【ネタバレ注意】『アイの歌声を聴かせて』監督トーク@シネマシティ

1月5日にシネマシティで「『アイの歌声を聴かせて』の吉浦監督トークショー(3度目)」が開催されました。今回は吉浦監督のみの登壇で、「舞台挨拶も回を重ねてネタ切れしてきたから、質問に答えていこう」という主旨でした。

(岩浪音響監督のオフレコトークに限らず)このところの舞台挨拶は公式レポートもされなくなってきたので、例によって(雑な)メモ書きと記憶をもとに書き起こしてみます。いつもと同様、間違っていたらゴメンナサイ(公式じゃないので“情報源”にしないでください)。

ちなみに私も頑張って手を挙げましたが、aスタほぼ満席状態で当ててもらえませんでした。やはり最前列を取りそこなったのが痛い……と思いましたが、最前列で当ててもらえていたのも最初の1人だけでした。

当然、かなり本筋にかかわる【ネタバレ注意】です。まだ見ていない人は読み進めず、まず映画館で見てください。上映館は少なくなってきましたが、再上映してるところも、ちょこちょこあるみたいですし。



↓ネ
↓タ
↓バ
↓レ
↓し
↓ま
↓す

質問「(複数のキャラが描写される)グループショットの“こつ”を教えてください」
回答「この質問だけで無限に喋れますね。5~6人が画面に入る場合、全員が同じポーズにならないようにしています。また、昔の映画を参考にしています。今回は黒澤明小津安二郎を参考にしました」

質問「トウマがシオンの緊急停止機能を解除したことに、美津子たちが気付かないのはなぜ」
回答「緊急停止機能は、後付けの機能で停止させることはイレギュラー。人的なやりとりが発生して、メンテのことを考えていない。これくらいで勘弁してください」

質問「土屋太鳳さんを声優として起用した経緯と評価について」
回答「バラエティで見ていた土屋太鳳さんの雰囲気が合っていた。ミュージカルにも出ていて歌えるし、音響監督の岩浪さんが関わった『僕だけがいない街』という作品で声優をやっていた。ご本人の努力がすさまじく、土屋さん以外は考えられないというくらいハマリ役になった

質問「シオンのAIは、もともとタマゴッチ型のものが(あちこち移動した後)シオンにもともとあった高校生としてのAIを置き換えることになったのか、それとも融合したのか」
回答「その部分は、これまで濁して答えてきた。自分としては高校生AIと融合したと思っている。高校生AIは消失してはいない」

質問「“シオン”というのは秋に咲く花の名前など色んな意味がある。キャラの名前はどのように決められたのか」
回答「シオンにたくさんの意味があるのは分かっていた。もともとは男の子で“シン”という名前だった。女の子にしたとき、プロデューサーに“シオン”という名前の知り合いがいると聞いた。あとで「アイの物語」(山本弘著)に“詩音”というロボット(※介護アンドロイド)と同名になると気付いて、どうしようかと思ったが、もう“シオン”でなじんでいた。
“トウマ”と“サトミ”は楳図かずおわたしは真悟』から。
“ゴッちゃん”、“アヤ”、“サンダー”は、知り合いの名前

質問「本編に登場するバイク、クルマ、バスについて。クルマやバスは自動運転されているが、細かい部分は設定があるのかどうか(自動運転の仕事をしている人の質問)」
回答「メカデザインの明貴美加さんが細かく設定されているはず。あとでツイートするかもしれません。設定資料集出せって話かもしれませんが(拍手)」

質問「水飲み場のポジション取りについて」
回答「ひとつはムーンプリンセスに似たようなシーンがあって、それを再現している。
あの場所はAパートとBパートで使われていて、最初はシオンとサトミ、2回目はシオンとサトミ、トウマという場面。対比させることで、舞台裏から観察するシオンということを象徴的にあらわしている」

質問「ロードショーが年を越えたことに対する感想」
回答「ありがたいこと。これまでも口コミで広がる映画というのを見てきたけれど、自分で目の当たりにするということを実感している。生きる意味を与えてくれたと言ってもいいくらい。人生のハイライト。
こう感じるのは2回目で、1回目は『イヴの時間』のときにニコニコ動画の字幕だった。今回は生でこれを感じている。
まだ映画を作っていいんだと思える。人生を変えたといってもいい」

質問「エンドロールは『フィール ザ ムーンライト』の方がよかったという意見もあり、私もそう思ったけれど、『You've Got Friends』にした積極的な理由があれば」
回答「実は『フィール ザ ムーンライト』にすることも考えたが、やはり『You've Got Friends』の方がふさわしいと思い直した。私はエンドロールでは席を立たなくて、映画の内容を反芻する時間だと思っている。そのための曲。実は、劇中で歌われているときと速度が違うのでまったく同じものではない」

質問「シオンのAIが飛ばされた後、シオンの体には何かが残っているか」
回答「残っていない。コピーを残さず旅立った。さんざん研究対象にはされただろう。それを率いたのは美津子」

質問「サトミと美津子の関係、両親が離婚したことや、父をどう思っているかなど」
回答「離婚の理由は答えるのが難しい。
サトミは父親が好きだし、父親より美津子の方がホシマの中でいいポジションにいった。
両親が離婚したのは、サトミがそういうことを理解できる年齢になる前の小学生だった。
父も母も悪いわけじゃないと思って、母(美津子)を支えようと朝食を作ったりしている

質問「シオンが3日目にはラボに帰るために誘いを断ったのに、4日目の夜はラボに帰らずに済ませたのはなぜ」
回答「アシモフロボット三原則にあるように、シオンは命令に従うように作られているが、命令に優先度がある。サトミを幸せにすることが最優先。実はゴッちゃんには『学校をサボるのだって高校生の特権だぜ』というセリフがあった。だから“高校生らしさ”には反していない」

質問「それぞれの家族について」
回答「トウマの父親は大泉洋をイケメンにした感じ。子ども思いで、パソコンがごついのは父親のおさがりだから。
アヤの父親(保安部長)は、一番ふけてて年がいってから子どもができた。不器用でコミュニケーションが取れていない。保安部長のくせにパスワードがアヤの誕生日。
ゴッちゃんの母は息子を溺愛しているが、ゴッちゃんはそっけない。
サンダーのお父さんはエンジニアかつガテン系。人に迷惑を掛けたら殴る感じ。
ちょっとした場面だけど、それぞれの背景が描写されるようにしているので、こういうい質問は嬉しい

質問「劇中劇『ムーンプリンセス』について」
回答「プリンセスは、ちょっと王子とイイ感じになるけど重要とは思っていない。シオンよりは男心が分かっているけれど、王子と帝が自分のために競っているとは思っておらず、友達になればいいと思っている」

質問「6月6日(シオンの誕生日)までにblu-rayを発売してください」
回答「それは決められない。今は配信もあるし、段階があるかもしれない。私の一存ではなんともいえないが、twitterで何かするとか、できる範囲で考えます

質問「ハッピーエンドへのこだわりについて」
回答「自分がハッピーエンドが好きなので、ハッピーエンドは貫くつもり。今回は1ミリの迷いもなくハッピーエンドにしようと思った。最後の“ジャン!”もスッキリ終わりたかったから。
人生は長いから将来のことまでは分からないが、当分はハッピーエンドにしようと思っている」

質問「サトミは、なぜ目覚まし時計が鳴る前に起きるのか(※すごく若そうな声)」
回答「サトミはマジメな女の子なので、毎朝6時に起きて朝食を用意する習慣が身に付いている。
よくある『目覚ましで起きて遅刻、遅刻~』という展開へのアンチテーゼでもある」

質問「石黒(※電子工作部の部員)はサトミが好きなのか?」
回答「そう。好きなのに、そう言えず、トウマとの関係をいじってチャチャを入れている。
そういう子、いますよね。実は僕が一番共感できるキャラ
だから最後にサトミとトウマがうまくいってるのを見て『いいなぁ』って言っている。鈴山(※もう一人の部員)は、そのことに気づいていなかったが、それで驚いている」

ちなみに、他にも同じことを考えていた人はいたみたいだけど、質問できたら聞きたかったですね。

「カントク、イマ、シアワセ?」