そのグルーポンを疑え
まだまだ増えるグルーポン
煽り気味のタイトルを付けてしまったが、GROUPON JAPAN の独走がわかって、フォロワーランキングを取るのをやめた後もグルーポンの乱立はいまだ続いているようだ。グルーポンのまとめサイト、クーポンサイトは、すでに予定されているものも含め、158サイトをウォッチしているそうだ。
ポンパレのキャンペーン
比較的後発のポンパレ は、上位を追い上げるべく「ハーゲンダッツ アイスクリームギフト券」(660円分)を100円で売る、しかも上限100万個というキャンペーンを行っている。ハーゲンダッツの協賛を得ているわけではないようで、100万個のギフト券を定価で買っていたら6.6億円もの経費が掛かる*1。
Yahoo! Japan が450万件の会員情報を流出させたときのお詫びが500円(金券)だったから、名簿1件が500円の価値だとすれば見込み客情報を集める手段としては決して悪くはない。だが、このキャンペーンにはさらに裏がある(結果として裏があったわけではなかったが、当初はそう考えられた。)。キャンペーンが成立するためには50万件の申し込みが必要だったのだ。比べても仕方がないが、ニコニコ動画のプレミアム会員が50万件を突破するのに2年かかっているくらいで、50万件というのは相当高いハードルであろう。当初は「成立させるつもりがないんじゃないか?」と思った。
結局、成立条件に達しない見通しが高まってきたという理由で、この成立条件は廃止されたのだが*2、成立していなければ何万件ものユーザー情報をタダで集める手段になりかねなかったのだ。成立条件が廃止されたためか、購入者数が以前より増えているのは皮肉なところだ*3。
気になるチケット
気にしている人は、気づいているだろうが、グルーポンのクーポンが必ずしも額面通りであるとは限らない。以前取り上げたものもあるが、それ以外にも時折気になるものを見かける。
たとえば、PIKU の「大パノラマの海景色を臨む、伊豆下田の名旅館「下田大和館」の5,000円分の宿泊利用券が、なんと500円!」というクーポンには「90% OFF」と書いてあるのだが、「お取引条件」を読むと「※本Piku割は、【ご利用料金がお一人様10,000円以上の宿泊プラン】にのみご利用いただけます。」と書いてある。ちょっと待て。つまり、少なくとも5500円を払って、10000円分のプランを利用するということなのだ。それは45% OFF(以下)なのであって、90% OFFと言うのはおかしいのではないか。
また、品々 の「【390円!!送料無料!!】ただしお一人様1セットまで!札幌カレーの老舗「MIRCH(ミルチ)」チキン・ド・ピアザ&札幌有名店「南家」こくうまチキンカレー(ルータイプ)の計2食セットを80%オフ!」も、通常価格が2,000円だから割引率が80%となっている。では、このカレーを楽天で買うといくらだろうと思って調べてみると、それぞれ500円くらいで買えるようなのだ*4。しかも箱買いだともっと単価が安い*5。
どれも「高い」わけではないけれど、「??%OFF」を強調したいがために、過剰な表現になっていると言わざるを得ない。こういうものは他にもあるだろう。
The Groupon Promise(グルーポンの約束)
以前にも取り上げたが、TechCrunch の記事によれば、本家 GROUPON が資本参加した QPOD、現 GROUPON JAPAN の成功の秘訣として、次の点を挙げている。
■こちらに不備がなくても最終的にユーザーが満足してくれないのだったら返金をするという徹底した「グルーポンプロミス」を採用し、顧客満足度を上げている
このオリジナルは、GROUPON の CEO である Andrew Mason 氏の「The Groupon Promise」にある。ここには次のように書かれている。
The Groupon Promise: if Groupon ever lets you down, we'll return your purchase-simple as that."
(グルーポンのお約束:グルーポンがご期待に添わない場合は、返金いたします。当然です。)
もちろん、店側の期待に添わないケースには返金されないのだろうが、利用者側の不満には応えていくという姿勢なのだろう。GROUPON JAPAN も、申込み数が多すぎてさばききれるのか不安になるケースはあるのだが*6、GROUPON JAPAN で不満のあった人は、「グルーポンの約束」が守られているか試してみてほしいところだ。
※補足 赤レンガ倉庫にイタリアンレストランはありません。
*1:収入の100円はギフト券の送料手数料で消えてしまうだろう。
*2:実際、キャンペーンページから申込みに至るまで「成立条件」に気づかない恐れもあったので、事後にクレームが大量発生する恐れもあった。それを思えば、この対応は妥当だと言える。
*3:本来、クーポンを成立させるまで、そのクーポンを知らない他の人にも触れて回るのがグルーポンのソーシャル的な魅力である。
*4:「チキン・ド・ピアザ」および「カリーカフェミラクル」で検索。
*5:説明には「通常販売価格2,000円は箱のパッケージに包装し、実店舗にて販売した際の販売価格です。」と書いてあるのだが、それは違うものだし、公式サイト でも 630円なのに、どんな包装をするというのだろうか。