試しにドメインを差し押さえられてみた

アメリ国土安全保障省によるドメインの差し押さえ

id:heatwaveさんの「米移民関税執行局、トレントメタ検索サイトのドメインを没収」や各メディアで報じられている通り*1、偽造ブランドや偽造DVDを扱っていたサイトのドメインが差し押さえられている。どのような仕掛けになっているかというと、ドメインの登録業者(レジストラ)で登録されたネームサーバー情報を無視して、TLD*2ごとのドメインの元締め(レジストリ)がネームサーバー情報を変更しているのだ。

たとえば、以下でドメインの情報を調べると、レジストラ(eNom/Namecheap、下側)では dawn.ns.cloudflare.com、norm.ns.cloudflare.com というネームサーバーが割り当てられているのに、レジストリVeriSign、上側)ではネームサーバーに NS?.SEIZEDSERVERS.COM が指定されている。

http://www.betterwhois.com/bwhois.cgi?domain=rapgodfathers.com

ちなみに、サイトが無くなっているわけではないので、nslookup で元のネームサーバーを使ってホスト場所を調べて、hosts を書き換えたりすれば、ちゃんとサイトを表示できる*3


サイバースペース

サイバースペースというのも何だか懐かしい言葉という気がするが、こうした仮想空間の怖いところは、運営をリアルな物質に頼っていないため、運営者の気持ちひとつで簡単にルールを変えられてしまうところだ。某SNSサイトの最近の対応も、その例と言える*4

少し気になるのは、今回差し押さえられた .com/.net のレジストリVeriSign)が「アメリカ企業だからアメリカ政府の意向に従った」のではないかということだ。アメリカ発祥の技術とはいえ、.com/.net は特定国のための TLD ではない。アメリカの国別ドメインには .us があるが、今回の対象にはなっていないようだ。VeriSign は、日本をはじめ他の国から「著作権侵害を防ぐためにドメインを差し押さえてくれ」と言われて、それにしたがって対応するのだろうか*5

テスト

.us は対象になっていないと書いたが http://suprbay.us/ というサイトを見ると、差し押さえ画面になっている。最初は .us も対象になっているのかと思ったが、どうやらそうではなく所有者が自らネームサーバーを差し押さえサーバーに振り分けているようだ。

なるほど……と思い立って、私も試してみた。

http://www.counterfeit.net/ ※2018/11/6修正(もう、このドメインは所有していません)

まあ、こんなときくらいしか意味あるサイトにならないよな、このドメイン*6。というわけで、これがやってみたかっただけのエントリである。

*1:アメリカ政府がWebサイトのDNSを差し押さえ、数十サイトがアクセス不可に」など。

*2:Top Level Domain。

*3:あえて手順は示さない。ちなみに、このドメインは別サイトに転送されているだけ。

*4:ここでは、その是非は論じない。

*5:なお、ドメインの悪用については、WIPO や裁判に訴え出ることでレジストラに管理を一時停止させることはできる。

*6:これ、競って単語ドメインを登録していた頃のもので、このときは登録してから意味調べていた覚えがある。