「どうにかなる日々」はどうにかならなかったのか

1カ月ほど前に封切られた「どうにかなる日々」について、もうほとんどのところで上映を終了しているようだが、改めて主張しておきたいことがある。ただし、作品そのものではない。本作は1時間ほどのオムニバス(4話構成、3&4話目はひとつながり)であり、内容は佳作といったものである。もとより大作扱いされるようなものではなく、万人受けを狙ったものではないが、こういう雰囲気の作品が好きな人はそれなりにいるだろうという内容である。

問題は本編上映前に流される「スペシャルキャスト対談」についてである。封切りから1週間ごとに3回に分けて、それぞれのエピソードの主演声優たちが作品の魅力を語ってくれるというのである。いや、これを「上映前」に流さないでほしかった。常々、アニメ作品にはプロの声優を使ってほしいと思っているのだが、それは棒読みやら不自然な抑揚といったことで作品を台無しにされるのが嫌なだけではない。芸能人や俳優が声優をやると、どうしても「その人」が思い浮かんできて、“絵空事”であるはずのアニメに“現実”が混じってしまい、感情移入しにくくなってしまうという理由がある。

「どうにかなる日々」は、せっかくプロの声優をキャスティングしているのに、作品上映前に声優の対談を流してしまうことで、そうした“現実”を印象付けてしまったのだ。そんなテコ入れをしたかったのなら、最初から芸能人を使えばよかったのに、とさえ思ってしまう。どうしても、こういうことをしたいのなら、今後は「上映後」に流してほしいと思う。