新型コロナ: バカにつける薬

といっても治せるわけではないですが、相変わらずうんざりするコメントが寄せられるので、ほとんど過去の繰り返しですが、蚊取り線香のつもりで記しておきます。

あなたは危機を理解してもらう為に故意にセンセーショナルな文章を書いていますね

現実がセンセーショナルなだけです。

まあ専門家でも曖昧にしか答えられない筈の内容を断言口調で書き並べられてるブログがあったらそうなりますね

どのケースにおいても、情報源を明確にして、そこから言及できるもの、計算したものを挙げていました。誤った引用については、その都度訂正し、また訂正箇所が分かるように残してもいました。誰もが自由に“意見”を述べることができますが、“事実”については、かねて誤っているなら具体的に指摘してほしいと申し上げていましたし、正当な指摘に対して修正していないものはないと考えています。

あなたはリスクを過大に評価する側なら正しくなくても問題ではないとでも考えてたのでしょうが

すべてがそうなっているわけではありませんが、行政というものは防御的に考えるものです。ほとんどの地域では地震なんか起きないのだから防災対策などしなくても問題はなく、たまたま地震が起きた地域が問題になるだけです。だからといって自治体が防災対策をしないわけではありません。調布の住宅街で道路が陥没しましたが、「因果関係は示されていない」とトンネルを掘り続けるわけにはいきません。

新型コロナについても自粛しなくても大丈夫だろうという姿勢で感染が拡大させてしまうより、自粛して感染を抑え込むことを考えるのは当然のことです。そして、欧米の現状を見れば、それが“結果論”としても正しかったとしか言えません。自粛せずに感染者や死者が増えていたら、それこそ今とは比べ物にならないくらいの大批判を浴びていたことは疑う余地がありません。

もともと、MERSやSARSの経験があった韓国や台湾と違い、日本では感染症対策についてほとんど準備はできていませんでした。高齢者比率が高く、高い医療サービスを提供している日本では医療の余裕もほとんどありませんでした。そうした状況において、専門家会議の方針や行政の対応は合理的以上のものだったと考えています。もっと早く入国制限をかけるべきだったとか、全世帯のマスク配布が本当に必要だったのかという“後出しだから言える改善点”はあるでしょうし、日本以上に対策がうまくいっている国のような法整備はしないのかという点はあります。しかし、“走りながら考えてきた対策”としては敬服に値するといっても過言ではありません。

また、私は、私のブログが行政に影響を与えたのだというおこがましいことは考えていません。そもそも専門家会議の方向性と同じことしか書いていません。その意味では、ブログが多少なりとも社会に影響したというのであれば、私はそれを誇りに思います。逆に、自粛など要らないと言っていた人たちが、いまだに恥ずかしくもなく発言しているのは不思議です。彼らは欧米の状況を知ることができないようなテレビもネットもない世界に暮らしているのでしょうか。当初、検査数と致死率でドイツを挙げて日本の対応を批判していた人もいましたが、今のドイツの感染者数や死者数の推移を見て反省しているのでしょうか。匿名ですから、逃げておしまいなのでしょうけれどね。

来年の春頃にはロックダウンを批判するコラムがいっぱい出るでしょうからじっくり見てください

とても興味深い表現です。日本は“ロックダウン”していないので海外のことかもしれませんが、今でも(これまでにも)自粛や緊急事態宣言に対する批判をしている人はいます。でも「来年の春頃」に何が起きるのでしょう。そして、なぜ「来年の春頃」まで待たないといけないのはなぜでしょう

それは“今”判断すると、感染が再拡大して日本以上の再規制に追い込まれている欧米と比較して、日本は防御的に対策してよかった、という判断になってしまうからです。日本は「GOTO」キャンペーンを行いつつも、「新しい生活様式」で感染を急増させずに持ちこたえているのですが、イギリスは同様のキャンペーンで感染を拡大させてしまい、死者も急増して、まさしく“ロックダウン”(外出規制)しています。フランスやイタリアも同様です。経済を停滞させてもロックダウンが必要なのは医療が間に合っていないという現実があるからです。

ボルソナロ大統領並の思考しかしないトランプ大統領アメリカでは、感染者数は1日10万人を超えています。相対的に致死率が下がっているとはいえ、絶対数は増えています。トランプ大統領が「すぐできる」と言っていたワクチンも、結局選挙前には完成しませんでした。まだ大統領選の結果は分かりませんが、バイデン候補が勝利したら、その尻拭いは大変なものになるでしょう。感染者が増えると抑え込みにくいことは、クオモ知事が強く規制しているニューヨーク州でも、今なお人口当たりの感染者増が東京より多いくらいだということからも分かります。

BCG仮説をはじめ、感染力の地域的な違いについては、否定されているか、あったとしても大差ではないという結論しか得られていません。こんな状況で、対策なんか要らなかった、日本は間違っていた、なんてことを“今”言ってしまうのは愚かです。今は言えないことを来年春頃になったら言えるはずだというのは、「今は起きていない結果」に期待した“結果論”にすぎません。何かが劇的に方向性が変わるとしても、それは今、分かっているものではありません。そんな起きるかどうか分からないものをアテにして批判しようとしているのです。恥を知れ

もっとも、日本もこれから開催日が動かせない東京オリンピックに向けて渡航の規制が解除されていくわけで、十分な水際対策ができるのか、感染者が増えたときに対応できるのか、といった不安がないわけではありません。さらに言えば、さまざまな支援策のザル具合やGOTOそのものの意義を含め、行政に対する批判意見を持たないわけでもありません。しかし、感染対策については、ブログで書いてきたことに問題があるとは考えていません。それでも、ブログは間違っている、ご自分が正しいと自信をお持ちなのであれば、次はちゃんと素性を明かしてコメントしてもらいたいものです。恥ずかしくてできないでしょうけれどね。ちょうどいい音声データがありましたよ。