音楽の国境


amazon では CD を輸入できるのに、iTunes Store で外国で売っている楽曲を変えないのはなぜだろう…って、そりゃ各国のレコード会社が儲けるためでしょ。

iTunes StoreBeatles の楽曲の値段を調べてみると、アメリカでは1曲あたり$1.29(108円)、イギリスだと0.99ポンド(110円)、フランスだと1.29ユーロ(144円)、スイスは2.2スイスフラン(193円)、スウェーデンは12クローナ(149円)、オーストラリアは2.19オーストラリアドル(182円)、日本は200円となっている。CD を輸入する場合は送料手数料がかかるから、単価だけの比較では済まないけれど*1音楽配信はそうした料金がないのだから、買えるなら一番安いところで買うよね。

ちなみに、音楽業界って、必ずしも全世界のビジネスを一社でまかなっているわけでもなくて、現地では現地のレコード会社にビジネスを任せていることもあるだろうから、現地の会社が宣伝したのに、現地の会社の収入にならないとしたら、それはそれで問題視されるんじゃないかな。そういう状況があるからこそ、「各国ごと」という設定がデフォルトになるのであって、もちろん売りたければ全世界に向けて売ればいいわけだ。別に他のレコード会社がどう売り出すかなんて気にしないだろうから、抜け駆けを許さないカルテルってこともないわけだが、そんなこともわからない人っているんだろうか*2。言い方を変えると、国境を設けずに楽曲配信プラットフォームを作成することは禁止されていない。それと、メジャーなレコード会社と提携できるかどうかは別の話。

あと、楽曲が iTunes Store に揃ってないことに文句を付けている人がいるけど、着うたの10分の1しか市場がないくせに、払いが悪いらしい Apple にこそ問題があるんじゃないかな。単価が安くて市場も小さい上でに高飛車な会社って、見向きされなくても不思議な気がしないけどね。ビジネスなんだから。

ついでに、一部の人たちが言うようにレコード会社は音楽配信を拒否してはいけないなんて義務付けできたら「うちはDRMなしで20円で売るから、仕入れは5円で、よろしく」ってビジネスができるのかな。いや、レンタルCDへの対抗価格を考えたら、これくらいの値段が妥当かもしれないと思うのだけど。もちろん、レコード会社が卸値を決めるなんて許されないんだよね。流通業者万々歳。まあ、本気で実現可能だと思っているような人はいないだろうけどさ。

*1:イギリス版「涼宮ハルヒ」は安かった。

*2:いるらしいけど。