【軽いネタバレあり】劇場アニメ「ジョゼと虎と魚たち」評

日頃から「つまらない映画なんか作るのをやめて、面白い映画だけ作ればいいのに」と言い続けているのですが、見る側も見る側で「つまんない映画なんか見るのをやめて、面白い映画だけ見ればいいのに」ということはあります。東京国際映画祭で見て「これが2020年のベスト」と確信した「ジョゼと虎と魚たち」ですが、レビューサイトでは高い点を獲得しているのに興行収入ランキングの反応がイマイチのようで残念な限りです。

まったくネタバレせずに「ここがオススメ」と書くのは難しいのですが、といいますかネタバレをおそれて書くのをためらっていたのですが、いまさらながらジョゼ虎の魅力を書いておこうと思います。

・悪人が(あんまり)いない
悪人がいない設定でうまく盛り上げていくのは難しいと思うだけに、そういうストーリーに惹かれるのですが、主要な登場人物に悪意がないというのは見てて気持ちがよいものです。ただ、まったくいないわけじゃないです。タイトルの“虎”はある意味、そういう存在のメタファーですが、あまり目立つ描写はありません。

・脇役がいい
主人公に魅力のある作品がよいのもそうですが、正直なところキャラとして魅力的なのは脇役の人たちです。色んな意味で舞推しです。

・現代的に改変されている
原作未読、旧実写映画は未見ですが、色んなレビューを読んだり、結局wikipediaを見たりして、だいたいのストーリーは分かってきました。実のところ、実写版の評価が高い人からは、アニメ版はあまり高く評価されていないことが多いようです。ストーリー展開が改変されているため実写版のよさが失われている、と感じられるようです。本作品を単独で考えれば、よく考えこまれて作られていることが分かると思います。多少、“ご都合”がなくもないのですが、あくまでフィクションです。
障害者を取り上げた作品としては「聲の形」も好きなのですが、そちらを封切日に鑑賞したとき、カップルで見に来ていた人たちが最後にボソッと「思っていたのと違ったねー」とつぶやいたことを思えば、本作は十分デートムービーになります

・画がキレイ
アニメとして画や動き、背景などが丁寧に作られています。これは YouTube で公開されている冒頭シーンを見てもらえばよいでしょう。ストーリーはよくても画が惜しい、とか、キレイに作られているのに話が強引という“惜しい”と思う作品も少なくないのですが、本作はそういうところがほとんどありません。

もうひとつ、実写版は興収がよかったのに、アニメ版は良作*1なのに興収が微妙だったものに「君の膵臓をたべたい」という作品があります。この作品は原作イラストをloundrawさんが担当されたのですが、そのloundrawさんがジョゼ虎ではコンセプトデザインとしてかかわっています。キャラデザキャラクター原案は「荒ぶる季節の乙女どもよ。」の絵本奈央さん、キャラデザは「ホリミヤ」の飯塚晴子さん。もう一度言っておきますが、舞推しです。(ランダムのマグネットで舞が出なかったのは寂しい……)

・音楽がよい
ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン」の音楽を担当されていたEval Callさんが、本作の音楽を担当されています。主題歌は「呪術廻戦」1クール目のOP曲「廻廻奇譚」を歌っているEVEさん。音楽の雰囲気は、前述の冒頭シーンで想像してください。

・LYNNさんが出てる(←オイ)
本作では、主役じゃ(舞でも)ないですけどね。前述のアニメ「君の膵臓をたべたい」ではヒロインでした。詳しくはコチラ

すでに上映終了しているところもありますし、もうすぐ終わりそうなところも多いのですが、何かの機会があれば、ぜひ鑑賞してください。

*1:個人の感想です