「『絶版堂』を巡る権利問題について」で、版面権の問題が取り上げられている。ここに、中村うさぎさんのツイートがある。
@nzm あの…あたし、絶版になった短編集「犬女」を、自分で電子で売ろうと思って、文藝春秋社に申し入れたら、版権料とか何も要求されず、OKいただきました。ただ、版面権(?)は印刷所にあるとかで、版下は使えないので、単行本をそのままPDFなり何なりで売ってくださいと言われたよ。
http://twitter.com/nakamurausagi/status/18781362235
以前にも紹介した荒俣宏氏のブログで
…日本の出版社には直接何の権利もないので、この和解に介入することができず…
と明言していたのが文藝春秋社である。この頃は、どの出版社も同様に対応しており、ブック検索に対して「出版社の権利を侵害する」と訴えたところはほとんどなかった。小規模な出版社や協会がいくらか異議申し立てを出した程度である*1。出版社自身が著作権を持つような書籍もあるだろうとは思うのだが、皆、何もしなかったのだ*2。
「製版フィルム廃棄損害賠償請求事件」などによれば、製版フィルムの所有権は印刷所にあるらしい。今ならデータファイルというところであろうか。出版社は「データは渡さないが、スキャンされるのはかまわない(止められない)」のである*3。