのは難しいのですが、といいますかネタバレをおそれて書くのをためらっていたのですが、いまさらながらジョゼ虎の魅力を書いておこうと思います。

・悪人が(あんまり)いない
悪人がいない設定でうまく盛り上げていくのは難しいと思うだけに、そういうストーリーに惹かれるのですが、主要な登場人物に悪意がないというのは見てて気持ちがよいものです。ただ、まったくいないわけじゃないです。タイトルの“虎”はある意味、そういう存在のメタファーですが、あまり目立つ描写はありません。

・脇役がいい
主人公に魅力のある作品がよいのもそうですが、正直なところキャラとして魅力的なのは脇役の人たちです。色んな意味で舞推しです。

・現代的に改変されている
原作未読、旧実写映画は未見ですが、色んなレビューを読んだり、結局wikipediaを見たりして、だいたいのストーリーは分かってきました。実のところ、実写版の評価が高い人からは、アニメ版はあまり高く評価されていないことが多いようです。ストーリー展開が改変されているため実写版のよさが失われている、と感じられるようです。本作品を単独で考えれば、よく考えこまれて作られていることが分かると思います。多少、“ご都合”がなくもないのですが、あくまでフィクションです。
障害者を取り上げた作品としては「聲の形」も好きなのですが、そちらを封切日に鑑賞したとき、カップルで見に来ていた人たちが最後にボソッと「思っていたのと違ったねー」とつぶやいたことを思えば、本作は十分デートムービーになります

・画がキレイ
アニメとして画や動き、背景などが丁寧に作られています。これは YouTube で公開されている冒頭シーンを見てもらえばよいでしょう。ストーリーはよくても画が惜しい、とか、キレイに作られているのに話が強引という“惜しい”と思う作品も少なくないのですが、本作はそういうところがほとんどありません。

もうひとつ、実写版は興収がよかったのに、アニメ版は良作*1なのに興収が微妙だったものに「君の膵臓をたべたい」という作品があります。この作品は原作イラストをloundrawさんが担当されたのですが、そのloundrawさんがジョゼ虎ではコンセプトデザインとしてかかわっています。キャラデザキャラクター原案は「荒ぶる季節の乙女どもよ。」の絵本奈央さん、キャラデザは「ホリミヤ」の飯塚晴子さん。もう一度言っておきますが、舞推しです。(ランダムのマグネットで舞が出なかったのは寂しい……)

・音楽がよい
ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン」の音楽を担当されていたEval Callさんが、本作の音楽を担当されています。主題歌は「呪術廻戦」1クール目のOP曲「廻廻奇譚」を歌っているEVEさん。音楽の雰囲気は、前述の冒頭シーンで想像してください。

・LYNNさんが出てる(←オイ)
本作では、主役じゃ(舞でも)ないですけどね。前述のアニメ「君の膵臓をたべたい」ではヒロインでした。詳しくはコチラ

すでに上映終了しているところもありますし、もうすぐ終わりそうなところも多いのですが、何かの機会があれば、ぜひ鑑賞してください。

*1:個人の感想です

新型コロナ: 信者ビジネスと科学

蚊取り線香は効きませんね。相変わらず起きたまま寝言を書いている不思議な人がいますが、寝不足極まりないようですから、しっかり永眠を取るとよいでしょう。ああいう意味不明な愚痴は、何らかの経済的ダメージを受けているための八つ当たりなんだろうという気もしますが、ここまでバカだと、そのダメージはそもそもバカだから生じているのではないかという推測すらできてしまいます。

閑話休題

■新型コロナは“ただの風邪”か
そうあってほしいと願う人がいるのは分かりますが、もはや世界中のほとんどの科学者や為政者は、そうは思っていません。ノーガード戦法だったスウェーデンを含め、寒くなって感染者が増加しはじめた欧米では再規制に踏み切っています。現在の日本での死者が欧米に比べて少なく済んでいるのは、早くから対策したり、新しい生活様式を人々が守ってきたりして、相対的には感染対策が成功してきたからです。冬を迎えた北半球の先進国では、どこも感染者増からは逃れられていません。

日本以上に抑え込みに成功している国はありますが、そうした国では罰則付きの規制によって強く抑え込んでいたり、人口密度や高齢者率が低いといった感染が広がりにくかったという条件がありました。日本では、中国や韓国、台湾の成功を真似するために、より厳しく私権を制限しようという動きはありません。だから「これが精いっぱい」でもあります。

かつて、「新型コロナ: 「インフルエンザでも人は死ぬ」との比較」へのコメントで、宮沢孝幸氏の記事をもとに「新型コロナはただの風邪になる」と解釈し、突っかかってきた人がいました。宮沢氏はツイッターで情報発信されていたのでそのことを伝えたところ、以下のようにツイートされました(ツイート1ツイート2)。

今の現実をよく見てください。なぜ楽観的になれますか?普通に考えれば、とんでも無いことになるってわかると思うのですが。よく私に、今、決断すべきですかと質問されますが、私には判断する権限はない。でも、普通に考えたら決断するでしょう。このままだとあっという間に医療崩壊だと思います。

私は政治的発言はできません。一応公僕でありますし。お察しください。また、このツイートは私の個人的な見解です。研究においても、私の仮説は大抵外れます。私は自分の考えることを発信しますが、私を信じることも危険です。

直接発言を修正されたわけではないものの、ただの風邪だという認識が誤りであることは明確です。現在、死者数÷感染者数で求められる致死率は、ほとんどの先進国で1%以上となっており、かつて医学誌ランセットが「インフルと同じと考えてはいけない」と言及していたときの推測値0.66%を下回ってはいません。

こうした事実が明らかになっている状況で、「インフルと新型コロナは同じではない」と主張してきた私が、わざわざごく少数のバカが主張する意見に傾くわけがありません。そろそろ、いくら言ってもムダだということを理解してほしいものですが、そう訴えてもムダなのでしょうね。

■歌舞伎町のホストクラブで集団免疫は成立しているか
その宮沢氏は、その後も科学的にデタラメな発言を続けていました。最近では東京や大阪では11月下旬にピークアウトしてる、ほとんどの感染対策は過剰、といった記事がありました。そして、次のようなツイートがありました。

歌舞伎町のホストクラブでは今はまったく感染者は出ていません。それは観察結果です。目玉焼きモデルはそれを支持します。決してホストクラブが静かになったわけではないです。ホストクラブ内で集団免疫が成立しているのだと思います。

感染者が確認されないのは集団免疫が成立しているから、というのはいかにも安直な推測です。正確な数は分かりませんが、検索すると歌舞伎町だけで300程度のホストクラブがあるようです。たしかに報道されてくる例はあまり多くなく、検索してもとあるホストクラブで50人中28人がPCR検査で陽性だったという報道がある程度でした。

しかし、これはあくまで一例であり、本当に300ものホストクラブで集団免疫が成立するほど感染が進んでいたなら、そこに出入りする客にも感染が広がっていくはずですし、クラスターが大量に発生して感染者数はずっと多いはずです。いくらなんでもおかしくありませんか?という主旨の質問をしてみました。そもそも“夜の店”はホストクラブだけではありません。都内には7000くらいのキャバクラがあるそうですが、そちらからもとくに目だった報道はありません。そこでも集団免疫が成立しているというのでしょうか、という質問につなげたかったのですが、何の回答もいただけないままブロックされてしまいました。

ふと気が付くと前述した「ただの風邪」に対してお答えいただいたツイートも削除されていました。「間違っていた」と認めるようなツイートが残っていてはマズいということなのでしょう。

■GOTOは感染を広げたか
私もすべての予想が当たったわけではありません。緊急事態宣言の終了直後から感染者が増え始めていたので、感染の抑え込みもせずにGOTOキャンペーンなんて始めたら、感染者が急増するのではないかと心配したものです。新規感染者数は7月22日の開始直後(東京以外)には若干増加傾向でしたが、その後減り続け、少なくとも11月に入って寒くなるまでの3カ月間は一定の範囲で持ちこたえていました。「GOTOのせいで感染が増えた」というなら、開始2週間後くらいから新規感染者が急増していてもおかしくありませんが、そうはなりませんでした。

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日本

もちろん、旅行などが活発になり移動や接触の機会が増えれば、それだけ感染の確率が上がることになりますから無縁ではないでしょうが、「新しい生活様式」が功を奏していたのでしょう。冬になって感染者が増加する理由としては、寒くて窓を開けずに換気が悪くなる、乾燥して飛沫が小さくなれば簡単には落ちずに浮遊しやすくなるといった理由が挙げられています。これは世界的な傾向であって、日本固有のものではありません

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ドイツ

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イギリス

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スウェーデン

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韓国

もちろん季節的な感染者増の理由がある以上、夏に比べて厳しい感染対策が必要なことは言うまでもありません。かねて述べている通り、新型コロナは“ただの風邪”ではないからです。そして問題は医療体制です。各自治体が色々な工夫をして対応しており、自衛隊に協力を求めているところもあるくらいですが、そうした工夫や自治体ぐるみでの対応が必要な時点で“平常”ではありません。

また、前述の宮沢氏は「11月でピークアウトしたから自粛は要らない」と言っていましたが、そもそもピークアウト(実効再生産数が1未満になる)ことだけが重要なのではなく、医療が対応できるまで十分に新規感染者を減らす必要があります。そもそも対症療法しかない現時点では、いくら工夫してキャパシティを増やしたところで、感染リスクや感染後の後遺症や致死リスクをなくせるわけではありません。だから感染を抑え込む必要があるのです。

注意してほしいのは、日本も含め多くの先進国では過剰な自粛や規制はしていないということです。どの国も経済を動かさなければなりません。だから医療の限界まで引っ張った上で、医療崩壊しないように自粛や規制を始めるのです。経済を動かせる上限は医療サービスの限界までだと言ってもよいくらいです。そして感染が大きく広がっている欧米では、日本よりはるかに強く規制されているのが実情です。

現在、日本では欧米に比べてはるかに良好な医療サービスが提供されますが、そのために医者は過重労働を強いられています。欧米に比べて感染者数が少ないのに医療崩壊なんて言うのはおかしいという識者がいますが、だったら欧米並みに医療従事者の報酬を引き上げ、医療サービスのレベルを下げる決断をしなければなりません。ただし、そんな方向性を示す政治家・政党が国民に支持されるかどうか、私は疑問です。


■インフルエンザと新型コロナ
以前にも示しましたが、新型コロナに対する感染対策は、インフルエンザに対しても有効です。これだけ厳しい対策をしているので、今年はほとんどインフル患者が発生していません。そして、そんな状況であるにもかかわらず2~3桁多い新型コロナの患者が発生しています。それだけ感染が広がりやすいのです。

インフルエンザ 新型コロナ
2019年 2020年 2020年
~9/6 3813 3 4155
~9/13 5738 4 3799
~9/20 5716 4 3439
~9/27 4543 7 3033
~10/4 4889 7 3649
~10/11 4421 17 3573
~10/18 3550 20 3744
~10/25 3953 30 3878
~11/1 4682 32 4612
~11/8 5084 24 5940
~11/15 9107 23 9591
~11/22 15390 46 13502
~11/29 27393 46 14474

新型コロナは、必ずしも感染力が強い(基本再生産数が高い)とは言われていません。しかし、「発症前から感染性がある(45%は発症前の感染者から感染している)」「発症前はPCR検査で陽性になりにくい」といった研究がなされているとおり、発症した人が引きこもっているだけでは感染を抑え込めないのです。これが症状のない人もマスクをしたり、3密を避けたりといった「新しい生活様式」が必要とされている理由です。“ただの風邪”扱いしたアメリカで、どれだけ感染者が増えているかを見れば、感染対策の重要性は明らかです。

■信者ビジネスと科学
前述した通り「専門家がただの風邪と言っている」と、あたかも素人のこちらが間違っているかのようなコメントが書かれたわけですが、セオドア・カジンスキーの例を挙げるまでもなく、まともな肩書きがある人がすべてまともなことを言うとは限りません。頭がおかしくなっているか、嘘をついている可能性がいくらでもあります。宮沢氏は聞いてくれる人だけ聞いてくれればいいとツイートしていますから、アクセス数が稼げればよいのかもしれません。宮沢氏が、なぜ間違いを認めたツイートを削除したのか、考えてみるといいでしょう。

なぜ科学的に間違った発言をする人を信じる人たちがいるかというと、自分にとって都合が悪い“事実”に向き合うことができないからです。「自分の置かれている状況が悪いのは、他の誰かが悪いためだ。もっと良くすることができるのにやってないから私は被害者だ」という意識を後押ししてくれる“専門家”は心の支えになるでしょう。科学的な議論とは“事実”に向き合うことからはじまりますが、そのためにはやりたくないが「やるべきこと」、あるいはやりたいけど「やってはいけないこと」と向き合わねばなりません。それを嫌がる気持ちを「肩書きを持つ専門家」が後押ししてくれるなら、こんなに気持ちのいいことはありません。しかし、事実に向き合えなければ、それはもはや宗教です。だから、事実をもって叩かれるのです。

私は、必ずしもどの宗教を信じるかを妨げようとは思いません。日本には信仰の自由があります。しかし、事実に基づかない宗教は、誰か別の人に強制することはできませんし、社会に影響することにでもなったら害悪です。残念ながら、そういう専門家に煽られている自治体もあるのですが、糖尿病だった当時7歳の子供がインスリンの投与をやめてしまい死亡した事件のように、事実に向き合えない信者は、より厳しい事実に直面することになるだけです。

ここでは信者を募集していませんし、他の信者がここに来て説得しようとしてもムダなのは、すべてが事実をベースにしているためです。

■集団免疫とスウェーデン
スウェーデンの感染対策リーダーであるテグネル氏がストックホルムで集団免疫を獲得しつつあると発表したのは4月です。実際には、それ以降も感染者数は増え続けましたが、それでもしばらくは落ち着いたものでした。ところが、冬が近づくにつれ、ふたたび感染者の急増を招いています。前述の通り、そのせいで8人を超える集会を禁じるなど、日本以上に厳しい自粛が求められています

ストックホルムは集団免疫が成立しているので、それ以外の地域で増えている」というわけではありません。最新のレポートによれば、圧倒的に感染者数が多いのはストックホルムです(p.11)。しかも、週ごとに悪化している検査陽性率が全国で13.3%であるのに対し(p.20)、ストックホルムでは21.3%となっています。どうみても検査が追い付いていない状況です。集団免疫など全然成立していないのです

では、経済面はどうでしょうか。同じ北欧のノルウェーフィンランドでは、スウェーデンに比べて人口当たりの死者数が1桁少なく済んでいます。そして、文春の記事には「国際通貨基金によれば今年の経済成長率の見通しは、スウェーデンがマイナス4.7%で、ノルウェー(マイナス2.8%)やフィンランド(マイナス4%)を下回るという」とあります。

何度も書いてきたことですが「感染か経済か」ではありません。「感染を抑え込んでこそ、経済が動かせる」のです。感染者や死者の増加を受け入れたところで、経済が元通りになるわけではないのです。中国や韓国、そして日本も、欧米のような厳しい再規制に踏み込むことなく経済を動かしています。それは欧米ほどには感染を広がらないうちに抑え込んだためです。冬になって感染が広がりやすくなり、より厳しい生活様式が求められているのはしかたがありません。暖かくなれば、もう少し緩めてもよくなるはずです。今は、医療の限界を超えないように抑え気味に生活するしかないのです。

トランプ大統領アメリ
事実に向き合えない人たちがせいぜい地方自治体にとどまっている日本と違い、大変なのがアメリカです。大統領選挙では証拠も示さず不正を訴え、ことごとく裁判所に退けられているトランプ大統領ですが、極めつけはこの発言でしょう。

Trump attacked Biden by saying his opponent would 'listen to the scientists' in dealing with COVID-19"(トランプは、対抗するバイデンを「彼は科学者に耳を傾けるぞ」といって攻撃した

自分の支持者に向かって「科学者の話を聞くヤツなんかを大統領にしていいのか」と言っているわけです。なお、バイデン氏は「Yes」とだけ答えています。

もともとトランプ大統領は新型コロナを軽視していました。3月9日には、このようにツイートしています。

So last year 37,000 Americans died from the common Flu. It averages between 27,000 and 70,000 per year. Nothing is shut down, life & the economy go on. At this moment there are 546 confirmed cases of CoronaVirus, with 22 deaths. Think about that!

(昨年、普通の風邪で37000人のアメリカ人が亡くなりました。平均すれば年に27000~70000人ですが、何もシャットダウンせず、生活や経済は動いています。現在、コロナウイルスの感染者は546人で、死者は22人です。それを考えてみてください。)

仕方がない面はあります。何しろ2月下旬まで米CDCが配っていた検査キットは欠陥品だったので、感染者を正しく把握できていなかったからです。3月末には「死者数は「150万~220万人」、対策を取った場合でも「10万~24万人」が死亡する」と発表され、方針が転換されました。

ところが、トランプ大統領は1カ月も経たないうちに予測を下方修正して、「6万人から6万5000人になるという見通しを示し」ました。この時点で4.3万人が亡くなっていたのにです。ちなみに4月末には6万人を超えていました。

選挙前の最後の討論会(10月24日)の記録があります。「第2回テレビ討論 トランプ、バイデン両候補 最後の直接対決

新型コロナウイルスで220万人が亡くなるとも言われていたが、われわれは世界最大の経済大国を閉鎖して中国から来た恐ろしいウイルスと闘ってきた。新型ウイルスは世界的なパンデミックだ。アメリカでもフロリダ州テキサス州で感染者が急増したが、今は過ぎ去った。ワクチンもまもなくだ。数週間以内に発表されるだろう

220万人が亡くなるという予測は、トランプ大統領が死者数を下方修正する前の話です。220万人が亡くなると思わなくなったから経済を再開させたのではないのでしょうか。トランプ大統領は数十万人にも及ぶ死者数に対しても、「220万人よりマシになったんだ」と主張していますが、本当に220万人が亡くなると思っていたのなら、なぜ経済を再開させたのでしょうか。もっともバイデン氏は、まったくそうしたことに触れていなかったのもイマイチでした。

そもそもフロリダ州テキサス州での感染者の増加は過ぎ去っていませんトランプ大統領は、もはや選挙結果にイチャモンをつけたり、できる限りの悪態をついたりしているだけで、自身の行動には何の反省もないようです。さすが「科学者に耳を傾けない」大統領です。ここからどのように対策を取るにしても、バイデン次期大統領は苦労しそうです。

■報道風ワイドショー
完全に余談ですが、テレビが根拠なく恐怖を煽った話まで、こちらに向けてくるとはお門違いも甚だしいです。日本は検査が足りないから感染が広がるのだとか、精度の低い、偏った抗体検査の結果で、感染実態は確認された感染者数より桁違いに多いだのと煽っていた報道風ワイドショーやそこに出ていた自称専門家の人たちは、大量の検査をもってしても社会の再規制に至るほど感染を広げてしまった欧米や、厚生労働省の無作為抽出による抗体検査でごくわずかな陽性者しか見つけられなかった事実と向き合えているのでしょうか。

もはや確認すらしなくなってしまったので、知ったことではないですが、今なお恥ずかしくもなく放送を続けたり、メディアで見かけたりしていることを思うと、反省しているようすはまったく見られません。私は、それを批判することはあっても、彼らの報道責任は彼らにあるのであって、一緒くたに批判を受けるいわれはありません

※2020/12/10追記。
本文を読めない人が相変わらずバカなことを書いていますが、スウェーデンと近隣国の比較を挙げた通り「自粛しなかった方が経済ダメージを受けた」例がありますし、そのスウェーデンも今は日本以上の自粛に動いています。実際、「自粛しなければ元通り経済を動かせた」、つまり「自粛を弱めれば/しなければ経済的な理由による自殺者は増加しなかった」という可能性はありません。一方、新型コロナによる死者数は自粛や規制が遅れた先進国(とくに人口密度や高齢者率の近い国)と比較すべきであって、「人口当たりの死者数の差」こそが「早い対策によって減らすことができた人数」です。日本の死者数が少ないことは自粛した結果であって、自粛しなくても少なくて済んだわけではありません。
普通の理解力を持つ人には改めて説明するようなことでもありませんが、念のため。

漫画実写化邦画ベストテン

ワッシュさんの「漫画実写化邦画ベストテン」企画への投票です。

  1. ピンポン
  2. ちはやふる 結び
  3. 恋は雨上がりのように
  4. ファンシイダンス
  5. 翔んで埼玉
  6. かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜
  7. 斉木楠雄のΨ難
  8. CASSHERN
  9. 君に届け
  10. ReLIFE リライフ

 

1.ピンポン
初鑑賞したときはマンガ原作であるとは知らなかったけれど、文句なく面白かった。後にアニメになるときに“劣化”しないかと、今とは逆の心配をしたくらい。結局、アニメもよかったけど、やはり最初に見た印象が強いので、実写版の方が評価は上。アクマの彼女がペコをほめるシーンが好き。

2.ちはやふる 結び
すぐれた原作漫画が丁寧にアニメ化された後での実写映画。広瀬すず主演に不安を感じずにいられようかと思っていたが、見事な実写化。そぎ落とすところはバッサリそぎ落としつつ、原作のエッセンスをうまく取り上げた脚本が素晴らしい。作品単位では「ちはやふる 上の句」「ちはやふる 下の句」もランクインさせたいところだけど、ここは前後編を受けた完結編のみで投票。「下の句」の締めくくりから「結び」の冒頭のつなげ方がよかった。

3.恋は雨上がりのように
オジサンに恋をする女子高生という設定からして「ねーよ」とツッコミを入れずにはいられないのに、展開に惹かれて最後まで読み続けてしまった原作漫画。アニメもよかったけれど、小松菜奈といい、大泉洋といい、原作キャラを彷彿させるキャスティングがよかった。とくに小松菜奈の疾走シーンは、ちゃんと疾走している感じがした。

4.ファンシイダンス
今回の企画ではじめて漫画原作であることを知った作品。原作は未読。周防正行監督+本木雅弘主演としては、続く「シコふんじゃった。」の方が好きだけれど、これも良い。

5.翔んで埼玉
原作を読んだのは映画化発表後だけれど、これをよく映画にしようと思ったな、という作品。GACKT二階堂ふみのキャスティングが絶妙かつ、ギャグに徹した物量で笑わせてくれた。設定以外は書き起こしエピソードと思いきや、ちゃんと原作に元ネタがあることが驚きでもあった。

6.かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜
アニメから入ったクチだが、原作がよく、アニメ化もよかった。それだけに、実写化発表時は「ここでも橋本環奈か」という印象はぬぐえなかったが、よくできていた。アニメ(1期)のクライマックスが中盤の“イイハナシ”程度に流されてしまったのはしかたないが、単体の映画作品としては十分楽しめる。

7.斉木楠雄のΨ難
こんなものまで実写化するんだ、どれだけ原作不足なんだと思ったけれど、意外にしっかり作られていた。ただ、原作(アニメ)では蝶野のマジックがテレビから学園祭に舞台変更されていたのはいただけない。

8.CASSHERN
そういえば、これもマンガが原作だった、と思い出した作品。ストーリーに対する批判はあったけれど、それほど破綻しているとは思わないし、どのシーンを切り取ってもポスターとして成立するんじゃないかという映像がよかった。

9.君に届け
アニメから入った作品で、原作もそろえた。あの雰囲気を実写でやるのは難しい気がしたが、多部未華子がよかった。あとはあまり覚えていないが、ロケ地が地元なので一票。

10.ReLIFE リライフ
これもアニメから入った作品で、原作がベスト。実写化は不安があったものの無難にまとまっていたと思う。キャスティングもよかった。原作のよい場面が軒並み端折られていたのは、2時間程度の映画としてはしかたがないところ。

「どうにかなる日々」はどうにかならなかったのか

1カ月ほど前に封切られた「どうにかなる日々」について、もうほとんどのところで上映を終了しているようだが、改めて主張しておきたいことがある。ただし、作品そのものではない。本作は1時間ほどのオムニバス(4話構成、3&4話目はひとつながり)であり、内容は佳作といったものである。もとより大作扱いされるようなものではなく、万人受けを狙ったものではないが、こういう雰囲気の作品が好きな人はそれなりにいるだろうという内容である。

問題は本編上映前に流される「スペシャルキャスト対談」についてである。封切りから1週間ごとに3回に分けて、それぞれのエピソードの主演声優たちが作品の魅力を語ってくれるというのである。いや、これを「上映前」に流さないでほしかった。常々、アニメ作品にはプロの声優を使ってほしいと思っているのだが、それは棒読みやら不自然な抑揚といったことで作品を台無しにされるのが嫌なだけではない。芸能人や俳優が声優をやると、どうしても「その人」が思い浮かんできて、“絵空事”であるはずのアニメに“現実”が混じってしまい、感情移入しにくくなってしまうという理由がある。

「どうにかなる日々」は、せっかくプロの声優をキャスティングしているのに、作品上映前に声優の対談を流してしまうことで、そうした“現実”を印象付けてしまったのだ。そんなテコ入れをしたかったのなら、最初から芸能人を使えばよかったのに、とさえ思ってしまう。どうしても、こういうことをしたいのなら、今後は「上映後」に流してほしいと思う。

すべての人を不幸にする「君は彼方」

もともとキービジュアルからして「なんか『君の名は。』の二番煎じ狙い?」が露骨に感じられて期待感が生まれない上に、声優が芸能人だらけである。とはいえ、「Fate」のように(ファンの人には素晴らしい作品と言われていても)見る気が起きないものと違い、路線が苦手な感じではない。期待していなくても思わぬ拾い物があったりもするので、一応前売券(ムビチケ)を買っていた。

そういう中、高速バスで10日間の旅に出る日(11/11)、ちょうど池袋で「君は彼方」のジャパンプレミアがあるというので参加することにした。なにしろ前売券が使えるというのだ(そういうものなの?) 封切までは前売券を売るだろうから、もし面白ければまた買ってもいい。ただ、招待客も多かったのか、ジャパンプレミアでは空席が散見された。舞台挨拶の後、本編が始まる前に抜ける人もそこそこいた。

それにしても酷い作品だった。アニメの声優は、ちゃんとプロにやってもらいたいと思っていて、本作の芸能人声優たちも決して良い評価をするわけではないのだが、全体的にそういうレベルではなかった。これだけの著名人を声優に使うくらいなのだから、それなりに大作に相当するものだろうと思っていたが、そうではなかった。丁寧な作画、素晴らしい動き、よくできた効果や音楽など、ストーリーに好き嫌いや出来不出来はあるものの、アニメとして大きな労力を割かれた作品を芸能人声優が台無しにするという作品が多い中、本作はどれをとってもダメである。

君の名は。」ヒットのときに、これでSF要素の入ったラブストーリーがたくさん出てくるだろうと予想はしていたが、そういうモノの中でも酷い。瀬名快伸監督にとっても、制作のデジタルネットワークアニメーションにとっても、初の長編劇場アニメらしいが、今後仕事が来ないのではないだろうかと思うほどである。予算がなかったのか、時間がなかったのか、どこかで揉めたのかわからないが、劇場アニメの品質ではない。なにしろ作画が雑な上に、止め画が多い。そこらのテレビアニメにすら負けている。それでもストーリーがよければ、と思うところだが、これがお粗末。及第点を与えていいのは(たぶん)音楽くらいだろうが、だからといって印象に残ることもない。

これは、ある意味、すべての人を不幸にする映画といってもいい。オリジナル作品なので、どこにも思い入れはない分、鑑賞する立場としてのダメージは決して大きくないのだけれど、こんな作品に対してすらジャパンプレミアではキャストが「大切な作品になりました」とか「内容が深いのでじっくり味わってください」とか言っていて、「役者魂」を感じるとともに、そう発言しなければならない立場を思うと痛ましくなってしまうほどであった。

新型コロナ: バカにつける薬

といっても治せるわけではないですが、相変わらずうんざりするコメントが寄せられるので、ほとんど過去の繰り返しですが、蚊取り線香のつもりで記しておきます。

あなたは危機を理解してもらう為に故意にセンセーショナルな文章を書いていますね

現実がセンセーショナルなだけです。

まあ専門家でも曖昧にしか答えられない筈の内容を断言口調で書き並べられてるブログがあったらそうなりますね

どのケースにおいても、情報源を明確にして、そこから言及できるもの、計算したものを挙げていました。誤った引用については、その都度訂正し、また訂正箇所が分かるように残してもいました。誰もが自由に“意見”を述べることができますが、“事実”については、かねて誤っているなら具体的に指摘してほしいと申し上げていましたし、正当な指摘に対して修正していないものはないと考えています。

あなたはリスクを過大に評価する側なら正しくなくても問題ではないとでも考えてたのでしょうが

すべてがそうなっているわけではありませんが、行政というものは防御的に考えるものです。ほとんどの地域では地震なんか起きないのだから防災対策などしなくても問題はなく、たまたま地震が起きた地域が問題になるだけです。だからといって自治体が防災対策をしないわけではありません。調布の住宅街で道路が陥没しましたが、「因果関係は示されていない」とトンネルを掘り続けるわけにはいきません。

新型コロナについても自粛しなくても大丈夫だろうという姿勢で感染が拡大させてしまうより、自粛して感染を抑え込むことを考えるのは当然のことです。そして、欧米の現状を見れば、それが“結果論”としても正しかったとしか言えません。自粛せずに感染者や死者が増えていたら、それこそ今とは比べ物にならないくらいの大批判を浴びていたことは疑う余地がありません。

もともと、MERSやSARSの経験があった韓国や台湾と違い、日本では感染症対策についてほとんど準備はできていませんでした。高齢者比率が高く、高い医療サービスを提供している日本では医療の余裕もほとんどありませんでした。そうした状況において、専門家会議の方針や行政の対応は合理的以上のものだったと考えています。もっと早く入国制限をかけるべきだったとか、全世帯のマスク配布が本当に必要だったのかという“後出しだから言える改善点”はあるでしょうし、日本以上に対策がうまくいっている国のような法整備はしないのかという点はあります。しかし、“走りながら考えてきた対策”としては敬服に値するといっても過言ではありません。

また、私は、私のブログが行政に影響を与えたのだというおこがましいことは考えていません。そもそも専門家会議の方向性と同じことしか書いていません。その意味では、ブログが多少なりとも社会に影響したというのであれば、私はそれを誇りに思います。逆に、自粛など要らないと言っていた人たちが、いまだに恥ずかしくもなく発言しているのは不思議です。彼らは欧米の状況を知ることができないようなテレビもネットもない世界に暮らしているのでしょうか。当初、検査数と致死率でドイツを挙げて日本の対応を批判していた人もいましたが、今のドイツの感染者数や死者数の推移を見て反省しているのでしょうか。匿名ですから、逃げておしまいなのでしょうけれどね。

来年の春頃にはロックダウンを批判するコラムがいっぱい出るでしょうからじっくり見てください

とても興味深い表現です。日本は“ロックダウン”していないので海外のことかもしれませんが、今でも(これまでにも)自粛や緊急事態宣言に対する批判をしている人はいます。でも「来年の春頃」に何が起きるのでしょう。そして、なぜ「来年の春頃」まで待たないといけないのはなぜでしょう

それは“今”判断すると、感染が再拡大して日本以上の再規制に追い込まれている欧米と比較して、日本は防御的に対策してよかった、という判断になってしまうからです。日本は「GOTO」キャンペーンを行いつつも、「新しい生活様式」で感染を急増させずに持ちこたえているのですが、イギリスは同様のキャンペーンで感染を拡大させてしまい、死者も急増して、まさしく“ロックダウン”(外出規制)しています。フランスやイタリアも同様です。経済を停滞させてもロックダウンが必要なのは医療が間に合っていないという現実があるからです。

ボルソナロ大統領並の思考しかしないトランプ大統領アメリカでは、感染者数は1日10万人を超えています。相対的に致死率が下がっているとはいえ、絶対数は増えています。トランプ大統領が「すぐできる」と言っていたワクチンも、結局選挙前には完成しませんでした。まだ大統領選の結果は分かりませんが、バイデン候補が勝利したら、その尻拭いは大変なものになるでしょう。感染者が増えると抑え込みにくいことは、クオモ知事が強く規制しているニューヨーク州でも、今なお人口当たりの感染者増が東京より多いくらいだということからも分かります。

BCG仮説をはじめ、感染力の地域的な違いについては、否定されているか、あったとしても大差ではないという結論しか得られていません。こんな状況で、対策なんか要らなかった、日本は間違っていた、なんてことを“今”言ってしまうのは愚かです。今は言えないことを来年春頃になったら言えるはずだというのは、「今は起きていない結果」に期待した“結果論”にすぎません。何かが劇的に方向性が変わるとしても、それは今、分かっているものではありません。そんな起きるかどうか分からないものをアテにして批判しようとしているのです。恥を知れ

もっとも、日本もこれから開催日が動かせない東京オリンピックに向けて渡航の規制が解除されていくわけで、十分な水際対策ができるのか、感染者が増えたときに対応できるのか、といった不安がないわけではありません。さらに言えば、さまざまな支援策のザル具合やGOTOそのものの意義を含め、行政に対する批判意見を持たないわけでもありません。しかし、感染対策については、ブログで書いてきたことに問題があるとは考えていません。それでも、ブログは間違っている、ご自分が正しいと自信をお持ちなのであれば、次はちゃんと素性を明かしてコメントしてもらいたいものです。恥ずかしくてできないでしょうけれどね。ちょうどいい音声データがありましたよ。

「鬼滅の刃」と新型コロナ

バカと新型コロナに付ける薬はない、とはよく言ったものです。魘夢によって“幸せな夢”を見せられているのかもしれません。

■記録的な「鬼滅の刃」とニューヨークタイムスの記事

ニューヨークタイムスが "What Pandemic? Japanese Film Draws a Record Flood of Moviegoers"(パンデミックが何? 日本映画が過去最高の観客動員数を記録)という記事で、アニメ映画「鬼滅の刃」が他の国をすべて合わせたよりも多い、最高のオープニングだった("the biggest opening in the world last weekend — more than all other countries combined")と伝えました。

実のところ、この報道はあまり正確ではありません。記事から情報元としてリンクされている Box Office Mojo のデータ(WeybackMachineの記録)は、“各国の1位”を獲得した映画の興行収入であり、しかもアメリカが含まれていません。“週末”(Weekend)の区切り方が各国ごとに違うのですが、ノルウェードイツの国別情報で、同じ週末の Overall Gross を加算し、アメリカの日別データから10月17、18日の分を加算すると、「鬼滅の刃」の数値を超えます。「「鬼滅の刃」が他の国をすべて合わせたよりも多い」は言い過ぎです。

世界には、もっとすごい記録を達成している映画があります。BoxOfficeMojo によれば、10月に中国で公開された「我和我的家郷」(My People, My Homeland)の興収は3.6億ドル(約375億円)です。さらに遡ると8月公開の「八佰」(The Eight Hundred)は4.6億ドル(約480億円)です。今、映画産業が最も好調なのは中国なのではないでしょうか。

もちろん、「鬼滅の刃」が記録的なことは事実です。DEADLINEも日本と中国の好調ぶりを伝えています。決して元通りになったとは言えないものの、日本の映画界を救いつつあることや、タレント声優の出ない劇場アニメがこれほどの人気を獲得していることは、心から喜ばしいと思っています。

■伸び悩む「TENET」

一方、ハリウッド映画として大きく期待されたクリストファー・ノーラン監督の「TENET」ですが、世界的にはまずまずの興収を達成しているものの、肝心のアメリカでの興収が伸び悩んでいるようです。前作「ダンケルク」は日本の興収が1480万ドルなのに対し、アメリカでは1.88億ドルでした。一方の「TENET」ですが、日本ではすでに2300万ドルを超えているのに、アメリカでは5000万ドル程度です。フランスやドイツなどでも前作を超えていますし、“いつも通りのアメリカ”ならば2億ドル以上に伸びていたとしても不思議はありません。

アメリカで興収が伸び悩んだ理由は言うまでもなく新型コロナです。ロサンゼルスやニューヨークでは映画館が空いていません。空いていたとしても、わざわざ新型コロナの感染リスクを負ってまで見に行く人が少ないのです。「鬼滅の刃」がこれほどのヒットになった理由のひとつは、ハリウッドの大作が軒並み上映を延期していたり、動画配信に切り替えたりしているせいでもあります。欧米の感染再拡大で、世界第2位の映画館チェーンであるシネワールドはアメリカとイギリスで営業の停止を決めました。

アメリカでの感染者数はかつてないほど増えています。このところはヨーロッパでも感染者が増えて再規制がはじまっています。イギリスやドイツ、フランスでは映画館が閉鎖されようとしています。一方、日本はなんとか感染者増を抑え込んでいます。「鬼滅の刃」以上のヒットを生み出している中国では、人口14億をかかえつつ日々の新規感染者はせいぜい2桁です。何度も繰り返してきましたが「経済か、自粛か」の選択ではありません。「自粛して感染者を抑え込むことが、経済再生の道」なのです。

■ヨーロッパの再規制と医療体制

感染が再拡大しているヨーロッパで再規制がはじまっています。スウェーデンをみて、もう放置しても大丈夫だろう、という判断はしていないわけです。スウェーデンがニューヨークほど酷くならなかった理由としては「人口密度が高くない」「単身世帯が多く、もともと生活が密でない」といった理由が推測されています。たとえば、人口密度がそれなりに高いであろう首都ストックホルムではヨーロッパで人口当たりの死者数を出しているベルギー並の死者が出ています。そもそも“集団免疫を獲得”といっていたスウェーデンは、このところ感染者が急増しています。彼らが言う集団免疫とはいったい何だったのでしょうか

 

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スウェーデンの新規感染者推移

ヨーロッパでの再規制が始まろうとしているのは、主に医療崩壊のリスクがあるからです。決して「経済をどんなに犠牲にしてでも一人たりとも感染者を出してはいけない」と考えているのではありません。しかし、医療に余裕がなくなり命の選別が必要なほどに医療体制がひっ迫することは問題なのです。「死にそうな人は助けない」という国民的合意のあるスウェーデンとは違います。そして、日本はもとから医療体制に余裕がない国です。欧米の非常事態は、日本の平時です。医療に対する支援はとっととやるべきだと思いますが、医療従事者の人数は簡単には増えません。

■重症化と新しい生活様式

重症化率や致死率は下がっています。忽那賢志氏のブログ「マスクが新型コロナの「重症化」を防ぐという仮説と、その後の議論や新たなエビデンス」には、マスクによって重症化が防がれているという研究が紹介されています。当たり前のことですがウイルス1つで感染するわけではなく、感染に至る“曝露量”というものがあります。ウイルスの曝露量が多ければ重症化し、少なければ軽症ですむ、というのは理に適う話です。今、日本ではほとんどの人がマスクや手洗いを含め「新しい生活様式」に沿うようになりました。そのせいで感染がさほど広がらず、感染したとしても重症化を免れている、ということは十分に説明できます。しかし、その現状をもって「放置しても重症化しなくなった」ということにはなりません。忽那氏も「現時点で根拠が十分ではない仮説を過信するあまり感染対策が不十分になること」という警告を紹介しています。

先週の「クローズアップ現代+」では、新型コロナの後遺症に悩む人たちが紹介されていました。かつて「重症化して人工呼吸器や人工心肺による措置がなされるようなことになれば後遺症に悩まされるおそれがある」と書いたことに文句を付けられたこともありましたが、そもそも番組で紹介されていた人たちは重症化すらしていません。軽症という診断であるにもかかわらず、長期間の後遺症に悩まされ、仕事まで失う人までいたという報道でした。

■インフルエンザ

もちろん、放置してもたいして感染が広がらないなら「ごく一部の人たちだけのこと」で済む話です。しかし、放置せずに「新しい生活様式」で感染を防ごうとしている現状ですら、日々数百人、悪い時には千人を超える新規感染者がいます。これだけの対策をしていることで、インフルエンザの感染者はほとんど増えていないのに、ということです。

新型コロナ インフル(今年) インフル(去年)
~9/6 4155 3 3813
~9/13 3799 4 5738
~9/20 3439 4 5716
~9/27 3033 7 4543
~10/4 3649 7 4889
~10/11 3573 17 4421
~10/18 3744 20 3550
~10/25 3878 30 3953

新型コロナが難しいのは、発症していないのに感染性があることです。症状が出たら引き込もる、というだけでは防ぎきれないのです。当分の間、「新しい生活様式」が必要なことに変わりはありません。