「スキップとローファー」聖地巡礼バスツアーの記録

■ツアーの申し込み
石川県珠洲市で実施された「スキップとローファー聖地巡礼バスツアーに参加してきました(第1弾第2弾)。なかなか忘れられない思い出なのですが、そうは言っても時が経つと忘れてしまうことは多いものなので、ここに記録を残しておきます。都度都度twitter(現X)に投稿はしていましたけど(8/198/208/298/30)、結論だけ言うと「すばらしい内容で、オトクなツアーだった」

スキップとローファー」はアニメから入ったクチで、良作の多かった2023春アニメの中でもとくに好きな作品になりました。極力ネタバレを避けて紹介するなら「すぐれた群像劇で、どの登場人物にも感情移入できる」「いい人になりたくなる作品」 もともと原作コミックの評判がよいとは聞いていたので、アニメの先行上映に行くかどうか迷っていたのですが、すでに「僕の心のヤバイやつ」の先行上映会と「推しの子」1話の劇場上映に行くことを決めていたことと、コロナが広がっているという話もあったので、見送ってしまいました。後悔先に立たず

本作の放送中に、ヒロイン(岩倉美津未)の故郷のモデルとなった珠洲市で「AR」が設置されると知り、ぜひ行ってみたいと思いました。しかし、作品でも語られている通り、鉄道は廃線となっており、クルマも免許も持たない身で、どうやって攻略したものかと悩んでいました。バスはあるのですが、本数が少ないので、いったん下車してしまうと延々次のバスを待つことになりそうです。

そんな中、飛び込んできたのがバスツアーの開催です。ツイートされたのが7月11日午後6時でしたが、私がこのツイートを見たのは、もう寝ようと思っていた真夜中過ぎ。「お一人様16,000円」を見て、公式だし“日帰り”の値段かなと思いましたが、2日間で宿泊も含まれており、定員は25人。1名参加は相部屋とあったものの1泊2日のツアー価格だと思っても安く、「これ、すぐ埋まっちゃうんじゃないの?」と直感。眠気も吹っ飛んで申し込み方法を探しましたが、案内に書かれているのは電話番号とメールだけ。電話がつながらないことも考えて、とりあえずメールで申し込みの意思を連絡しました。案の定、翌日の午前中で定員が埋まったそうです。

第1弾が「印刷したチラシを配る前に」埋まってしまったので、急いで第2弾も企画されましたが、こちらは平日開催だったこともあり定員にはならなかったようです。第1弾の申し込みの時に「第2弾が企画されたら、そちらも参加したい」とお伝えしていて、あまりに早い開催だったので遠慮していたのですが、第1弾の参加中に第2弾が定員に達していないと聞いたので、その場で申し込みました。

ちなみに、原作50話(コミック9巻)にも出てきますが、「飛行機は早めに予約すれば新幹線より安くて楽ちん」です。第1弾のときはANAの早割が使えて、羽田から能登まで税込1万円強で、それこそLCCみたいな値段でした。さらにツアーの特典として飛行機を使った人には旅行支援として2000円のキャッシュバックもありました。ビックリ。これが通常価格だと倍くらいになってしまいます。第2弾を申し込んだときは早割の時期を過ぎていたので、夜行バスを使うことにしました。これは約六千円(+能登空港までバス2200円)。新幹線だと東京→金沢で14000円くらいなのですが、金沢で前泊しないと結局バスツアーの開始時間に間に合わないので選択肢から外れました。

せっかく羽田から飛行機に乗るので、ここでも聖地巡礼しておこうと思ったのですが(アニメ9話、原作16話)、原作での出発ゲートは46番(バスに乗る)、アニメだと57番(北ピア側)で、それぞれ取材したときのゲートなのでしょうが、私のフライトでは68番ゲート(南ピア側)で真反対。端から端まで1km近くあるんですよね。この写真を撮るために往復しました。




珠洲市の名所と「AR」
ARが設置されているのは、必ずしも「スキップとローファー」の舞台になっている場所というわけではありません。珠洲市の名所をまわってもらうためのものという感じでした。江頭ミカのいる見附島は「君ソム」に出てきますが、「スキロー」には(今のところ)登場していません。それこそ第1弾のときは「シン・能登スマホスタンプラリー」の場所もチェックしてました。

(第1弾の時点で)ARが設置されている場所で舞台としても使われていたのはヒロインの岩倉美津未がいる鉢ヶ崎海岸と、久留米誠がいる木ノ浦椿展望台(近くの坂道)くらいです。ただし、第1弾の後で公開された原作最新話(54話)で禄剛埼灯台(ARは村重結月)が出てきたのは驚きました。第2弾で再訪できて、ホントによかった

聖地巡礼
架空の「いかじま(凧島)駅」は、のと鉄道廃線)の珠洲駅跡にある「道の駅すずなり」にあります。ここには当時のホームや線路が残っているので、それを使って再現している感じで、美津未と志摩くんのパネルもあって盛り上がるスポットです。これもARの期限(8/31)で撤去されてしまうのかな。すずなりには、グッズも置いてあり、布教用も含めて一通りは買いそろえました。第2弾では出たばかりの切手シートもゲット。


続いて正院駅跡と蛸島駅跡を訪問。それぞれ奥能登国際芸術祭の作品が設置されています。が、やはり思い出すのは「みつみちゃ~ん」という架空の旅立ちシーンです。アニメで「過疎が深刻なんだ」という場面で使われているのも、おそらく蛸島駅跡。


そして中学時代の同級生が集まった高倉彦神社へ。住宅地は撮影しないでほしいということで写真はありませんが、第1弾ではよく分かっていなかったところもあり、参加者の情報やアニメや原作を見直して色々調べまくったおかげで、まさしく聖地の入れ食いでした(←言い方っ!) 住宅が特定されることのないように言われていたそうですが、ファンの人たちの熱量もさることながら、描写が正確過ぎて「もう少し改変しないとバレてもしょうがないのでは」と思うくらいには“そのまま”という感じでした。あと、原作53話の場面など自分では気付きようがないところもありました。






続いて原作52~53話の鉢ヶ崎海岸~銭湯(現実では閉業)へ。第1弾でも本誌を読んでいる人たちは盛り上がっていたらしいのですが、単行本で読んでいる私は(9巻の発売は第1弾の後だったので)気づいていませんでした。そういう参加者は、他にもいたようです。やっぱり第2弾申し込んでよかった。



2日目は須須神社から寺家港まで歩いたり、原作29話「みつみの友達乗っけてさ!」(ナオちゃん)の道路を通って、木ノ浦海域公園「石川県のはしっこのほう」など。




(9/1追記)さらに、「アフタヌーン最新54話に登場した「禄剛埼灯台への道」です。

ここからの帰り道での眺めは、原作3話冒頭に似ています。(ただし左右反転)

その他、塩田村のような名所やアートミュージアムも見ました。一応、有料の施設でしたし、そもそも1日目の昼食、夕食、2日目の朝食、昼食も非常にまともなもの(というか、ソシャゲイベントなどで聞くような“シロモノ”とは格段に違うもの)で、宿泊も(私が普段泊まっているビジネスホテルではない)普通のリゾートホテルで、しかも相部屋でなく一人部屋になりました。いろいろ助成はあるようでしたが、オトク感がハンパないとしか言いようがありません。





■花火
バスツアーのプログラムではないですが、第1弾のときに「花火をやりたい」という声が上がりました。アニメ9話、原作16話オマージュなのですが、初日の夕食の後にバスでコンビニに立ち寄ってもらい、そこにある花火を買い占めて、ホテル到着後に、みんなで花火をしましたこれが本当に楽しかった。それこそ、花火なんて10年以上はやってなかったというくらいでした。第1弾では「♪メロウ」を歌ってる人たちもいました。第2弾では、コンビニでは売っていない打上花火や噴出花火をあらかじめ用意したり、タブレットでアニメの場面を流しながらやりました。タブレットから流れる音は、ほとんど波の音にかき消されていましたけど。忘れ得ぬ思い出です。


スーパーで買ったスイカも食べました。本当は丸のままのスイカがよかったけど(第1弾のときはあったのに)、第2弾のときはありませんでした。

■いつかは再訪したい
ARは8月末終了で「延長の予定はない」そうですが、原作は珠洲市ならぬ鈴市のエピソードが進行中。最新54話に登場しているのは輪島朝市白米千枚田だそうで、今のペースだと来年3月頃に発売されるであろうコミック10巻では珠洲市の聖地が増えそうな気がしています。

“公式”で、これほど良心的な価格設定と充実した内容のツアーなんて金輪際出会える気はしませんが、ならば自力で訪問するしかありません。場所を絞ってバスでまわるか、いっそ歩くかと思いましたが、道の駅すずなりでは電動アシスト付き自転車を1泊2日で借りるプランがあるようです。けっこう急な坂道を通っていたので、アシスト付きでも大変な予感はしますが、これが現実的な選択肢かもしれません。

■2024/1/21追記
今さらですが、能登半島地震珠洲市を含む広範な地域が被災しました。今年は輪島朝市や白米千枚田を含めて再訪しようと思っていましたが、火災に見舞われた輪島市をはじめ、上記で取り上げた地域も元の姿を維持していないところが多いようです。お見舞い申し上げるとともに、再訪予算を寄付いたしました。

時間はかかると思いますが、いつか復興した際には、改めて訪れたいと思います。