【軽いネタバレあり】「若おかみは小学生!」のよいところ

若おかみは小学生!」はいい映画です。個人的に気になる点はこちら(←ネタバレあり)に書きましたが、いいところはいっぱいあります。ネタバレに入らない部分で言うと、とにかく画が綺麗です。もともと映画館で見たポスターがコレです。

https://www.waka-okami.jp/movie/image/news/poster.jpg

どう見ても子供向けですよね。私はアニメ好きではありますが、なんでもかんでも見るわけじゃない、と思ってパスしてました^_^; 実際、子供向けに作った作品なのだと思いますが、大人が鑑賞してもいい映画です。「ウゴウゴ・ルーガ」プロデューサーだった桜井郁子さんがおっしゃっていました。「大人が面白いと思わないものを、子供は面白がってくれない」 もっとも大人一人で見に行ったら、まわりが子連ればかりでちょっと肩身が狭かったです^_^; とりあえず、事前情報を知らずに見たい人は、とっとと見に行きましょう。


というわけで、以下、軽いネタバレがあります。そもそも、これから見てほしい映画の理由を語るのに、いっさいネタバレしない、というのはけっこう難しいことです。本作について「ネタバレなし」と書いてある論評でも「悪人がいない」というネタバレをかましてきたりします。それだけで登場人物が怪しいと思っても、ああ、そういうわけじゃないんだろうな、って思っちゃうじゃないですか。まあ、その程度の話は書きます。

小林星蘭さんがいい
これ、ネタバレ関係ないですね。主人公の声を大人の声優があてるのか、子役がやるのかで、さんざん揉めたというか、検討に時間をかけたそうです。全員のキャスティングで1年かかったとか。アニメ版と劇場版は平行して作っていたそうですが、脇役で声優が違うことがあるのは、それぞれの監督の好みだそうです(テレビでダメだったから劇場版で変えた、わけではない)。

・悪人がいない
先に書いた通り、全編を通じて“悪人”がいません。だから、何か感じるところがあっても、「裏で何を考えているのかわからないぞ」と不安になる必要がありません。一応“イタズラする輩”はいますが、その程度です。(おそらく)そのせいでやっかいな人たちがやってきたりはするのですが、そこはストーリー上の都合ということで気にすることはありません。“悪人がいないのでほのぼのと進む”わけではないところが本作のミソでもあります。

・主人公が努力家
具体的な作品名を挙げるのはやめておきますが、ポストジブリとはやし立てられた作品で、主人公がドジっ子というか怠け者だったものがありました。なんだそれ、と心底ガッカリしたものです。まあ、一応“ジブリ”というカテゴリで言えば「ホーホケキョ となりの山田くん」の主人公は怠け者の部類に入るのかもしれませんが、宮崎駿作品にそんなのないですよね。みんな一生懸命生きているし、それがドラマになっていい作品を生み出しています。個人的には、今世紀に入ってからの宮崎作品は微妙ではあるんですが。

本作の主人公(おっこ)は、普通の家庭できちんとしつけられて育ってきたんだろう、という印象があります。テレビシリーズも途中まで見ましたが、そちらでは少しヘマ(というか失敗)はするものの、やはり努力家ではあります。悪人がいないと書いた通り、まわりの人たちも同じで、そこがとても気持ちよく、本作の良さの基礎となっています。

・すぐれたライバル
主人公の“いい人ぶり”を際立たせるために、ライバルに悪意を設定してしまう作品は数多くあります。それはそれで面白い作品もあるのですが、本作のライバルは主人公以上に努力家であり、賢い女の子です。ともすると、そこが強調されすぎて、そこまでやらせてるまわりの大人たちは大丈夫なの?と思ってしまう部分もあるのですが、フィクション、フィクション:-)

・ストーリーに無駄がない
別に書いた“気になる点”を含め、ストーリーは全体を通じてよく練って作られたものだろうということがわかります。もちろん原作がよい作品ということもあるでしょうし、劇場版の脚本を担当した吉田玲子さんだけの功績というわけでもないと思いますが、94分という時間の中に盛り込まれた厳選されたエピソードは、登場人物たちの背景や役割を明確にし、ダイジェストという感じがなく自然に引き込まれていきます。おっこだけでなく、おばあちゃんやエツ子さん(中居)、康さん(料理人)、真月など、あらゆる登場人物に感情移入できる作品です。

そのうちテレビ曲で放送権の争奪戦があり、お正月映画として放送されるかもしれませんが……と、wikipedia を見たら製作委員会にテレビ東京が入っていましたが^_^;……最初に書いた通り、この綺麗な画は劇場で見ておく方がいいと思いますよ。